14話 出てこないお化け
——新台入替のため、本日休業。
「……マジかよ。」
小さく息を吐く。
ポケットに手を突っ込む。
100円ライターを指で弾く。
「……どうするかな。」
少しだけ考えて、顔を上げる。
「……まあ、たまには気分変えるか。」
歩き出す。
——
自動ドアが開く。
音が流れ込んでくる。
いつもと違う、聞いたことがある曲。
「……。」
少しだけ、うるさい。
店内を見回す。
配置が違う。
客の顔も、なんとなく違う。
「……落ち着かねえな。」
いつものお気に入りの機種に座る。
派手に負けないけど、派手に勝てない台。
サンドに千円札を入れる。
レバーオン。
リールが回転する。
止める。
外れ。
「……。」
もう一回。
レバーオン。
リールが回転する。
止める。
外れ。
「……。」
何もない。
レバーオン。
リールが回転する。
止める。
ーー当たり。
「……。」
一瞬、視線が横に流れる。
——誰もいない。
「……。」
小さく息を吐く。
「……ハモらねえな。」
ボーナスが始まる。
音がやけに大きい。
「……。」
淡々と消化する。
——終わる。
少し回して、手を止める。
「……。」
周りを見る。
誰もこっちなんて見ていない。
「……当たり前か。」
席を立つ。
喫煙所へ向かう。
さっきより、少しだけ静かだ。
「……。」
煙草を取り出して火をつける。
一口吸う。
「……。」
ゆっくり吐く。
「……なんか、しっくり来ないな。」
誰に言うでもなく、つぶやく。
「……。」
少しだけ間。
視線を落とす。
「……いつもと違うのは、ダメか。」
風が少し頬を撫でた。




