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そののち
ここで終わりです。
にっこりわらうと、「それでは拙僧はこれにて」世話になったの、と坊主は数珠を巻いた手を立てて頭をさげると、もう一度道標の石をなで、峰のほうへと足をむける。
「お、お坊様、提灯は?」
あわててそれを振ってみせるが、気を付けてもどられい、という声がかえってきただけだった。
男は一度、石をふりかえり、なんだかしないといけない気がして、お辞儀をしてからきびすをかえした。
数歩いってから、さっとふりかえってみたが、女ではなくただの石がたっているだけで、それから雪が降る日にも、あの女はもう現れなかった。
つぎの春から、男は里長と相談し、ちかくの寺に、旅人と、山に入るものの安全祈願として、石の道標に経をあげてもらうことにした。
いまではそこにお社がたち、旅人たちは櫛や根付に願をかける代わりに、中におさめられたなにかの観音様に無事の願をかけてゆく。
そのおやしろのそばには、ただの道標となったあの石が、まだたっている。
おつきあいくださったかた、目をとめてくださったかた、ありがとうございました!




