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かわいいピンクのユニコーン ~ときめき愛の地獄編~  作者: 野蛮人
第1章:空から堕ちたユニコーン
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1話:お届け愛のユニコーン

皆様は「ユニコーン」という生き物をご存知だろうか、角を持ち、羽を生やした馬鹿みたいな生き物である。

気性は荒いものの、唯一清純な乙女に対しては何故か心を開くのだという。

そう、あくまでユニコーンは"伝説上"の生き物だ。この世に存在するはずがない。

だが今、俺の目の前にはユニコーンがいた。通学路の途中に、ピンク色のユニコーンが。


「なんだ、ただのピンクのユニコーンじゃないか...。かわいいなぁ。」


本来存在するはずがない生物と遭遇し、処理限界を超えた俺の脳がたどり着いたのは「目の前の現象をただありのままに受け入れる」という"境地"であった。

あるいは単に、未知との遭遇からくる恐怖と混乱で脳がフリーズしていただけかもしれない。


「かわいい」と言ったのも「心配すんなよぉ~、こいつはそんなに危険な生物じゃないさ。HAHAHA!」という希望的観測を自分に刷り込んだにすぎない。

パニック映画なら今頃オツムと胴体がさよならバイバイしている頃合いだろう。


そんな俺の葛藤をよそに、ピンクのそいつは急にしゃべり出した。


「君、僕が見えるの!?。"認識"できるの!?」


なんか意味深なことを言っているが、こいつの存在自体がまず意味不明なのでどうでもいい。

とりあえず危害を加える意思がなさそうな事が分かっただけでも十分だ。


とにかく急いで学校に行こう、病院はその後でも間に合うのだから...。いや、もう手遅れかもしれないが。

存在するはずのないピンクのユニコーンに背を向けて、俺はその場から全力で走り出した。


「どうしよう...。かわいいって言われちゃった♡。愛の告白...だよね?。」


去り際にユニコーンが何かつぶやいたような気がしたが、俺は聞こえないふりをした。

今はただ、自分の足と頭の状態だけが気がかりであった。


◇


窓付きのドアを開ければ、そこは教室であった。

見慣れたクラスメイト、突き刺さらない視線、特にない挨拶。

いつもの風景が広がっていた、異常な出来事など何もなかったかのようだ。


俺は一安心すると、我が友「半田(はんだ) 陽太(ようた)」の席に向かった。

この教室における唯一の友であり、敵意が無い点においては抜群の信頼感がある男だ。

いつもは俺が近くに来ると、推しのVtuberの話を始めるのだが...、


「"僕の"ルルちゃんを返せええええええええ!!!、僕のだぞ!、誰だよあのキッショイ男配信者はぁ!!」


やれやれまたユニコーンか、まあ元気はありそうで何よりだ。

彼が異常なまでに愛するVtuberの名は「馬野ルル」だが、どうも異性がらみで何かあったようだ。

彼女は登録者2万人を誇る、日本で唯一のUMA探索系Vtuberだ。

自身では探索を行わず、リスナーから寄せられた情報を読み上げる芸当、通称「安楽椅子探索」を得意とする投稿者だ。


我が友の半田はそんな彼女のために休日を潰してはUMAを探し回った。

なかなか痕跡がみつからないので時に捏造行為に手を染めるのが気がかりであったが、本人は楽しそうにやっていたので何も言わないでおいた。

以前に俺も探索に同行したが、印旛沼でカミツキガメの襲撃を受けたのはいい思い出だ。とにかくスリルがあって盛り上がった、二度と行かないが。


自身の貢献度と、登録者2万人という絶妙なラインからガチ恋をしていたようだが、この様子を見るともはやLoveは過去形となったのだろう。


「うぃ~す、静かにしろぉ~。お前らの担任がきたぞ~。」


いつものごとく一切のやる気がない声で担任が教室へ入場してきた。

我が友の半田はまだ発狂していたが、そんな生徒の事は無視して担任は続ける。


「今日から転入生が来たから仲良くしろ~、じゃあ今から入ってもらうから、はい拍手ゥ~。」


ガラリ...と、扉は開かれた。

この世のものとは思えない美形の男、もしくは女が入室した。

輝くような桃色のショートヘアーをファサファサとたなびかせ、スレンダーな体形はどこか幼さを感じさせながらも均整がとれている。

その姿は、美少年とも、美少女ともとれるユニセックス(中性的)なものであり、どこか神秘的でもあった。

心なしか後光も差しているような気がしないでもない。


「今朝の告白を受け入れて、愛の天馬が会いに来たんだよ!。よろしくマイダーリン♡」


そう言うと奴は手でハートを作ったあとに、ビシィと俺を指さした、もう本当に頭がおかしくなりそうだった。

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