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修復ギフト持ちの貴族の息子でしたが追放されました  作者: ヒコしろう


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第143話 獣の腕輪

修復にとりかかった獣の腕輪は何の魔物素材を混ぜ込んでいるかは分からないが、古のドワーフ族が作った魔合金製の腕輪だ。


素材に付与された効果を強くするのではなくて、素材に秘められた力を使用者に付与する為の古代ドワーフ族がエルフ族の作るマジックアイテムから解析したルーン文字を真似たドワーフ族特有の文字が有る事から何かしら使用者のステータスを上昇させる効果が有るのは確実である。


とまぁ、そこまでは我が家の作業小屋にて様々なマジックアイテムを修復しては調べた僕の知識でも判定可能なのだが、問題はエルフのマジックアイテムは文字の形に魔法の仕組みを組み込んだ回路なのに対して、古代ドワーフ族のマジックアイテムは魔物素材の能力を金属に定着させて引き出すという独特な物である為に、


『変形しただけだし、見たことのあるドワーフ族のルーン文字だから、素材もミスリルとかでも無いしエルフ族のルーン程複雑でもないからイケるでしょう!』


と、修復するのは難しく無いと思っていたのであるが、エルザさんに腕輪の効果を聞いた後に、


『なんだか複数の効果を与えるアイテムなんだな…へぇ~、珍しい』


とは思ったがそこまで深く考えずにその場でこの腕輪にリペアの魔法を使った。


すると、僕は魔力供給間道具の中の魔石全てと僕の魔力も殆ど持って行かれて、久しぶりに気絶するように眠りにつく事になってしまったのであった。


翌朝、気がつけば僕は長の家の洞窟エリアの広間の端で寝かされており、アル君に、


「目が覚めましたか旦那様。 良かったぁ~、急に倒れたから心配しましたよ」


と言われ、ルーベルさんからも、


「体の調子は?」


と聞かれたので、僕が、


「魔力切れだからもう大丈夫」


と告げると、ルーベルさんは、


「では王都に報告しておきます。 定時連絡の前にジョン殿が倒れたので、その時に報告をして宰相閣下も心配されておりましたので」


と、どうやら僕が目覚めたら報告するように言われていたらしく、心配をかけた事に恐縮してしまう。


しかし、ゴーレムコアの修復などで倒れるまで修復作業をしていた僕を知っているリーグさんやバルディオさん、それに自身も水魔法を倒れるまで使った経験があるダグさんは、


『魔力切れか…』


と、僕の倒れた理由を理解しており、


「おはようございます」


程度の通常運転なのであるが、魔力量が少なく日常的に狩りなどに魔法を使う者が希な森の民の方々には初めての魔力切れの現場だったらしくかなり動揺されていた。


同じ様に驚いたらしいアル君に、僕は、


「子供チームがビックリするから我が家ではギリギリまで修復ギフトを使う時は出来るだけ見えない場所で作業してたからね」


などと説明していると、ライオンやらトラやらハイエナやらと強そうな顔ぶれが集まり、


「良かった!」

「目覚めた?」


などと僕の顔を覗き込むのであるが、これには逆に僕が、


『食われるの?』


と少しビックリしてしまう。


僕が寝かされていた洞窟の広間は集落の集会場も兼ねており、僕が魔力と引き換えに修復に成功した獣の腕輪を見たエルザさんが、形見が直った嬉しさと、僕が倒れたという驚きから大騒ぎして、昨夜は家の方々だけではなくて集落の方々まで集まる騒ぎになったらしく、リーグさん達の説明で何とかその場は静まり、ガルバさんも、


「寝ているだけなら…」


と納得してくれたらしい。


しかし、先代の形見を直してもらった事にエルザさんに負けないぐらいガルバさんもに僕に感謝しており、殆ど寝ずに僕の目が覚めるのを待っていたそうで、現在僕は懐いたイエネコばりにライオン顔の男性に抱きつかれてスリスリと頬を擦り付けられているのである。


ひとしきりスリスリして満足したらしいガルバさんは、


「先代の長の腕輪が直った祝いと、その腕輪を見事に直してくれた恩人を歓迎する宴をやるぞ!」


長として集落の方々を集めて、集落の広場にて宴を開催し、僕たちからの手土産の葡萄酒を皆に振る舞い、我々もダグさんが中心となり作った料理で宴を盛り上げ、その日は狩りなど全ての予定をキャンセルした集落は一日中お祭り騒ぎであった。


そしてその夜、僕はガルバさんとエルザさんに広間の奥に呼ばれ、二人から…というか、第二夫人というハイエナ風のミーシャさんと第三夫人のトラ顔のシシルさんというガルバさんご一家から感謝されたのである。


