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修羅の舞う夜に  作者: Lyrical Sherry
第一章 守るための力
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第十話 ―訓練記録07―

第十話目です。

引き続きモルガナとの訓練です。

体勢の整っていないあたしにモルガナ姉ちゃんの投げた苦無が迫っている。

避けられる距離ではなく、弾こうにも苦無を抜いている間に当たってしまう。


(避けられない――なら!)


あたしは迫った苦無を刃に触れないように右手で掴み取る。

そして軽くジャンプして、飛んできた苦無の勢いを殺さないように身体をひねる。


「はっ、せぇい!」


飛んできた勢いのまま、足場に着地する寸前の姉ちゃんに苦無を投げ返す。

それと同時に左手で苦無を抜き取り、追加で姉ちゃんに向けて苦無を投げる。

現在は2本の苦無が姉ちゃんに向かっている。


「うはっ!アーちゃんマジっスか!?」


姉ちゃんはあたしが避けることを予想していたのか、あたしが投げ返したことに驚いているようだ。

兄ちゃんから身体の使い方を教わっていなかったら、できなかっただろう。


(いまのうちに!)


一瞬とは言え、姉ちゃんが驚いているうちに体勢を直す。

あたしがモルガナ姉ちゃんに向けた2本の苦無は、足場に着地した姉ちゃんに当たる寸前の場所までいっている。


「よっ、とっ――ホイホイホイ!!」

(うそでしょ!?)


あろうことか姉ちゃんは、あたしが姉ちゃんに向けた2本の苦無をあたしがやったように、こっちに投げ返してきた。

しかも1本追加で飛んできている。

合計3本の苦無があたしに向かってきている。


「なんのぉ!!」

「うぇ!?

 それ返してくるんスか!?」


あたしは1本を右手で掴み、2本目をその場にとどまるように軽く弾き、3本目を左手で掴む。

まず軽く身体を浮かせて、両手でつかんだ2本の苦無を身体を捻りながら姉ちゃんに投げ返す。

身体をひねった勢いを利用して、弾いた2本目の苦無をつま先で押し出すように蹴り飛ばす。

最後に着地と同時にもう1本、苦無を追加で姉ちゃんに向けて投げる。


(これで4本!

流石の姉ちゃんでもこれは無理でしょ!)


ほぼ同時に4本の苦無がモルガナ姉ちゃんに向かっていく。

4本は姉ちゃんでも捌き切れないと考え、あたしは姉ちゃんに接近するために

鉄糸を姉ちゃんの上にある丸太に向けて投げ――


「まだまだっスよぉ!!」

「うそぉ!?」


――ようとしたが姉ちゃんの動きによってやめざるを得なかった。

姉ちゃんは2本を両手で掴み、残りの2本を弾いた。

まず初めに掴んだ2本を、その後弾いた2本も掴んでそのままこっちに投げ返してきた。


「流石に4本は無理!!!」


あたしは初めの2本を両手で掴み取って構えた。

その後飛んできた残りの2本の苦無を弾いて逸らす。


「あぶ――」


――なかった。

という言葉は最後まで発することができなかった。


姉ちゃんが返してきた苦無の数は4本だと思い、2本は掴み2本は弾いた。

しかし、最後の1本の後ろにもう1本苦無が飛んできていた。

直線に重なって隠れ、あたしが見えないように。


(苦無の後ろに苦無を隠してたのか…!?)

「ふん…!」


あたしに当たる寸前のところで、構えていた苦無で弾く。


(ギリギリ――)

「気を抜いちゃダメっスよ!」

「!?」


あたしはギリギリで防げたことに気を抜いてしまった。

その一瞬のうちにモルガナ姉ちゃんは、あたしの目の前にまで迫っていた。


(しまっ…!)

「アーちゃーん!」

「へぶっ!?」


あたしは姉ちゃんの動きに対応できず、そのまま姉ちゃんに抱き着かれた。


「うっ、参りました…」


外から見ればただ抱き着いているようにしか見えない。

しかし姉ちゃんのこれは、兄ちゃんに教えてもらった柔術による組付き以上に強固なのだ。

力が強いうえ、うまく関節が動かせないように占められているのだ。


「ふっふっふ。

 戦闘中に気を抜いちゃダメっスよ、アーちゃん」

「はい…」


結局、気を抜いてしまったことが原因で、模擬戦はあたしの負けで終わった。



「ねぇ姉ちゃん。なんで毎回抱き着いてくるの…」


模擬戦闘後に、いつも抱き着いてくる姉ちゃんにそんな疑問を投げかけていた。

姉ちゃんは模擬戦闘をすると必ず抱き着いてくるのだ。


(いや、模擬戦闘じゃなくても普段から抱き着いてくるけど…)

「10歳になるまではアーちゃんから抱き着いてきたじゃないっスか?」

「まあ、あの頃はあたしも小さかったし、心細いのもあったし…」

「10歳になってから全然してくれないんスもん」

「それは、ここでの生活も慣れてきて、ちょっと恥ずかしくなってきたし…」

「なんで、自分から抱き着くことにしたんス!」


モルガナ姉ちゃん曰く、あたしが抱き着いてきていたのが嬉しかったが、それをしなくなって寂しいから自分からあたしに抱き着くことにした、ということらしい。


(まあ、別に害があるわけでもないし、もういいや…)


それだけ姉ちゃんもあたしを好いてくれてるということだろうし。

正直意味が分からないから、もう考えないことにした。

迫った苦無を投げ返して対処しましたが、さらに増えて帰ってきました。

不安定な足場のはずなのになんで二人ともそんな事できるんですかね...

普通無理でしょ...


最終的に姉ちゃんに抱き着かれて負けましたが、この人アーシスだけにやたらと抱き着くようです。

何故...?


★次話は05/15投稿予定です。

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