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让我们记录下我们的生活

「ボクはね、モミジちゃんの何が好きって、心と体の全てが好きなのさ! 結婚して、モミジちゃん! って言いたい。」

 今日から、少しボクたちが普段生活しているこの『家』としての巴桜を記録していこうと思う。いくつか話題を分けた方がわかりやすいよね。まず最初は、居住に関する事から。


 この前も少し話したけれど、ボクは寮暮らし。巴桜のほぼ三分の一を占める『生活区』の、女子寮の内のひとつに住んでいるよ。寮の部屋は結構大きめの1LK。ダイニングは、リビングと兼用だから、1LK。キッチンとリビング兼ダイニング兼寝室、それとお風呂とトイレの部屋っていう間取り。寮はコの字型で、ボクはその一番端にモミジちゃんと住んでいるよ。

「モミジちゃん、起きて! 今日は一緒にお買い物行こうって言ってたじゃないか!」

「うぅ~ん、あと五分……。」

「いい加減シーツとお布団も洗濯するよ!」

 ボクは、モミジちゃんがあたかも蓑虫かのようにくるまるお布団を、がばっと剥ぎ取った。

「うひゃあ~寒い~!」

 モミジちゃんはそう言って、アルマジロみたいに丸まった。アルマジロなのか蓑虫なのかはっきりしてよ。というか今五月だよモミジちゃん。なんでそんな寒いの。風邪じゃあるまいし。ボクら生徒は、各寮の地下にあるランドリールームで自分たちで意識的に布団やシーツの洗濯をしなければいけないし、部屋の掃除も自分でしなくちゃいけない。つまり、巴桜にいればなにもできない穀潰しになる可能性は……低い、はず。ボクは、ボクとモミジちゃんの分のお布団とシーツを抱えて、三階から地下一階まで降りた。その途中、同じくラスの加藤さんに会った(加藤千佳子かとうちかこさんだっけね?)。加藤さんは確か、学園外のおうちからモノレール通学だったはずだ。

「あ、おはよう、今川さん。」

「おはよう加藤さん! こんな朝早くに、どうしたの?」

「今日は丸一日木田さんとゲームしようと思って。」

 そうそう、加藤さんが立っていたドアの部屋の住人は、木田さんって言ったっけ。確かボクらと同じ一年生の……C組だったかな? 一学年六十組制で、ボクやモミジちゃんは一年AAダブルエー組。閑話休題、ボクはお布団とシーツを洗濯機に入れて、回し始めた。あとはもう、一日穏やかに過ごすだけ。洗濯が終わると、乾燥も自動でやってくれるし、お布団やシーツに記された識別番号を洗濯機が認識して、部屋のポストの近くに設置された洗濯ポストに転送しておいてくれる。さぁて、朝ご飯を食べに行こうかな。あ、そうだ。モミジちゃんを忘れてたや。えへへ。

「……って、まだ寝てるうぅ!?」

 寝てた。嘘でしょ、流石にお布団なしで寝られるほどに睡眠好きだったとは。モミジちゃん、君はボクの母さんかい!? そう、うちの母さんは極度の過眠症で、たまにぷつりと糸が切れたかのようにその場に倒れることがある。そうとまではいかなくてもさぁ……。

「おーきーてーぇ!!」

 ゆっさゆっさと、ボクはモミジちゃんを揺すった。起きない。いたしかたあるまい。こうなってはあの手・・・に出るしかもはや選択肢はござらん。いざ尋常に。ボクはすぃーと息を吸って、両手を胸の前で構えた。そして、思い切り。

「わ、ひゃはははははは!!?」

 くすぐった。わーい、もみもみこちょこちょ。

「ひゃ、らめ、お、おひるかりゃっ! らめえぇ!!」

 ふふふ、やめてやるものかよー。こちょこちょ。

「ひ、ひやあああーーー!!」

 もう最後の方は『揉む』に近かった気がするけど、気のせいだよね、うん。まぁ、これくらいで勘弁して進ぜよう。

「さ、朝ご飯食べに行くよ、モミジちゃん。」

「ふわぁ~い……。」



 巴桜の食事事情について。ボクらは普段、生活区の中心街(ほとんどひとつの街みたいなところだよ。)にある、大食堂で食事を取っているけれど、中には中心街の市場で食材を調達して、自室で料理する生徒さんもいるみたいね。父さんはそっち派だったって。今でも父さんは帰省するとボクらのご飯を作ってくれるよ。でもたまに「ユズハがえらい量食べるから、昔よりも手間がかかって面倒。」とかって姉さんに愚痴ってた。姉さん大食いだからね。

「おはよう今川さん!」

「おっはよーワタルちゃん!」

 なぁんて、ボクは英雄の娘ってだけじゃなくて、人としてもできているからね。友達はたくさんいるよぉ。そんなわけで、朝早くでも大食堂に行けば、友達のみんなが手を振ってくれるよ。たまに内心なんて思ってるか計り知れない人も挨拶してくるけど。

