ペンの精霊
「その法力っていうのは一体何ですか?それに、俺がその強力な持ち主ってさらにどういうことですか?」
「法力というのは魔術を使用する際に使う力のことです。ユウキ様がその大きなお力をお持ちになっているのは間違いありません。お呼びするときにそれもの条件の一つとして儀式をしたのですから間違いありません」
つまり、よくゲームにある魔法のMPみたいなもんか。でも、俺がその力の持ち主っていうのはどうも信じられない。でも、まぁ、おいおい明らかになるだろう。それ、よりもとりあえずペンを早く取り出して確認したいことが山ほどある。
「ユウキ様本当に申し訳ありませんでした」
「へっ?急に何?」
いきなりエリスに謝りかけられ驚いてしまった。てか、本当にどうしたの?
「このような異なる世界にお呼びだてしまって本当に申し訳ありません」
「へっ?」
あぁ、そうか!ほかのことで頭いっぱいだったけどここは異世界なんだ。でも、それが、一番考えたくないことであるのは間違いない。自分の軽率な行動のせいで日本や地球から分かれてしまったのは悔やんでも悔やみきれないことだ。でも、あの時の自分を責めることもできないと思う。あのペンのがそんな力を持っているなんて思いもしなかった。
でも、来てしまったからにはこちらの世界で生きていく方法を見つけなければいけない。先がとにかく思いやられる。
「いえ、そのことについても謝る必要はないよ。俺のせいな一面もあるし」
「はぁ…。ご配慮感謝します」
なんか、勘違いしてるみたいだけど、いいや、訂正するのも面倒だしこのままにしておこう。ちょっと悪い気もするけどなんだか疲れた。
「猊下。失礼いたします。王城より使者の方が参られました」
部屋にその声が聞こえると、慌ててエリスは失礼しますと言って部屋から出て行った。あの娘……もしかして、結構天然な娘なのかな?まぁ、いいや。とりあえず、今のうちに荷物の確認をしよう。例のペンについては特に厳重にしないと。
この世界には俺の荷物……と言ってもビジネスバックだけだけど、今の俺の唯一の財産だ。中身は新聞とか文庫本とかノートとかたわいもないものばかりだけどあのペンもこの中に入れておいたのだ。とりあえず、取り出してみるが、やっぱり見た目はなんの変哲もない黒のペンだ。さて、どうしたものか。
「お兄さん、元気?こんちくわ、なんつって。ガハハハ」
っ!!!なんだ今の声!?一体どこから?
「あら~お兄さんわかってらっしゃらない?ここやでここ、お兄さんの手におるで」
え?手?今の俺の手にあるのはこのペンだけだけど……。ま、まさかペン!?
「おっ!その顔は気づいたっぽいな。そやでペンから話してますよ~」
「へっ!ホントにペンが喋ってるの?」
「なんや、まだ疑ってますん?せやで、ペンからですよ~。人間の言葉借りるんならペンの精霊ってやつですわ」
いや、なんの冗談これ。ペンが喋るとかだいぶシュールな光景なんですけど。しかも、似非関西弁でこの声…夏場の大阪のおっちゃんしか思い浮かばない。そもそも、ペンの精霊ってナニソレ?
「ほな、自己紹介や自己紹介。さっきもいった通りワイはペンの精霊みたいなもんです。名前は……アルトリとでも呼んでや」
「……。あっ!俺の名前はチョウマ ユウキ。ユウキって呼んでくれ」
「おう、おう、ユウキやなこれからよろしく」
「あぁ、こちらこそよろしくアルトリ」
なんだか、奇妙な自己紹介だけど、これも異世界だからアリなのか?いや、待てよこのペン自体は向こうの世界からあるわけで、こっちの世界のもんじゃない。ってことはこのおっちゃんは向こうからいたのか?
「なぁ、アルトリは向こうから来たのか?」
「向こう?あぁ、ユウキの元いた世界のことやな。いいや、ワイはこのペンがこっちに来てから宿ったんやで。これが、妙に住みやすそうに見えてな。まぁ、寄り代みたいなもんやな」
「寄り代か…。そのペンの機能についても知ってるの?」
「おう、入ってから気づいたんやけど、これはホンマすごいで。まさに伝説の道具っちゅう感じやな」
「そう……後でその話は詳しく聞かせてくれ」
とりあえず、これでペンの機能解明の目処はたったな。この後どうなるか分かんないけど、このおっちゃんの存在はありがたいな。
「ユウキ様、ユウキ様?」
「うわっ!なんだ、エリスかぁ~」
「すいません。驚かさせてしまって。ユウキ様王城の方に移動していただかなければいけなくなりました」
「おうじょうって王様がいる王城のこと?」
「はい、そうです。そこで魔王討伐団の方と方々と会っていただきます」
どうやら、又面倒事がやってきたみたいだ。まったく、気が休まる気がしない。
ここまでお読みいただきありがとうございます。どうでしょうか?私自身ちょっとテンポが悪いかなと思っています。もし、それに関してなにかありましたらどうぞ、私までご意見よろしくお願いします。