第10話
目が覚めると、突然神の声が聞こえた。
『 ポーン 全属性の魔法を取得し条件を満たしました。種族名に【賢者】が追加されました。』
「 あぶ?きゃは! (何ですかそれ? 明細鑑定)」
>個体名:ラインハルト(仮)
>種族名:人間 賢者
>状態値:新生児 生後1か月状 良好 実質状態2ヶ月半
>存在値:LV3
>体力値:43HP
>魔素値:1629MP (保有1630MP)
>スキル:魔力操作 光 闇 火 氷 水 風 雷 土 木 治癒 重力操作
明細鑑定 早熟 肉体改造 念動 木工 金属加工 異空間収納 錬成術 温度変化
確かに賢者の称号が付加されている。
肉体改造の影響もあり脳が順調に成長し、物事が良くわかる。
まだ字は読めないが、話している簡単な言葉は理解できるように成ってきた。
さて、周りを見てみると子供の沢山いる部屋で揺り篭に寝かされている。
「あぶぶあばぁ・・・ぶぅぅ(知らない天井だ・・・・お約束はちゃんと言う)」
自分よりも大きな子供が8人、いずれもお洒落な格好をしており、姫や殿下と呼ばれていることから腹違いの兄弟だと思われる。
「 あぶぅ・・・(多すぎないか?)」
女給や世話係に会話に耳を傾けると、あと数名ほど姉か兄になるものがいるらしい。
「 ラインハルト殿下は早産にも関わらず、ご健康で・・・」
「 選定の儀の事は聞かれまして?・・・・ 」
井戸端ならぬキッズルーム会議が繰り広げられている。
そのうち玩具を取られただの、ぶたれたなどと泣きわめく兄姉達がわめき始め、煩い事この上ない。
どうせ暇なので、魔力操作の訓練でもすることにした。
まず全身に魔力を行き渡らせ、筋肉を強化・・・・
『 ポーン 身体への魔力干渉を確認 スキル【魔力強化】が派生しました。』
等という神の声を聞き流し、勢いよく手足を動かすと、今人生初の寝返りがうてた。
・・・・女給はまだこちらに気が付いておらず、話に花を咲かせている。
ずり這して策に手を掛ける。
股関節が出来上がっていないのか、立てる気が全くしない。
気持ち的にはつかまり立ちをして、スクワット運動で足腰を鍛えたいところだが、まずはハイハイにむけて首と腕の運動からだ。
1・2・3・4・5・6・7・8・・・9・・・・・10
「 あぶぅ~(できた~)」
うつ伏せから頭を持ち上げるだけで一苦労だ。
これをあと3セット!
1・2・3・4・・・・5・・・・6・・・・・7・・・・・
チーン
新生児にはまだ無理なことが有ります。そっと見守ってくださいと言うテロップが流れそうなくらい
見事な撃沈ぶりで、寝てしまった。
・・・・
そんなに長い時間の睡眠ではなかったようで、キッズルームで再び目を覚ます。
気が付くとまた仰向けに寝かされており、筋トレの為にまた俯せになるようジタバタすることになる。
そして、ふと思う。43HPもあるのに、この軟弱さは何なのだ?!と・・・・
「あぶぁ!(明細鑑定)」
HPを鑑定すると 更に明細が表示される
>体力値:43HP
>攻撃値:0.1
>筋力値:0.2
>敏捷値:0.1
>器用値:1.2
>回避率:0.1
>防御力:0.1
「 あぶぅぶぅぅぅぅ!! (体力有ってもなんもできないじゃねーか!!)」
続けてMPも鑑定してみる。
>魔素値:1627MP (保有1630MP)
>攻撃値:453
>知力値:520
>抵抗値:765
>幸運率:380
>防御力:482
魔法を使いたいと願っただけのことはある。新生児にして魔法一発で父親を叩き潰せるのだ。
「・・・・あぶぶっぁ?(・・・・って有りなわけ?)」
完全に固定砲台仕様。
「 ふあぁぶぅぅぅ (あぁカラフルな天井がただただ恨めしい)」
寝返りさえまともに打てないムズガるラインハルトは、只、揺り篭の上で次女にあやされるのだった。




