前へ目次 次へ PR 5/50 煙のにおい 道はもちろん、木々や、そこかしこのかれた草も、白くなっている。 陽もくれてきているので、あたりはもう白というよりは、灰の色だ。 道をたどるには、雪が積もるのがはやい。 そう思ったとき、ジョウカイの鼻が煙のにおいをひろった。 山を登る前に、ふもとの村でこのあたりの寺がとなえる経をうたって鉢をもちまわったおかげで、握り飯をひとつ施(ほどこ)されていた。 火があれば、ありがたい 懐のそれをたたきながら、煙をたどることにした。