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揺訳 捜神後記/異苑  作者: ヘツポツ斎
異苑九巻 占術譚
187/198

異09-03 盜鹿・失物・鳥鳴・飛鳩

○盜鹿

時有利漕治下屯民捕鹿者,獲之,為人所竊,詣輅為卦。語云:「此有盜者,是汝東巷中第三家也。汝徑往門前,候無人時,取一瓦子,密發其碓屋東頭第七椽。以瓦著下,不過明日食時,自送還汝。」其夜,盜者父忽患頭痛,壯熱煩疼,亦來詣輅卜。輅為發祟,盜者具服。令擔皮肉,還藏著故處,病當自愈。乃密教鹿主往取,又語使復往如前,舉椽棄瓦,盜父亦差。


ある時、利漕りそうの治下に住む民が鹿を捕まえたが、誰かに盗まれた。彼は管輅かんらくに相談し、占いをしてもらった。すると管輅が言う。

「この鹿を盗んだ者は、お前が住む東の路地の三軒目の家だ。直接その家の門前に赴き、誰もいない時を見計らって瓦を一つ取り、密かにその家の碾屋うすやの東端、七番目のたるきの下にその瓦を置け。そうすれば、遅くとも明日の食事時までには、盗んだ者が自ら鹿を返しに来るだろう」

その夜、盗人の父親が突然頭痛を訴え、高熱と激しい痛みに苦しんだ。彼もまた管輅のもとを訪れ、占いを求めた。管輅が祟りを祓う占いを行うと、盗人が罪を白状した。管輅は盗人に命じて鹿の皮と肉を担ぎ、元の場所に戻させたところ、父親の病気は自然に治った。管輅は密かに鹿の持ち主に取りに行くよう教え、さらに前述の通り椽を上げて瓦を捨てさせた。すると、盗人の父親の病も完治した。



○失物

都尉治內史有失物者,輅使明晨於寺門外看,當逢一人,令替天畫地,舉手四向,自當得之。暮果獲於故處。


都尉治内史といちないしが物を失くしたので管輅かんらくに相談した。管輅が言う。

「明朝、寺の門の外で待ちなさい。一人の人に出会うから、その人に命じて地面に天の図を描かせ、四方を指ささせなさい。そうすれば、失物は自ずと見つかるだろう」

その日の夕方、果たして失物は元の場所で発見された。



○鳥鳴

安德令劉長仁,聞輅曉鳥鳴,初不信之。須臾,有鳴鵲來在閣屋上,其聲甚急。輅曰:「鵲言東北有婦,昨殺夫。牽引西家人夫婁離候。不過日在虞淵之際,告者至矣。」到時,果有東北同伍民來告,如輅言。


安徳県令あんとくけんれい劉長仁りゅうちょうじんは、管輅かんらくが鳥の鳴き声を解すると聞き、最初は信じなかった。しばらくすると、カササギが屋根の上に飛んできて、激しく鳴いた。すると管輅が言う。

「カササギが言うには、北東に住む女が昨日夫を殺し、西の家の夫である婁離候ろうりこうを巻き込んだ、という事件が起きたのだそうだ。日が西に沈む頃には、告発者が現れるだろう」

その時刻になると、果たして北東に住む同伍の民がやって来て、管輅の言った通り告発した。



○飛鳩

輅嘗至郭恩家,有飛鳩來在樑頭,鳴甚悲。輅曰:「當有老公從東方來,攜肫一頭、酒一壺來候。主人雖喜,當有小故。」明日,果有客如所占,而射雞作食。箭從樹間激中數歲女子手,流血驚怖。


管輅かんらく郭恩かくおんの家を訪れた際、鳩が梁の上で悲しげに鳴いた。管輅が言う。

「東方から老人がやって来て、魚の干物一頭と酒一壺を持って訪れるだろう。主人は喜ぶが、小さな問題が起きる」

翌日、占い通りの客が訪れ、鶏を射って料理にした。しかし、木の間を通った矢が数歳の少女の手に当たり、血が流れて皆が驚いた。




管輅シリーズ、これ確実にひとつの書物からわさっと取材していますね。類書のあのいちいち典拠書かれんの鬱陶しいなって思ってたけど、なるほど、確かに書かれないとなんかケツの据わりが悪い。「なにから取材されたのかがわからない」ので書誌学的な追跡が不可能ってことだもんなあ。まあ、ひとまず「この時代のお話を現代でも読める」ことを幸運と思うしかないんでしょうね。

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