「モミジちゃん、今日はどうする?」

「昨日の朝ご飯がパンだったから、今日は定食かなぁ。」

「じゃあボクもモミジちゃんと同じやつ!」

「いつもそうじゃない……。」

 食堂のメニューは組み合わせ次第で何百万通りにもなるけれど、既存のメニューを注文することもできるよ。今日のボクらの朝ご飯は、『サワラの竜田揚げ定食・溶き卵の味噌汁』だったよ。サワラは今(五月!)が旬だから、とってもおいしいよね! それにボク、揚げ物大好きなんだぁ……!

「ふはぁ、ごちそうさまぁ! おいしかったぁ!」

「おいしかったねぇ!」

 ボクらは、ご飯を食べ終わると、中心街に出た。そろそろ総長でもなくなってきたし、段々と人も道を行き交い始めている。やっぱり休日って事もあって、私服の人も多いね。かくいうボクらもこのまま出かけられるように私服だし。


「早くモノレール来ないかなぁ。休日なんだから本数増やしてもいいじゃない!」

「まぁまぁ、もう少し我慢しよう? きっとすぐ来るよ。」

 ボクらは、巴桜の外にある大型ショッピングモールに出かけるために、モノレールの東巴桜駅に来ていた。一応、この記録がどんな時代の人にも読まれることを想定して、解説しておくと、ボクらはモノレールに乗るために『改札』? を通ることはないよ。ぜーんぶ、生体認証でオールパス! 戸籍がない人にはちょっと厳しいシステムだけど、今の時代戸籍がない人なんて暗殺者か犯罪者くらいだよ!

「あ、モノレール来た!」

「あ、ホントだ。よかったね~。」

 モノレールは、通勤や通学の混雑を回避するために、完全個室制の二階建てになっているよ。一両八部屋の十三両編成で、全部で二百八人を収容できるよ。今日は休日、しかも雲一つ無い快晴ということもあってか、学校の外に遊びに行こうって言う考えの人も多いみたい。けっこう人が多くて、最終的に後ろの方に並んでいた人たちは乗れていなかった。まぁ、あぁいった人がホームに残っていることをセンサーが感知すると、特別車両が急行してくる仕組みになっているんだけどね。そんなこんなで、いくつか駅を挟んで、ショッピングセンターがある築地駅に到着~。駅からも見えるあの大きなショッピングセンター、元は魚介類を卸売りする市場だったんだって! 今の姿からじゃあ想像もつかないや!


 で、いろいろ買っておしゃべりしていたら、あっという間に日が暮れて。ボクらが学校に帰ったのは、もう午後の五時を回っていた。さぁて、ご飯を食べて……。お風呂の時間だ! お風呂も大食堂と同じで、中心街に大浴場があるよ。でも、それぞれの部屋にバスルームがあるから、どちらを使うかは生徒次第って訳。

「モミジちゃん、お風呂入ろ!」

「いいよ~。」

 ボクはねぇ、一日の中でお風呂がい~ちばん好き! だって……。

「あっ、だめ! ワタルちゃ……だめだってぇ!」

「えへへ、毎日触っても飽きないよねぇ、モミジちゃんのおっぱい!」

 モミジちゃんのカラダに堂々と触れるんだもの!

「あひゃ……ん、だめ……って、言ってるのにぃ……ひゃ!」

「うへへ。」

 もみもみたぷたぷわちゃわちゃ。

「ん……ん! だめ、そこはだめぇ!」

「いいじゃんー減るものじゃ無しー。」

 どこを触っているのかは、みんなのご想像にお任せするとして。

「あぅ……ひゅいいぃ……きゃっ! あ、だ、でゃめ……!」

 段々と、モミジちゃんの目が蕩けてきた。ふへへ、こうなったら押し倒してやろ。

「な、ワタルちゃ……なにす……。」

「へへ、抵抗しない方が身のためだよぉ。」

 で、その後もあーんなことやそーんなことをしまくった結果。モミジちゃんはお風呂場の床で汗だくになって倒れることになっちゃった。いや、ボクも大分汗だらけだけどね。これじゃお風呂入った意味がないや。えへへ。じゃ、もう一戦……じゃない、もう一回体洗いっこしようか、モミジちゃん!

「えぇ……? もう、むりだよぉ……腰が、あうぅ……。」

 ……なんか、盛大に勘違いされそうな台詞だね。こうやって、ボクらの夜は更けていきます。夜戦突入? はは、やだなぁ、何言ってるのさ。ボクがそんなしつこいことすると思うかい? やったけど。

「――让我们记录下我们的生活(ボクらの生活について記録しようか)。」

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