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 タッパー型保存容器の販売を開始して数日後。

 今日は食材を買うために市場に来たはずなのだが、いつの間にか種類豊富な野菜を販売している女性・アンナの話を聞いてた。

 すっかりアンナの店の常連となっている芽衣とは世間話はしていたが、ここまで長く話したことはなかった。どうやらアンナには悩み事があるらしい。


「でね、これからは今まで以上に収穫や種まきで忙しくなる季節なんだけど」


「そうですよね。秋は美味しい物もいっぱいありますし…」


 日本にいた時は栗やきのこ、根菜やさんまなどの魚を「今が旬だから」と云って良く食べていた。


(そういえばこっちに栗や銀杏はあるのかな?)


 栗があれば栗ご飯もいいし、焼き栗や栗きんとんにしても美味しい。銀杏は焼いたものに塩や醤油をかけて食べても美味しいし、何と云っても銀杏入りの茶碗蒸しが食べたい!と芽衣は思っていた。

 好きな食材のことを考えていると、アンナは困ったような顔をして云った。


「うちは野菜だけじゃなく小麦も育ててるから、毎年この時期は身体が追いつかないぐらい、とにかく膨大な作業量があってね…。そうなると子供たちのご飯も簡単な物しか作れなくなっちゃうんだよ」


「確かに重労働の後にご飯を作る…っていうのは大変ですもんね」


「そうなんだよ。作業量によっては疲れちゃって、子供たちにはパンと残り物のスープだけっていう食事になっちゃうこともあるし…。まぁもう少し余裕があれば人を雇うってことも出来るんだろうけど、短期で重労働だからか、中々人が集まらなくてね」


 アンナの子供たちの年齢は分からないが、育ち盛りの子の夕食がパンとスープだけなのは物足りないだろうと芽衣は思った。


「そういう日が続くと、毎年子供たちが『自分たちでご飯作る』とか云い出して…。でも大人が見てないと不安だから駄目だと云ってたんだけどね。今年は早い時期に『今年こそご飯作るから教えて』と云ってきて…」


 なんとなくアンナの心配が分かった芽衣は頷く。


「料理をしてくれることは嬉しいよ? でも大人がいない時に子供たちだけで包丁や火を使わなくちゃいけないとなると、どうしても心配になって…。今から教えれば多少は出来るようになるかもしれないけれど、それでも慣れるまでは怪我しないように見守っていないといけないし…」


 ほんの少し自分たちが目を離した隙に怪我や火傷…それ以上に大惨事が起きてしまうかもしれない。それが不安でアンナは芽衣にこの話を持ちかけてきたのだろう。

 何か良いアイディアはないだろうか? そう考えていると、ふいに普段から使っているある道具が頭に浮かんだ。


「そうですね…子供でも使えて絶対に安全な物…というのはありませんが、ちゃんと気をつけていれば調理に役立つ…という物はありますよ」


 芽衣がそう告げると、アンナは喜んだ顔をした。


「本当かい?」


「ええ。でも販売するには商業ギルドに許可を貰わなくてはいけないので、後日また報告しに来てもいいですか?」


「ああ、良い報告を待ってるよ」


 ニコリとアンナが笑ったので、芽衣は目当ての野菜を数個買って家に戻った。




 家に戻った芽衣は早速アプリを開いて考える。


「えっと、子供でもなるべく安全に使える物…と云えば、やっぱり思いつくのはピーラーだよね」


 野菜の皮むきや薄切りにするにはとても便利なアイテム。そして簡単に出来るお手伝いの定番だと思われる商品。けれど刃が付いているので、気をつけないと指を傷付けてしまうこともある。

 便利なピーラーだが皮をむいたり、野菜を薄く切ることしか出来ない。他の商品も探そうと芽衣は思った。


「アンナさんの子供さんたちがどのぐらいの年齢か聞けば良かったかな…」


 年齢が上ならば包丁を扱っても大丈夫だと思う。けれどアンナがとても心配していたので、なるべく刃物は使わせたくないのだろう。


「そうすると…ハサミ?」


 包丁を使いたくない人がネギを切ったりする映像を観たことがある。ハサミだったら比較的柔らかい物を切ることが出来るだろう。それに料理が苦手な人でも手軽なハサミならネギなどの柔らかい野菜を切ることが出来る。


