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修羅の舞う夜に  作者: Lyrical Sherry
第一章 守るための力
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第十一話 ―訓練記録08―

第十一話目です。

チアーラさんが何やら用があるようです。

何の話をされるのでしょうか。

今日はチアーラさんに呼ばれたので、居間に向かう。

居間にはチアーラさんが既におり、テーブルの上には両の掌くらいの水晶が置いてあった。


「何それ?」

「魔力適正確認用の水晶よ。

魔力や魔法についてはもちろん知ってるわよね?」

「魔力は人ならだれでも持っていて、魔法を扱うのに必要な力で、魔法は体内の魔力を消費して現象を起こすこと。

 魔力には適性があって、適性のある系統の一種類の魔法しか使えない。」


魔力や魔法については一般的な常識で、誰でもそれこそ子供ですら知っていることだ。

いくら辺境の村で育ったあたしでも知っている。


「そうね。因みに人以外の動物・植物は魔力を持っていない。

 そういう魔力を持たないものが何かしらの影響で魔力を持ってしまうと魔物になるわ」

「え、魔物ってそうやって出るの?」


魔力や魔法については知っていたが、魔物が発生する原因については知らなかった。

しかし「何かしらの影響」ということは色々な原因があるのだろうか。


「普通魔物なんてそうそう発生することはないし、そもそも魔物に出会うことも殆ど無いものね。

知らない人の方が多いわね」

「あたしが村にいた頃も魔物なんて一度も見たことない。

魔物ていうのがいるってことは知ってはいたけど」

「と言っても場所によっては氾濫と言って、数年に一度大量発生することがあるのよね。

 この国は頻度が高いくて、毎年氾濫が起きるているわね」


氾濫というものも初耳だ。世の中そんなことも起きるのか。


「うん?この国では毎年起こるって言った?」

「ええ。近くに森があるでしょう?

 原因は分かっていないのだけど、ちょうど1年周期で大量に魔物が出てくるのよ。」

「あたしがここに来てから6年経つけど、そんな話一度も聞いたことないんだけど…」

「この国では当たり前だけど、被害の無い村の人達は知らない人もいるわね。

教えるのをすっかり忘れていたわ。」


先に教えて欲しかったなぁ…

あれ?なんでこんな話になったんだっけ?


「話が脱線したわね。今日はあなたの魔力適正を確認しようと思っていたのよ」

「あ、それでその水晶を使うんだね」

「そういうことよ。

さあアーシス、水晶に手をかざして」


そう言われ、右手を水晶にかざす。

するとただのガラス玉のようだった水晶から、淡い白色の光が発せられ文字が浮かびあがる。

浮かび上がった文字は「結界」と書かれていた。


「結界…?」


あたしがそうつぶやいてチアーラさんを見ると、彼女は微笑んだ。


「あなたの適性は結界なのね。

戦闘には正直向かない魔法だけれど、人を守れる魔法よ」

「人を守れる…」

「あなたにピッタリね。」


そう言いながらチアーラさんがあたしを撫でてくれる。


「さて、適性も分かったことだし、魔法の訓練についての話に移りましょう」


彼女の言葉に頷いて答える。


「魔法の適性がわかっても、魔力を扱えないと魔法は使えないわ。

 だからまずは、魔力を感じることからね」


チアーラさんがそう言いながらあたしの手を取る。

すると彼女の触れている手の内側から暖かくなっていく。


「なんかあったかい…?」

「それが魔力よ。

今は私が魔力を流しただけだから、これからはあなた自身の魔力を感じられるように練習するわよ」


チアーラさんを通して感じた魔力を自分の中で探ってみる。

彼女が先に魔力を流してくれたおかげで案外簡単に自分の魔力を感じることができた。

なんというか、温かいものが身体中を巡っているような感覚だ。


「あら、思ったよりも早く感じ取れたみたいね」

「チアーラさんのおかげだね」

「じゃあ、さっそく魔法を使う訓練をしたいところだけれど…」


そこでチアーラさんは言葉を止めた。

何やら気まずそうな表情を浮かべているのだが、どうしたのだろうか。


「何かあったの?」

「魔法は一人で練習ができないこともないけれど、やっぱり人に教えてもらう方が良いのよ。

なのだけど、実は結界魔法は希少な魔法で使い手が少なくて、私が知っているのは一人だけなのよね」

「その人に教えてもらうっていうのはできないの?」


チアーラさんは変わらず微妙な表情をしている。

何か問題があって、教えてもらうと言うことはできなそうな雰囲気だ。


「できることにはできるけど…」

「気の難しい人とか…?」


それならチアーラさんが渋っているのも納得はできるが。


「むしろあの方なら喜んで教えてくれるんじゃないかしら」


チアーラさんから帰ってきた言葉はあたしの想像とは真反対だった。

それなら何故渋っているのだろう。

もしかしたら単に忙しくて時間が取れない人なのかもしれない。


「とりあえず会ってみる?」

「その人が良いなら」


チアーラさんからそう提案されたので、あたしも会ってみようと思った。

別に気の難しい人っていうわけだはないみたいだし、そもそも会って話してみないことにはどんな人かもわからないから。


「なら明日お城に行きましょうか」

「え、なんでお城…?」

「ふふ、会ってみればわかるわよ」


チアーラさんはそう言うだけで城に行く理由は教えてくれなかった。

まあ多分、城で働いている人なのだろう。

そう思ったが、あたしは先ほど聞き流していたことを思い出した。


(そういえばさっきチアーラさん、あの方って言ってたよね…

この人がそう言うってことは、もしかして結構偉い人…?)

アーシスが結界魔法に適性があると分かりました。

教えてくれる人に心当たりがあるようですが、チアーラさんは教えてくれません。

どんな人なのか...


★次話は05/20投稿予定です。

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