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揺訳 捜神後記/異苑  作者: ヘツポツ斎
異苑十巻 雑条
195/198

異10-04 雷震・周虓・掘金・投箋

○雷震不驚

晉滕放太元初,夏枕文石枕臥,忽暴雨,雷震其枕。枕四解,傍人莫不怖懼;而放獨自若,云:「微覺有聲,不足為驚。」


しん滕放とうほう太元たいげん年間のはじめ、夏のある夜に模様の入った石の枕を敷いて横になっていた。にわかに大雨となり、雷がその枕を直撃し、枕は四つに割れた。そばにいた人びとは皆おびえたが、滕放だけは平然としてこう言った。

「かすかに音を聞いたようだが、驚くほどのことではない。」



○周虓守節

潯陽周虓,字孟威,晉寧康中,鎮於巴西,為苻堅所獲,守節不屈。堅使使者道虓清道,虓躬治逵陌,謂使者曰:「煩君與語氐賊苻堅,何至仰煩國士如此?」又潛圖襲堅。堅聞之,曰:「貉子正欲覓死。殺之,適足成其名耳。」乃苦加拷楚,不食而卒。斂已經旬,堅怒猶未歇。剖棺臨視虓屍,欻回眸斷齒,鬢髭張列,睛瞳明亮,回盼矚堅。堅睹而喜稱,乃厚加贈賻。


潯陽じんよう周虓しゅうきゅう、字は孟威もうい。晋の寧康ねいこう年間に巴西はせいを守っていたが、苻堅ふけんに捕えられてた。しかし晋への節を曲げなかった。

苻堅は使者に命じて周虓に「道路を掃え」と伝えさせたところ、周虓は自ら道を整えつつ使者に言う。

「あなた様にはお手間をおかけするのだが、てい賊の苻堅にお伝えくだされ。どうして国士にまでそんな雑事をさせるのか、と」

さらに密かに苻堅を襲う計画も練った。苻堅はそれを聞くと、言う。

「この獣め、死に場所を探しておる。殺せば名を立てるだけだ」

そして激しい拷問を加えた。周虓は絶食し、死んだ。埋葬して十日余りたっても苻堅の怒りはおさまらず、棺を割って遺体を検分した。すると死骸が突然、目を見開き歯を噛み締め、鬢髪は逆立ち、瞳は爛々と輝き、振り返って堅をにらみつけた。苻堅はそれを見て感嘆し、手厚い弔意を示した。



○掘金相讓

汝南殷陶,市同縣張南宅。掘地,得錢百萬、金千斤,即以還南。南曰:「君至德感神,寶為君出。」終不肯受。陶送付縣。


汝南じょなん殷陶いんとうが、市同しどう張南ちょう・なんの宅で地を掘ったところ、銭一百万と金千斤を掘り当てた。殷陶はすぐに南へ返したが、張南は言う。

「あなたの至徳が神を動かし、宝があなたのために現れたのだ」

そのまま受け取らず、ついに殷陶はその財を県に届け出た。



○投箋河伯

河內荀儒,字君林,乘冰省舅氏,陷河而死。兄倫,字君文,求屍積日不得,設祭冰側。又箋與河伯。投箋一宿,岸側冰開,屍手執箋浮出,倫又箋謝。


河内かだい荀儒じゅんじゅ、字は君林くんりん。凍った黄河を渡って妻の兄弟のもとに見舞う途中、氷が割れて溺死した。兄の荀倫じゅんりん、字を君文くんぶんは、遺骸を探しても幾日も見つからず、河岸の氷上で祭祀を行い、河伯(黄河の神)に宛てて書札をしたため、河に投じた。

一夜明けると、岸辺の氷が裂け、遺体がその書札を手に握ったまま浮かび上がった。荀倫はあらためて謝意の書を投じた。




 志怪と言えるような、言えないような。相変わらず志人小説の趣が強いように感じます。それはそれでいいのでしょう。

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