第二、第三夫人の方々は既に昨夜僕がブッ倒れた後に僕以外のメンバーとは挨拶が済んでおり、今朝もあまりの嬉しさから正式な挨拶も未だなのに宴に雪崩れ込んだ件をガルバさん一家は気にしていたらしく、改めての挨拶となったのである。


だけど既に目覚めたすぐに、まるで獲物に群がる肉食獣として獲物アングルから見上げるような対面をしていた僕としては、


『やっぱり他の奥さんも強そうだな…』


という感想しかないのであった。


しかし、この強そうな面構えの並ぶガルバさんご一家にも悩みの種が有ったそうで、それが先代の長もその前の長から受け継がれていたという腕輪の破損により、


「長の証が無い」


という理由からガルバさんは微妙に他の集落の猛者達から舐められて、


「本当の長と言えないなぁ」


などと決闘を申し込まれる事があり大変苦労をしていたそうで、三名の奥様達が、


「腕輪が無くても旦那様は強いのに腕自慢が長に成ろうと名乗りを上げて…」


と、うんざりしながら、


「そうそう、旦那様が負けたら私たちまで戦利品として自分のハーレムに入れてやるとか大口叩くし」


とか、


「そうなんですよ、そして旦那様が勝ったら勝ったで、負けたその集落の腕自慢の妹だのが決闘を挑んだ詫びとして我が家に増えてしまってねぇ」


などと愚痴る程に困っていたらしく、本日の宴はそんな【詫び】としてこの家に送り込まれているスパイ達に腕輪の修復を見せびらかす意味が強いのだそうだ。


そして、宴の終わった今は、僕に正式な感謝を伝える為にこの場を設けてくれたそうで、完全にエルザさんが議長となりミーシャさんとシシルさんが両脇を固める大臣のような感じで、僕としては、


『とりあえず、この家庭の序列がなんとなく解ったな…』


と、考えているとガルバさんが、


「ジョン殿、その通りだ」


と、テーブルの端で苦笑いしているのを見て、


『あぁ、そうか、心が読めるんだったな』


と、ガルバさんの生き辛そうなギフトを思いだし少し気の毒に感じる。


さて、長に受け継がれていた腕輪を装着する事により、完全なる長にクラスチェンジしたガルバさんであったが、腕力や脚力、それに防御力まで上昇する神アイテムを手に入れたとしても受けたトラウマにはあまり効果が出ないらしく、集落の中に飼われている牛魔物ですら小規模スタンピードから集落を守ろうとして命を落とした師匠である先代の長の最期がフラッシュバックして軽く体が強張るそうで、


「このサイズならまだ一瞬反応が悪くなる程度だけど…」


と、小声で教えてくれるガルバさんがトラウマを乗り越えて自信を取り戻せるように、周辺の森で魔物を狩って魔石を集めて、最終的には一緒に地竜を狩るまでが目標なのであるが、僕としては


『魔物を前に、その一瞬が命取りにならないかな?』


と不安に思う。


すると、ガルバさんは凄く申し訳なさそうに、


「面目無い…」


と頭を下げる。


『ハートにダメージが入るなら心を読まなきゃ良いのに…』


と思ってしまうが、どうやら常時発動タイプのギフトらしく、


「集中したら鮮明にならなりますが、耳を塞ごうと勝手にある一定は聞こえてしまって」


と、ガルバさんのメンタルが安い絹ごし豆腐ばりに弱いのに、そんな剥き出しのプルプルハートに直接ダメージが入るようなギフトだということが不憫に思えた僕は、そこで、


『ガルバさんに一歩踏み出す勇気を与える事が出来れば…バタコさんに新しい顔を投げつけてもらって元気百倍になる機能でも有れば楽な話だが…』


などと、彼の心配をしている僕の心の声を聞いたらしいガルバさんは、真っ青な顔をしながら、


「新しい顔とは? 俺の首をはねて新たな長を立てるという事か…バタコなる人物は素手で首をはね飛ばすのか?」


と、大層ビビっているので、僕はこのやり取りが面倒臭くなり、


「もう、ガルバさんのエッチ、覗かないでっ!」


と、とあるお風呂大好き少女を真剣にイメージして言ってみたのだが、ガルバさんは、


「いや、こればかりは勝手に聞こえると言うか…」


と、アタフタするだけでだったので、


『そうか、音声だけでイメージは伝わらないのか!』


などと自分なりの実験を終わらせた後に、心の中で、


『ガルバさん、聞こえますか?』


と話しかけ、彼が、


「うん…」


と答えたのを聞いてから、


『僕にも秘密が有るから聞いて下さい…』


と、前世の記憶があってガルバさんの知らない変な事を考えている事があるが、それはそういう【変な奴が変な妄想をしている】と、いちいち反応せずに受け流して欲しい件をお願いしたのであった。



読んでいただき有り難うございます。


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頑張って書きますので応援よろしくお願いいたします。


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