異09-02 亡牛・失妻・火災
異09-02 亡牛・失妻・火災
○亡牛
管輅洞曉術數。初,有婦人亡牛,從之卜,曰:「當在西面窮牆中。可視諸歙塚中,牛當懸頭上向。」既而果得。婦人反疑輅為藏己牛,告官按驗。乃知是術數所推。
管輅は占術に精通していた。ある時、牛を失くした婦人が管輅に占いを依頼した。管輅は占うと、言う。
「牛は西側の行き止まりの壁の中にいるでしょう。歙塚の中を探しなさい。牛は頭を上に向けてぶら下がっているはずです」
その後、婦人がその通りにすると、果たして牛を見つけることができた。しかし婦人はかえって管輅が自分の牛を隠したのではないかと疑い、役所に訴えて調べさせた。その結果、確かに管輅の術数によるものであることが分かった。
○失妻
洛中小人失妻者,輅為卜,教使明旦於東陽城門中,伺擔豚人,牽與共鬥。具如其言,豚逸走,即共追之。豚入人舍,突破主人甕,婦從甕中出。
洛中で妻を失った庶民がいた。管輅は占い、言う。
「明日の朝、東陽城門の中で、豚を担いでいる人が来るのを待ち、その人と一緒に喧嘩しなさい」
その人がその言葉通りにすると、豚が逃げ出したので、一緒に追いかけた。豚は人の家に入り込み、主人の甕を壊した。すると、甕の中から婦人が出てきた。
○火災
中書令紀玄龍,輅鄉裡人也。輅在田舍,嘗候遠鄰。主人苦頻失火,輅卜,教使明日於南陌上伺,當有一角巾諸生,駕黑牛故車來;必引留,為設賓主,此能消之。後果有此生來,玄龍因留之宿。生有急,求去,不聽。遂留當宿,意大不安,以為圖己。主人罷入,生乃持刀出門外,倚兩薪積間,側立假寐。忽有一物直來過前,狀如獸;手中持火,以口吹之。生驚,舉刀聽,便死。視之,則狐。自是主人不復有災。
中書令の紀玄龍は、管輅と同じ郷里の者である。管輅が田舎にいた時、遠くの隣人を訪ねた。その隣人は頻繁に火災に見舞われて困っていた。管輅が占い、教える。
「明日の朝、南のあぜ道で待ち伏せしなさい。角巾をかぶった書生が、黒い牛の引く古い車に乗ってやって来るでしょう。必ず引き留めて、主人と客として接待しなさい。この人物が火災を鎮めることができるでしょう」
その後、果たしてその書生がやって来たので、紀玄龍は彼を引き留めて泊まらせた。書生は急用があると言って立ち去ろうとしたが、許さなかった。そのまま宿泊することになり、書生は大変不安になり、自分が謀られているのではないかと考えた。
主人が奥に入った後、書生は刀を持って門の外に出て、二つの薪の山の間にもたれかかり、横向きに立って仮眠をとった。すると突然、獣のようなものが目の前をまっすぐに通り過ぎた。それは手に火を持ち、口でそれを吹いていた。書生は驚いて刀を振り、怪異を殺した。よく見ると、それは狐だった。以来、隣人は二度と火災に見舞われなくなった。
ここからしばらくは管輅シリーズのようです。ちょっとギャグっぽいのも含めてニッコリな感じ。それにしても管輅と紀玄龍は結構愛されたキャラのようで、検索をするといろいろ二次創作にたどり着きます。こういうのの源流を訪ねられるのもまた楽しいですね。