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リベンジ成功

 吸血鬼騒動も一段落つきトント村にはまたおだやかな日常が訪れていた。


 そんなある日王都から帰ったクラウドへの報償を届けにエリック達一行がやって来ている。最も、予想通りではあるがリリーが便乗してきておりエリスと共にトント村を満喫していたようだ。その日の夜になりリリーがマーサ婆さんの家にやって来た。



「クラウド、星!星見に行こう!」



「うん?そういやしばらく行ってないな。ルークとタニアちゃんもどうだい?」



「うん、もちろん行くよ!」

「ええ。楽しみね!」



 久しぶりに夜空の散歩をリリーにねだられたクラウドがルークやタニアと一緒に出掛けようとした時である。広場に移動している途中でエリックとファンクに見つかった。どうやら村長のロデリックから歓待を受けていたようで酔い覚ましに外を歩いていたようだ。



「これは皆さんお揃いで。どこかに行かれるのですか?」



 リリー達に気づいたエリックが声を掛けて来た。



「空!星を見に行く・・・よ!」



「そ、空ですか!?」



 リリーの返答に驚いたエリック。しかし彼女達を引率するのは間違いなく自分が知る限り最高の魔術師である男。更にはルークとタニアが同行している時点で危険な場所に行く筈が無いと確信出来る。危険では?などと聞く必要が無い。



「ほう!それはそれは!面白そうですな!是非私共も行ってみたいですな!」



「ええ、面白そうです!私も是非お願いしたいですね。」



「仕方ないな、人数もなんとか乗れる数だしまぁいいか。」



 エリックとファンクに同行をせがまれた結果6人で出発することになる。


 そして夜空へと昇った一行。最初は星空の海とでもいうような見た事もない絶景に見とれて声も出ないエリック達であったが、その後の光景を見て絶句する。



 その理由は空高く舞い上がったタニアの気配を感じた麒麟がスカイパレスから飛び出してやって来たのである。まるで時間が止まったかのような美しい景色の中、巨躯に雷を纏い近づいてくる一匹の神獣。



「タニア殿!気配を感じてまさかと思いましたがやはり貴女でしたか!」



「え、えぇ、み、皆で夜空を見に来たの・・・」



 話しかけられたタニアを含め全員がドン引きしているがその原因である本人には自覚が無いようだ。



「そうでしたか!そうだ!せっかく夜空を満喫しに来られたのでしたら私もお力になりましょう!さぁ私の背に乗って下さい!」



「えぇっ!?の、乗れないよ!」



「何の!ご遠慮なさら「阿呆かお前はっ!!」」


 バキィッ!!


 タニアの前に出たクラウドが麒麟の前に立ち下から怒りの鉄拳を突き上げた。見事に麒麟の下顎を捉え麒麟の顔が上へと弾けてよろめいた。



「ごはぁっ!?・・・なっ何をなさるのですかっ!!」

やかましい!タニアを誘うならその電撃を引っ込めろこのど阿呆が!」



「!!こっ、これは申し訳ありません!!」



 迸る雷を身に纏い背中にのせようとした麒麟が慌てて魔力を操作し雷を静める。



「さ、これでもう問題はありませんね!」



 満足気にそういう麒麟。しかし隣でそんなやり取りを見ていたエリックからしてみれば問題だらけである。そもそも地面が見えない程の上空にいるというのに動き回る麒麟の背中になど乗れる筈が無いと考えているのであるが、



「え、えぇそうね。それじゃあせっかくだしちょっとだけお願いしようかな。」



 タニアの返答に目を開いて驚くエリック。慌てて周囲を見渡すが自分と同じように驚いているのはファンクだけであった。


 背に乗ったタニアを楽しまそうと夜空を縦横無尽に駆け回る麒麟。



「きゃははっ、凄い凄い!」



 マーサ婆さん譲りの胆力で大空を満喫したタニア。しかし大はしゃぎするタニアを見て黙っていられないのがリリーである。

 自分もしたい、どうしてもしたい!と言い出した。エリックに止められるも聞くはずが無く、タニアに頼まれた麒麟がリリーが乗る事を渋々了承し大空へと羽ばたいていく。


 国王には内緒にするという共通認識をエリックとファンクが持つ中、夜空を翔けるリリーと麒麟を眺めていたルークに気づいたクラウドがルークも行けば良いと言い出した。



「ええ!?だ、大丈夫かな?」



 ルークの「大丈夫か」という意味は王族のリリーでさえなかなか乗せなかった麒麟が自分を乗せてくれるかな?という意味であったが、クラウドはルークが麒麟の上が安全か心配していると勘違いした。その結果、



「よし、それなら俺と行くか!」


「・・・へ!?」



 言っていることの意味が分からなかったルークが呆けたような声を出した時であった。



「よーし、それじゃ行くぞ!【空の歩行者スカイウォーカー】」



「うわわわっ!?」



 ルークの身体がゆっくりと宙に浮かんだ。空の歩行者は対象者の身体を浮かし足元に魔法による疑似的な足場を作り出す。対象者の意識により発動する足場は慣れれば空の上を地面同然のように走ったり、階段があるかのように上がったり下がったりすることが可能。習熟すれば戦闘ではとても有用で、空中を疾走して頭上から襲い掛かったり危険時に空中へ避難したりと非常に便利なのである。



「わっ、私もやるっ!!」



「おっ、やるかいリリーちゃん?ようしそれじゃあルークとどっちが先に慣れるか競争だな!」



 楽しそうなことには何でも参加してくるリリー。引っ込み思案と思っていたエリック達がリリーの積極的な姿を見て驚いている。


 その後、しばらく練習時間を取ったあとで始まった夜空のかけっこ対戦はルークが待望のリベンジを果たす。常日頃の走り込みの成果であり見ているクラウドも上機嫌である。

 悔しがって再戦を挑むリリーに対し3連勝を上げるルーク。タニアやクラウドに褒められるルークには満面の笑みが浮かんでいたのであった。

 最もその結果リリーが拗ねてしまい必死になってなだめているのは苦労人代表エリックとファンクである。


 良い気分で酒を飲んでいた2人の酔いはすっかりと醒め、子供を慰めるという不慣れな行為に四苦八苦する2人は例え敵が居ようが居なかろうがクラウドに同行すれば必ずなにがしかの苦労を背負いこむということを改めて心へ刻み込むのであった。



 尚クラウドが貰った報奨金は国家を救ったということで破格の金額となっていたのですが、金額も見ずにアイテムリングへと放り込まれております。何かお金を使うシーンも考えておりますが・・・

 何か良いネタ見つけるまではご容赦下さい・・・

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