「あとは…一応子供用の包丁も用意しておこうかな」


 幼い頃からお母さんのお手伝いをしたい、と云う子供もいるので、100円ショップには子供用に小さいサイズの包丁が売られていたのを思い出した。普通の包丁と同じコーナーに小さめの包丁が売られていたことを疑問に思った芽衣はその商品をじっくり見たことがある。その時に子供用の包丁が存在していることと、それが売られていることを知った。


「とりあえずピーラーとキッチンバサミ、それと子供用包丁かな」


 アンナの子供が実際に使うかは分からないが、店頭に置けば誰かしらが買ってくれるだろうと思った。

 これで食材を切る物は揃った。他にも調理に便利な物はないかと見ていると、オススメ商品と書かれている商品が目についた。


「あっ、この炒めたり和えたりするのに便利なトング! これ良いんだよね~」


 今は多機能トングという物があり、これ1本さえあれば炒めたり和えたり、更には調味料を量ったり…と、色々なことが出来る。この多機能トングがあれば、色々な調理器具を使わなくても良いので洗い物もグッと減るはず。芽衣からすれば、もっと前から欲しかったと思うぐらい、とても便利な物だと思う。

 実際に芽衣もこちらに来てから購入し、普段使っている商品の1つでもある。


「さてと、キッチン用品はこれぐらいかな。他には…食品?」


 簡単に調理出来る物はないか?と探してみる。


「う~ん…缶詰は開けるだけだから便利だけど、でも家族分のご飯を用意するならとなったら、食材を足してかさ増ししないと量が無いし…。レトルトカレーもパンに合うけど…」


 一応気になった商品は候補として考えておいて、次々と他の商品を見ていく。


「インスタント麺もお湯があれば作れて簡単だけど、毎回インスタント麺だけだと栄養も心配になっちゃうし…」


 どうしようかな?と考えていると、ある商品が目についた。


「これなら良いかも」


 目についたのはパスタソースだった。


「パスタならインスタント麺と同じようにお湯を沸かして茹でるだけだから子供でも出来るし、料理好きな人ならアレンジとか思いつくはず。それにパスタソースなら同じようにお湯で温めてからかけるだけだから料理が苦手な人でも出来るよね?」


 料理が苦手な人でも、とにかくお湯を沸かしさえすればなんとかなるだろう、と芽衣は思った。

 数種類あるパスタソースの中から、今回は無難にミートソースとカルボナーラを選んだ。、今回はアンナの子供たち用だと思い出し、暫らくはこの2種類で様子を見てみようと思って購入した。


「それじゃ明日はこの商品たちをルスタさんに相談してみよう」


 ようやくプレゼン商品が決まり、芽衣はホッと一息吐いた。





既に活動報告にも書きましたが、この作品はここで完結ということにしました。


とても中途半端なところでこの決断をしてしまい、今まで作品を読んでいただいた方々には大変申し訳ありません(>_<)


この続きは体調次第になりますが、新しい作品の方で書く予定です(この続きは書き上げてあるので…そこまでの手直しは頑張ります)。

ブクマをして下さった方々、感想や誤字脱字の報告を送っていただいた方々、本当にありがとうございました。

特に誤字脱字については全く理解しておらず(ログインしてUPしかしていなかったので)、詳細を知りませんでした(>_<) これらを今後は活かしていきたいと思います。


今まで思いつきの拙い作品を温かく見守っていただき、本当にありがとうございました(*^^*)

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― 新着の感想 ―
[一言] 追記: 〜と思ったら新たに改編のがあった!んですね(笑)(失礼しました。 引き続き楽しませてもらいます!
[良い点] こんにちは、週末の息抜きに楽しく読ませていただきました♩ 肩の凝らないご都合展開なお話は、気分転換に気軽に読めてとても好きです。 [気になる点] 主人公氏、借金を早々に返そうとする真面目…
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