協力
明けましておめでとうございます。3話目ですが、これから宜しくお願いします。
「やめろ・・・」
アオの話を遮る影狼。
(ごめんなさい。辛い過去を思い出させてしまって)
謝るアオ。
(でもこれで、証明できましたか?。私はここからずっとあなたの成長を観てきました。ある目的を果たす為に・・・)
「目的?」
(はい。その為にあなたには力を付けて貰います)
「力を?」
(そうです。今のあなたのままでも十分強いと思います。忍者の知恵や技術、それに人狼の並外れた力・速さ・回復力。この点はこの世界でも規格外のものになります。ですがこの世界には、魔法というものが存在します。あなたにも分かり易くいえば妖術のようなものです。この魔法を甘くみると、いくらあなたでも無事では済まないでしょう)
「その魔法とやらは、さっきあんたが俺を取り押さえた時に使ったものか?」
影狼はあの青い無数の手のことを思い出す。
(当たらずと雖も遠からずです。先程の力は魔法とは少し違います。あれは私だけの能力と言っていいでしょう。ですが、根本的な力の源は魔力というものを使っていますので完全に違うとも言い切れません)
「魔法は俺にも使えるものなのか?」
(無理ですね。あなたには魔力を感じませんので才能がないのでしょう。そもそも、人間には魔法を行使できる者は少ないのです)
「なら、どんな力を付けるんだ?」
(私の力を分け与えます)
「そんなことができるのか?」
(できます。しかし制限がありますが・・・)
「制限とは?」
(力が必要な時に私はあなたに魔力を与えます。ですが、魔力がない者に魔力をずっと与え続けているわけにもいかないので、普段は魔力の供給を止めておきます。そして力が必要な時が分からない以上、常に私はあなたのそばにいることになります)
「やはり、取り憑くんだな・・・」
(なっ!?取り憑くんじゃありません!!保護者としてあなたに四六時中付き添うだけです)
「そういうことにしておこう」
(むぅ)
納得いかないのか、また頬を膨らますアオに俺は条件を出す。
「しかし、そちらの目的を果たす代わりにこちらの目的も聞いて貰いたい」
(それは、あの侍のことですね?)
俺は頷く。しかし、アオは難しい表情をしている。そして話す。
(正直に言いますと、あの人物が何処にいるのかわからないんです。この世界の何処かには居ると思うんですけど、あなたを私の近くに呼ぶことに集中しすぎて、侍は適当に飛ばしてしまったんです)
アオが申し訳なさそうにこちらを見る。
(でもでも、あのままあなたが戦っていたら確実に死んでましたよ。あの人物はそれほど危険です。それで私が急遽こちらに呼んだわけです)
「俺が敗けると?」
(はい、あなたに勝ったこの私が言うんですから間違いありません)
確かに俺はこいつに負けた。だが、あの侍と俺はそこまでの実力差は感じられなかった。それに、勝負は時の運もある。確実に死ぬなどいい気れるものなのか疑問だ。
(今、勝負は時の運とか思ったかもしれませんが、あの場では確実にあなたの敗けです。それほどの力を感じ取れました)
曲がりなりにもアオは強い。その実力者がここまで自信を持って言うなら、確実に死んでいたのだろう。
(でも安心して下さい。私と一緒に力を付けることでそちらの目的にも貢献できると思いますから。)
確かにこいつの力があれば負けないだろう。その為にはこの話に乗るしかない。それに、まずはあの男の居場所を探さなければならない。それは、道中で情報を集めればいいだろう。そうと決まれば。
「分かった、あんたの力を借りよう。それで力を付けた後の目的は教えてもらっても良いか?」
(それは・・・世界を救ってもらいたいのです)
正月は忙しいようで、寝正月。