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ジョウカイの母
ノリヤス、おれが逝ったら、母上をたのむぞ。
ジョウカイを幼少の頃の名でよぶ父は、いつものようにほほえんでいた。
母は、ただ、ぐっと口をとじて、父の背を思いきりたたいた。
まあ、いざとなれば、母上がそうやすやすとは逝かせまい。
あの夫婦のことに、ジョウカイは口をだせない。
いつまでもこちらを子ども扱いするうえに、まだなにか、きいていない《むこう》との、約束事もあるようだ。
そんなことをかんがえながら、足をはこんでいると、すでにふみしめる雪があつみを増し、音をだしはじめた。




