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闇の牙  作者: 神羽天仁
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序章

始めての投稿で見切り発車なので、不備な点・意味不明な点があると思いますが、完走したいと思いますので、よろしくお願いします。

 時は戦国・・・。ひぐらしが鳴く薄暗い夕暮れ時に、2人の人物が森の中で対峙していた。


 一人は忍び装束の男・・・忍者だ。


 もう一人は、長髪の黒髪を結った侍。右眼には眼帯がされ、女性と間違えそうな綺麗な顔をしているが男性だ。


  2人はお互いに睨み合い、相手の次の出方を窺っている。その均衡を先に破ったのは忍者の方だった。忍刀で正面から斬り掛かる。侍はそれを最小限の動きで躱し、忍者に刀を振り下ろした。

 忍者の胴体が2つに分かれた・・・かのように思われたが、宙を舞う2つに分かれた物体を目で捉えるとそれは丸太だった。


 〝変わり身の術か″


 侍が瞬時にそれを理解した矢先、横から風の切る音がした。背後に回っていた忍者が、その首を切り落とそうと水平に斬り掛ってきた。侍は身を屈めその一閃を避け、柄の先を忍者のみぞおちに思いっきり打ち込む。吹き飛ばされる忍者は地面に落ちると同時に転がり、勢いを殺して起き上がる。忍者にたいした致命傷は見られなかった。柄の先を手のひらで受け止めていたらしい。


 そしてまた先ほどのように対峙する。


 ここで、侍が口を開く。


 「そなたの目的は敵討ちか?」


 忍者は無言のままだ。侍は気にせず話を続ける。


 「済まないと思っている。だが、某はまだ武者修行の途中・・・今はまだ死ねぬ。もっと高みを目指し強き者とも戦いたい」


 「・・・」


 「しかし、いつか必ずそなたのまえにまた参る。その時はそなたの思うがままにしてもらって構わぬ。その時まで待ってもらえぬか?」


 だが忍者は、構えを解こうとしない。


 「・・・そうか。では某も己の進む道に立ちはばかる強者とみなして・・・そなたを討たせてもらう」


 そう云うと侍は鞘からもう一本の刀を抜く。刀身は赤く鈍く光っており、真紅と言うに相応しい色合いをしている。まるで数多の血を吸い付くいてきたかのようなその刀は、禍々しくも美しく、そして異様な気配を醸し出していた。


 「真紅村正。これは名工村正殿が打った数ある刀の中でも特に人を殺めたと云われている刀だ。とある合戦では持ち主が斬られても、近くの者が手に取りまた斬られても代わる代わる持ち主を変え1000人以上も斬り捨てたらしい。その斬った者の多さと血の量に刀自体が血を求める為に持ち主を誘い操っているのではないかと云われている。その為に村正殿はこれを恐れて世間には秘匿にし山奥の祠に封印したのだが、それでもこの刀の瘴気に当てられた近くの山賊が盗み出し、巡り巡って某の手元にきたわけだ」


 先ほどまでの侍とは雰囲気がまるで変わり、刀に魅了させられているかのように語りだした。もともと女性のような顔立ちのその侍は艶っぽくもあり、老若男女を惹きつけるような魅力を醸し出している。


 「さしたる某も、この刀を手に取ってからというもの人と相対した時に、斬ることに対して如何ともし難い気持ちになるようになった。妖刀とはこのような刀のことを言うのだろうな」


 そう言い終え侍は忍者を見据えると、いきなり神速の如き速さで斬り掛かる。先程までと段違いの速さに忍者は一瞬怯むも、すぐに忍刀を構え侍の一太刀を受け止めた。だが、今の侍は二刀流。もう片方の刀で忍者の脇腹を刺す。


 「ぐっ・・・」


 忍者の口から初めて声が漏れる。

 侍の体を蹴飛ばし、後ろにさがり距離を取る。脇腹からは血が滴っており片手で傷口を抑える。


 「そなたからは何か得体の知れないものを感じるのだが・・・。今までが本気ではあるまい」


 侍が挑発する。


 「さぁ、本気で掛って来い」


 そういうと侍は構え始める。

 忍者も侍が先程までとは別人のように強くなったことに対して、このまま戦えばやられると思い、持っていた忍刀を腰の後ろの鞘に収め、体に力を入れ始める。すると忍者の体が著しく変化して行く。体がひと回りもふた回りも大きくなり服が引きちぎれるが、ズボンはもともとゆとりがあるような大きさに加え素材が柔らかい為かそのままだ。2メートルは超えるであろう巨体になり、全身には獣のような毛が生えていた。大きく裂けた口元には鋭い牙が生えており、手の爪は鋭く光っている。耳も人間のそれではなく、それは狼に似ている。そう、忍者は狼男だったのだ。


 「ガルルルルゥ」


 忍者・・・いや、狼男は侍に視線を落とす。侍も見上げるように狼男の顔を見る。その顔には驚きの表情も多少含まれていた。


 「まさか・・・物の怪の類だったとは・・・」


 侍が呟く。それでもすぐに体制を整え、対峙する化物の次の動きを読もうと観察する最中瞬きを一回・・・瞼が少し開きかかった時に、嫌な予感がした。その予感は瞼が完全に開ききった時に理解する。先程まで狼男が立っていた場所には、狼男の姿はなかった。ただ地面がえぐれた痕だけだった。侍は視線を泳がせ狼男を探すが見当たらない。


 不意に背中にわずかだが違和感を感じる。とっさに刀を後ろに振るう。


 ガキン


 激しい音がなる。そして、狼男が後ろに飛び遠のく。何の音かは、侍の手にある刀のうち一本が折れているのを見れば理解できた。

 ここで狼男が初めて言葉を発する。


 「2本共折る気でいったんだが、その妖刀とやらは普通じゃないな」


 「それはこちらも同じこと。身のこなしもそうだが、その傷の治りの早さは何だ?」


 侍は驚いていた。それもそのはず、先程侍に刺されたはずの腹の傷が無くなっていた。


 「この姿だと傷の治りが早いだけだ」


 狼男は隠す気もなく告げた。


 「あの姫様もとんでもない者を隠していたものだ」


 ここに来て侍も本気で挑まなければやられると思った。妖刀の柄を一層強く握る。それに答えるかのように妖刀の刀身側からから徐々に赤い妖気が目でもとらえられるほど濃く湧き出て、侍の体を覆い始める。狼男は警戒心を高める。


 (あの妖刀に斬られるのはまずい)


 そう思い、腰の忍刀に手をあてる。

 そして最初と同じように対峙しあい、動きだしたのは2人同時だった。2人がぶつかり合う瞬間、青い光が2人を包み込んだ。


 光が消えた跡には2人の姿はなかった・・・。

歴史的改ざんがあるかも・・・です。

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