表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/52

20

 ソマリたちの待つ待機場所まで戻ると、ソマリはニコニコと笑顔で芽衣たちを迎えてくれた。


「ここからメイちゃんが練習している姿が見えたわ。随分魔法が上手くなったのね」


「ありがとうございます」


 芽衣を妹のように可愛がってくれているソマリは、芽衣が成長していく姿を間近で見ることが出来て嬉しいらしい。

 用意しておいたタオルで軽く手を拭き、リーシャと共にレジャーシートに座る。


「ところでソマリ、君たちは昼食を食べた?」


 シートに座ったリーシャが訊ねると、二人は首を横に振った。


「まだです。どうせなら皆で一緒に食べたいと思いまして」


 どうやらソマリたちは昼食を摂らずに待っていてくれたようだ。


「それじゃ早速お昼にしましょう」


 全員揃ったところでソマリが声をかけると、イルナが準備を始める。

 イルナはマジックバッグからバスケットを取り出し、フタを開いた。そこにはパンと焼いた肉と焼いた野菜が入っていた。

 市販のマジックバッグには時間停止機能がないので、サンドイッチやパスタなどは食べる時間が遅ければ遅いほど味と品質が落ちてしまう。そういった事情があるので、バスケットの中身は少し淋しく思えた。

 その間にもイルナはカップを取り出し、お茶の準備をしている。イルナの準備が終わると、リーシャが声をかけた。


「皆随分待たせてしまって申し訳ないね。それじゃ食事を始めよう」


「ええ」


「いただきます」


 芽衣は用意してもらったパンを手にする。パンには切り目があり、肉や野菜を挟めるようにしてある。

 肉と野菜を挟み、パクッと食べてみる。肉につけられた塩コショウと焼き野菜の食感、そしてパンの硬さが微妙にマッチしていて美味しい。


「美味しいです」


 感想を告げると、イルナが「ありがとうございます」と答えた。どうやら急遽ソマリと共に出かけることになったので、料理人と一緒に慌てて作ったのだという。

 練習のために相当魔力を使ったからか、芽衣はいつもより食が進み、気付くと2個目を食べていた。リーシャもパクパクと食べているが、食べ物の量がどこか物足りなさそうだった。


「あの…私もお弁当を用意してきたんですけど、もし良かったら…少し食べてみますか?」


「食べたいわ!」


 折角作ってきてもらった弁当があるのに、申し訳ない気持ちでおずおずと告げると、ソマリは即答した。


「お口に合うといいんですけど…」


 そう云ってタッパー型保存容器を何個か取り出す。


「メイちゃん、この入れ物は?」


 何個も出てくる保存容器が気になるのか、リーシャが質問してきた。


「これはタッパー型保存容器といって、私の世界では主にこうやって食品を入れて保存するのに使っていました。今でもつい癖で保存容器に食品を入れちゃうんですよね」


 マジックバッグがあるのに、わざわざ食品だけをまとめて別の入れ物にしまうだなんて発想がなかったリーシャたちはとても驚いていた。


「でもこの入れ物ですと、メイ様のように色々なおかずを入れておけば、取り出すのも1つで済むというのは便利ですね」


 保存容器をマジマジと観察しながらイルナが云う。

 普通ならマジックバッグに入れた食品を1つ1つ取り出さなくてはいけないので、量や種類が多い時は取り出しを忘れて腐らせてしまうこともあるという。

 この保存容器なら、必要な食品をそこに入れておけば、取り出しを忘れてしまうことも無くなるのではないか?と云われた。


「これはメイ様のお店で売っているのですか?」


 どうやらイルナは保存容器が欲しいらしい。


「今は販売していないのですが…検討してみます」


「そうですか…」


 僅かにだがシュンッと落ち込んだイルナ。

 もしかしたらイルナのように食品を腐らせてしまう人は多いのかもしれない。そこら辺はルスタたちと相談してみようと思った。

 イルナと話しながら芽衣は保存容器のフタを開ける。そこには卵焼きや焼いた肉、サラダなどのおかずが入っていた。ちなみにおにぎりやサンドイッチは用意してもらったパンがあるので、今回は取り出さなかった。


「この黄色いのは?」


 色々なおかずに興味津々なソマリは、その中でも卵焼きが気になったようだ。


「これは卵焼きといって、味付けした卵をフライパンで焼いて巻いた物です」


「へぇ…綺麗だね」


 形も色も綺麗な卵焼きにリーシャは感心していた。


「早速いただくよ」


 リーシャは卵焼きを取ると、そのまま口に入れてしっかり噛み締める。


「んっ…これは食べたことのない味で美味しい!」


 今回芽衣が作った卵焼きには白だしを入れてある。白だしはラスターニャにはないので、こういった複雑で繊細な味というのは初めての体験になる。

 リーシャは卵焼きが気に入ったのか、もう1つ食べ始めた。それを見てソマリもいそいそと卵焼きを取り、イルナも申し訳なさそうに戸惑いながら卵焼きを取った。


「あら…とても美味しいわ」


「本当ですね。優しい味がします」


 これ以上リーシャに独占されないように慌てて口に入れると、その味に驚きつつも、気に入ってくれたようでパクパクと食べてくれた。

 リーシャたちは卵焼きだけではなく、肉やサラダなども沢山食べた。どうやら心配していた味付けなども問題なかったようで、とても楽しそうに食事をしていた。

 食事を終える頃にはイルナに卵焼きの作り方を教えて欲しいと云われたので、調味料を白だしから塩、コショウに変えた物で説明をした。

 時々質問をしながらも真剣に作り方を学んだイルナは、屋敷に戻った後に料理人と共に卵焼きの練習をするだろう。普段は料理をしないソマリも一緒になって卵焼きの作り方を聞いていた。




7/19

タッパー型保存容器に変更

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