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修復ギフト持ちの貴族の息子でしたが追放されました  作者: ヒコしろう


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第144話 トラウマと戦う

ガルバさんは獣人族の中でも戦闘能力に長けたライオン型の獣人であるにも関わらず、賜ったギフトにより他者の心を勝手に読んで、勝手に傷つく繊細な心の持ち主であり、そこに師匠である先代の長が近隣の集落を守ろうとスタンピードに立ち向かい亡くなってしまったのを間近で見た為に、魔物と悲しいトラウマが直結したという気の毒な方なのであるが…


「ほらアンタ! ジョンさん達が周りをちゃんと守ってくれてるから…」


と奥さんであるエルザさんに励まされながら森ネズミという繁殖力だけで生き残っているようなヤトル山脈のふもとの森にて生態系の土台近くをガッチリ固めるネズミ魔物から魔物に対してのトラウマを取り去るリハビリを開始しているガルバさんが、全く相手の動きに対応出来ていないようにオロオロしているのを見ると、


『本当にガルバさんは強いのだろうか?』


と心配になってしまうのである。


師匠であるエルザさんのパパが亡くなる数年前までは普通に魔物も倒せる狩人だったらしいのだが、今の姿を見るに、冷静さを失くし焦っている上に魔物を直視するのを無意識に避けているらしく、野生の魔物の動きに全く対応出来ていないのだ。


『拳で戦うタイプなのだから近づかないと一撃も入らないわな…』


と、僕がちょっぴり失礼な事を考えてもガルバさんが心の声を正確に聞こえないらしい距離を保ち、唯一近場で応援しているエルザさんに励まされながら目の前の森ネズミではなく見えないトラウマと戦っているガルバさんを僕たちは、他の魔物や近隣の集落の狩人などが飛び出さないように警戒しているのだった。


