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おわり
「 ・・・そうか・・・ここで『願』をかけたさまざまなひとたちの『念』でできたから、なんだかゆがんでいたのだろうか・・・」
「うむ。着物は上等だが髪には櫛だけ。 おまけに、下駄は左右ちがうものをはいておったな。 かけた《願》のつよいのをひろってできあがった女なのだろう。 《モノノケ》のたぐいになるだろうが、化け方はうまくなかったようだ」
「ああ、だから・・・とらえられなかったのか・・・」
画き写そうとした女そのものが、しっかりとしたカタチではなかったのか。
それでは、うまく画きあげられないわけだ、とがっくりと首をおとす男にジョウカイはいった。
「その、 ―― とらえどころのないものを、これいじょうとらえようとなさるなよ。 おぬしが画いたあの女には、妖しさまでもじゅうぶんに写し取られておるゆえ、ここでおえられるといい。 それと、―― あの画には、かたりかけぬほうがよい」




