俺の辞書に友達の文字はない
私立城西高校は新宿区という都心に有りながらも、4万平方メートルという広大なキャンパスを持っている。また、生徒数もそれに比例するように生徒数も多く2000人弱いる。しかし、どんなに多種多様な人間がいようとも、孤独な生徒は生まれてしまうのである。ちなみに、ソースは俺。
俺はそんな学校の一角にある視聴覚棟へと続く渡り廊下を歩いていた。
女の子と二人きりで放課後の教室に向かうというのは、なかなかエロスを感じるものである。しかし、ラブコメの神様もそこまで甘くない。となりに並んで歩くのはアラサー鬼教師大津である。こんな人と放課後の教室で二人きりになろうものなら、エロスではなくグロスなことになるだろう。
すぐさま予防線を張りにかかる。
「先生、今すぐ家に帰らないと死んでしまう病が」
さすがの先生も、どこぞの長鼻ヘタレ狙撃手のような俺をみれば解放してくれるだろう…と思っていた。
「これから、新世界に行くんだからそのヘタレなおせよ」
この教師切り返し方が斜め上すぎるだろ!というか、ココロが青年だ。
そうこうしているうちに、俺は一つの空教室に連れてこられてしまった。扉に掛かっている、パソコンで打たれた簡素なプレートには『予備室1』としか書いていない。
大津先生がトントンと、扉を二回ノックする。中から返事はないが、大津先生に驚いた様子は見受けられない。きっと予想の範疇だったのだろう。
先生がガラリと扉を開ける。
その教室は普段使う教室とは違っていた。倉庫として使われているのだろうか。机や椅子はすべてはじに寄せられ、文化祭で使ったのであろう立て看板などが置かれていた。しかし、最も異彩を放っていたのはそれらではなかった。
1人の少女がいた___
彼女は、4月終盤の心地よい陽射しを浴びながら読書をしていた。ただ、それだけであるというのに自分以外の全てを背景にしてしまうほどの魅力を持っている。
そんな彼女に俺は不覚にも目を奪われてしまった。




