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洛陽

三人が志の成就を誓いあってから何週間か過ぎる頃、一行は洛陽に到着した。


「都ってのは凄いな・・・こんなにも大きいのか」


劉備は、初めて見る首都の迫力に圧倒されてつつも、笑顔が溢れ出していた。


かく言う簡雍も、ここに暮らす人々の活気に驚いていた。もう過去のこととなりつつある現代日本の首都・東京にすら、人々の活気では劣っていない。


店も沢山並んでいて、中には贅沢品を専門に扱っているところもある。売られているということは、買う者が多くいるということであり、人々の生活が潤っている証拠であった。


「色々と見て回りたいところだが、時間がねえな。」


「ええ。事情を説明する使者は出しましたが、私達は一週間ほど予定が遅れてしまいましたから」


「おっし、それじゃあ急ぐか。徳然、道案内頼むよ。」


道中聞いたが、これから劉備達が弟子入りする「盧植(ろしょく)」という人物と、劉徳然は面識があるようであった。

徳然の道案内で盧植の家に着いたところ、


「劉備殿と劉徳然殿だな!盧植先生から話は聞いている、入るといいぞ!」


随分と声の大きい立派な容貌の男に出迎えられた。


「劉備玄徳と申します。これよりお世話になります、よろしくお願いします。」


劉備が挨拶すると、続けて

「劉徳然です。劉備玄徳の従兄弟です。私もこれより、全身全霊で学ばせていただきたく存じます。よろしくお願いいたします」


劉徳然が恭しく挨拶をする。簡雍も、ちょっと緊張しながら挨拶をした。


「簡雍憲和です。劉備殿と同郷です。・・・ええと、よろしくお願いしまてゅ」


噛んだ。のっけから噛んだ。焦りながら右を見ると、二人とも頬を噛んで笑うのを堪えている。頼む。せめて笑ってくれ。


「俺は公孫瓚伯圭(こうそんさんはくけい)!よろしくな!」



公孫瓚は、快く中に案内してくれた。細かいことをあまり気にしない人物のようだ。


屋敷に入ると、威厳に溢れた初老の男性が待っていた。


三人は先程と同じく自己紹介をした。ちなみに、今度は噛まなかった。


「盧植子幹じゃ。元起殿から話は聞いておるぞ。よろしくのう」


盧植先生は学者だと聞いていたが、想像していたよりも体格が良く、威厳と迫力に満ちている。どちらかと言うと、軍人であると言われた方が納得のいく見た目であった。


「では早速じゃが、お主らは何か学びたい書物はあるかの?」


まずは劉備がこたえた。


「私は「漢書」などの歴史書や、「六韜(りくとう)」などの兵法書を学んでみたく存じます。父が持っていたものを読んでみたのですが、自分だけでは理解に限界がありました。」


「ふむ、よかろう。劉徳然殿はどうじゃ?」


「私はあまり難しい本を読んだことがないので・・・私でもわかるような書物があれば勉強したいです」


「よかろう。簡雍殿は?」


中身が現代日本人の簡雍である。この時代の書物など知るはずがなかった。一瞬誤魔化すことも考えたが、それは卑怯な気がして彼は正直に話すことにした。


「すみません、特には・・・」


簡雍は、ふとした違和感に囚われた。盧植殿は、俺にも教えてくれる気でいるのだろうか?


「よかろう。では劉備殿と同席してもらい、古今の歴史書、兵法書を学ぶとしようか。」



「あの、俺にも教えていただけるんですか?正直なところ、俺はあまりお金も持っていませんし、授業料なんかも払えるかわからないのですが・・・」


「ふむ。じゃが、お主は劉備殿と共にここまで旅してきたのじゃろう?」


「・・・はい。」


「活躍も聞いておる。儂は、将来有望な門下生を金がないぐらいで追い出すような人間ではないよ。とはいえ、何もなしでは他がかわいそうじゃ。そこで、孔子の礼に習い、月に干し肉一束。これで手を打とう。二人もそれで異存はないか?」


「もちろん。憲和と一緒に学べるのであれば、私も心強いです」


「憲和殿、良かったですね!」


「あ、ありがとうございます!」


簡雍だけ授業料を特別に安くする、という話を二人の目の前でしたにもかかわらず、二人は嫌な顔一つせず、心から祝福してくれていた。


「ふふ、良き友を持ったのう。これからが楽しみじゃ。では早速、明日から始めようか。ワシの書庫から、先程言った書物を持って行って良いぞ。」


「何から何まで、ありがとうございます。」


盧植殿の家を出て、俺達は劉元起殿の別宅を住居とすることになった。劉徳然の父親の底知れぬ力を感じつつ、ありがたくお世話になることにした。


それぞれの部屋を与えられたおかげで、三人は久しぶりに布団でゆっくり眠ることが出来た。


いよいよ明日から本格的な勉学が始まる。各々、緊張したが、今日は疲れを取ることに専念することにした。

この時点で、「劉備の勉学に簡雍がついて行っている」という変化が起きています。


史実よりも少し簡雍が兵法に通じるようになるかどうかは、これからの努力次第です。



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