『追加の魔物は勿論来ないようにしないと駄目だけど、特訓風景を他の森の民に見られたら長としての威厳もクソもないもんな…』


などと、そんな感じで最初こそ不安たっぷりの滑り出しだったが、エルザさんからの、


「ほら、構えた自分の腕を見て! 親父がアンタと一緒に戦ってくれてるんだよ。 頑張れウチらの旦那様なんだからっ!」


という言葉と僕が修復した獣の腕輪がガルバさんに力を与えた様子であり彼は日に日に自分の力でトラウマを克服しつつあった。


そんなある日、狩り場から集落に戻る時にたまたま出会った長の座をいつか奪おうと狙うライバルから、


「おうガルバどうしたよぉ、ここ何年も巣穴から狩りに出て来なかったのによぉ…嫁さんと狩り場で…」


と、心が読めない僕たちにも、


『軽く馬鹿にしてるな…』


と感じる冷やかしにもガルバさんは、


「おう、家で酒ばかり飲んでいたらこの通りよ」


と自分の腹を軽くさすりながら、


「妻達が痩せろ、痩せろと煩いから大事な客人の狩りの案内がてら監視付きで運動してるんだ…どうだ美人の妻の声援つきで羨ましいだろ」


と煽り返す余裕まで見せていたのであるが、ライバルが去った後にガルバさんはエルザさんに、


「エルザぁ、アイツまだシシルを嫁にした俺の事を本気で恨んでいたよぉ…」


などと心を読んでしまい傷ついた事を泣きついていは、エルザさんから、


「シシルも言ってたでしょ、あのダダンはタイプじゃないから三回もフッてやったって…」


などと励まされるという繊細さを目の当たりにした僕は、


『あと少しなんだよな…あぁ、オズの魔法使いってのに勇気が無いライオンってのが居たな』


などと思い出し、 


『あのライオンってどうやって勇気が既に自分の中に有るって気がついたんだっけ…』


と考えているとアル君が、


「旦那様、何か考え事ですか?」


と僕を心配してくれ、僕が、


「あぁ、勇気の無いライオンってのが出てくる物語があってね…」


とガルバさんに心を読まれない距離を保ちながらアル君に簡単なオズの魔法使いの話をしたのであるが、アル君は僕に、


「あの…前々から思ってましたが、旦那様…」


と言い難そうに話しだし、彼は僕の首辺りを見ながら、


「ダンジョンで手に入れられた勇気の首飾りをガルバさんに差し上げてみては…」


と、提案してくれたのであった。


それを聞いた僕は、


「なぁぁ! 忘れてたよ」


と思わず声を上げながらガルバさんに駆け寄り、自分の首に何となくで装備し続けていた勇気の首飾りを外して彼に差し出し、


「コレをあげますから常時身につけて下さい」


と手渡すと、ガルバさんは、


「いや、俺は…その…確かに自信が無くて上手く…あれだ満足はさせられないにしても妻達が…そう女が好きであって…」


とモジモジしだし、エルザさんはそれを見て、


「旦那様…ウチでも知ってますよ自分の装飾品を渡すと、愛の告白や家族として認めた証になるのは森の民の風習で隣のコーチャーなどでは普通の事ですよ」


と、呆れた上で、


「だとしても普通はジョンさんが旦那様を家族として認めた証として首飾りを渡したと考えませんか…はぁ~…夜の事までバラしてしまって…」


などと顔を真っ赤にしながらもタメ息まじりにガルバさんの勘違いを注意していたのであった。


なんとなく理解ができた『自信がなくて満足させられてない』という件についてはあえて触れない事に決めたのであるが、知らなかったとはいえ、どうやら僕は森の民の流儀では生まれて初めてのプロポーズをこの一夫多妻意気地なしライオンに捧げてしまったらしく、


『こんなのって…』


と、大変失礼な感想を考えながら落ち込む僕と、その僕の思考がギフトにより流れ込み凹むガルバさんという誰も幸せにならないプロポーズだったのだが、膝から崩れ落ちるガルバさんにエルザさんが、


「ほら、折角頂いた首飾りですから…」


と勇気の首飾りを装着させた途端に、


「あれ…」


と小さく呟いたガルバさんはキョロキョロと辺りを見回して、


「何か変だ…」


と、エルザさんに報告しているのを見た僕は、


『よし、効果が出てるな』


と確信しリーグさんに、


「リーグさん、ガーをガルバさんに止まらせてみて」


と、カラス魔物であるガーを従魔と知りながらも微妙にビビっていたガルバさんとガーをふれあわせてみると、ガルバさんは一瞬、


「なっ!」


と慌てはしたが、落ち着いてカラスというより大型の鷹ほどあるガーをそのたくましい腕に止めて、自分でも驚いたようにガーを撫でながら、


「真っ黒かと思っていたが案外綺麗なんだな…」


と、角度や光の加減により少し青や紫にも見えるガーの羽を見つめていたのであった。


『なんで早く気が付かなかったのか…』


と反省したのであるが、どうやら勇気の首飾りは僕には気持ちが大きくなり喧嘩を買ってしまいタコ殴りの目に合うだけの糞マジックアイテムであったがガルバさんには最高の相性だったらしく、彼に勇気の首飾りをプレゼントした翌朝、


「ジョン殿、コレのお陰で自信が漲り…」


と【あくまでも使用者の感想です】とテロップが出そうな報告と、艶々な奥様達がニコニコしている為に、人生2周目の僕は直感的に、


『あぁ、昨夜はお楽しみだったか…』


と理解したのであるが、それをギフトにより読んだガルバさんは、嬉しそうに、


「そうなのだ…」


と、如何にこの勇気の首飾りが凄いアイテムかを語りだし、詳細までは聞きたくもないが少しは気になる昨夜の出来事を熱く語りながら、


「本当にこんな凄いアイテムをもらっていいのか?」


と確認をしてくるので、僕は、


「喜んで頂けて何よりです…たぶんその首飾りはガルバさんに渡す為に神様から僕に託されたと思うぐらい、僕にはあまり必要でなくてガルバさんには絶対に必要なアイテムみたいですから…」


と答えると、ガルバさんは僕に抱きつき、


「ありがとぉ~」


と、頬擦りをしながらゴロゴロと喉を鳴らして喜ぶのであった。




読んでいただき有り難うございます。


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