150話 頼りなお化け
※キクエ視点
夕方の公園。
サクラさん、セイコさん、アラト君、私。
サクラさんに相談したら、すぐ見てくれるとのことだったので、アラト君を呼び出した。
セイコさんが来たのは想定外だったけど。
「だめ、定着、してる。」
サクラさんの声が響く。
私のせいだ。
どうしよう。
アラト君に変な手形が残ってしまう。
「今すぐ、何かあるわけではないはず、多分。」
「多分って、この先何かあるかもしれないってこと?」
「可能性は、ある。」
「……。」
言葉が、出ない。
可能性。
その一言で十分だった。
十分すぎるほどに。
「……どのくらい。」
自分でも、何を聞いているのか分からない。
「……わからない。」
サクラさんは、あっさりと言う。
「個体差、あるから。」
「……。」
個体差。
そんな未知数なもの、当てになるものか。
「……いやいやいや。」
アラト君が小さく笑う。
「何の話してんの?さっきから。」
「……。」
「俺、何ともないんだけど。」
「……。」
分かっている。
本人は、何も感じていない。
だからこそ——
「……問題です。」
小さく、言う。
「え?」
「問題です。」
繰り返す。
「……いや、だから。」
「問題です。」
「……。」
アラト君は、少しだけ黙る。
「……。」
「……キクエちゃん。」
セイコさんが、少しだけ困ったように言う。
「……。」
「……大丈夫だよ。」
「……。」
何が。
何を根拠に。
「……大丈夫じゃないです。」
即答する。
「……。」
「……現状、原因不明。」
「……。」
「対処不能。」
「……。」
「継続する可能性あり。」
「……。」
「……問題です。」
「……。」
言葉が、止まらない。
整理する。
整理しないと。
「……キクエ。」
サクラさんが、声をかける。
「……。」
「……それ、やめた方がいい。」
「……何を。」
「……考えすぎ。」
「……。」
「……。」
一瞬だけ、止まる。
「……。」
でも。
止まれない。
「……私の責任です。」
小さく言う。
「……え?」
アラト君。
「……私が提案しました。」
「……。」
「コックリさんの検証。」
「……。」
「……。」
「……それで?」
「……。」
「……その結果が、これです。」
「……。」
「……。」
沈黙。
「……いや。」
アラト君が、ぽつりと。
「結局、俺もやってるし。」
「……。」
「……。」
「……関係ありません。」
「え?」
「提案者は、私です。」
「……。」
「……責任は、私にあります。」
「……。」
「……。」
セイコさんが、小さく息を吐く。
「……。」
「……キクエちゃん。」
「……。」
「……落ち着いて。」
「……。」
「……。」
落ち着いて?
落ち着いてなんていられるわけない。
アラト君にもしも何かあれば——
「……。」
私は結局動くことを止められない。
「……どうにかします。」
小さく言う。
「……。」
「……どうにか、します。」
繰り返す。
「……。」
サクラさんは、少しだけこちらを見て、
「……。」
「……無理だよ。」
「……。」
「……そういうやつじゃない。」
「……。」
「……ズレてない。」
「……。」
「……。」
一拍。
「……でも。」
ゆっくり口を開く。
「……。」
「……心当たりは、ある。」
「……。」
「……あの人なら、たぶん。」
「……。」
セイコさんも、小さく頷く。
「……。」
「……あー、私も。」
「……心当たり、ある。」




