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俺の辞書に青春の文字はない  作者: アジサイ
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俺の辞書に友達の文字はない

 担任教諭の大津菜々子が額に青筋を立てながら、言ってくる。

「木陰くん、どうしてこんな事書いちゃったのかな?怒らないから言ってごらん。」

 31歳という年齢に見合わない猫撫で声だ。

「俺は自分の希望する進路を包み隠さず書いたまでです。」

「はぁ、最後の希望を込めて聞くけど、木陰が書い自宅警備員っていうのは引きこもりのことじゃないわよね?」

「何を言ってるんですか先生、もちろ引きこもりのことですよ」

「そんなことを誇らしげに言えるあんたが羨ましいわ…」

「お褒めに預かれて光栄です」

「褒めてねぇよ‼なんて定番のツッコミを入れるのも面倒くさいからしないけどさ」

 ツッコんでるじゃないですか、的なツッコミが欲しいのかもしれないが疲れるのでスルーする。アレ、なんか下等生物を見るような白い目でこっちを見てる気がする。もしかして、ツッコミ待ちか…どんだけ人肌恋しいんだよ。これだから婚期を逃した独身はめんどくさい。

「バチン」

「痛って」

 突然、椅子の回転による遠心力で増強されたビンタが飛んできた。まったく、アント○オ猪○もビックリだよ。

「なんで突然ビンタなんかするんですか⁉」

「君ががすごく失礼なことを考えていた気がしたからだ」

「何を根拠にそんなことを⁉」

 なんて理不尽な女教師だ。ま、まさかこの俺がそんな事考えるわけ…

「私は最近、人の心が読めるようになってな」

「す、すげえまさに亀の甲より年のこ…」

 ギロリ、途中まで言いかけたところで絶対零度の冷たい眼差しで睨まれた。なんて危ない女教師だ。俺がポケ○ンだったら瀕死状態にるところだった。

 なんてくだないことを考えていると、大津先生が唐突に話題を変えてきた。

「木陰、あなた友達いる?」

 なにを言っているんだこの人は。

「いるに決まってるじゃないですか」

 そう言って俺はポケットから“友達を取り出す”。

「じゃん、これが僕の友達の本くんです。ちなみに、性別はライトノベルです」

「同じライトノベルユーザーとしてラノベの面白さは認めよう。だが、私が言ったのはリアルな友達のことだ。」

「…残念ながら先生の仰るような友達はいませんね」

 そう、俺は生まれて17年、友達という友達ができたことがない。つまり、俺の辞書に友達の文字はないのである。

 しかし、俺はそんな自分を人生を否定はしない。むしろ誇りにすら思う。だってその17年間で一人で生き抜く術を身につけることができたのだから。

 そして、その術は自分の糧になる絶対に…きっと…恐らく…

 俺の哲学の時間は大津先生の高笑いで打ち切られた。

「ハッはっは、どうせそんなことだろうとおもっていたよ。木陰に紹介したい奴がいる。明日の放課後に職員室にきたまえ」

 明日は、ホームルームが終ったら読書せずに速攻帰ろうと思案していたら…

「もし、逃げたりしたら分かっているな」

 釘を刺された。さっきの件といいどんだけこの教師は勘がいいんだ。


 職員室を出た俺はふと思う、仮にも国語教師なラノベじゃなくて、まともな本読めよ!

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