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満足
女はなんの声もださず、いつもとかわらない静かな動きで四角い《火》の中に立つと、こんどはむきをかえ、そのまま風呂場の方へ、歩き出す。
ところが数歩行くと姿が急に消え、―― 。
どぼん!
風呂場のほうから音がした。
「 これまた、気の短いはいりかたを」
ジョウカイが声をあげてわらうと、あの青い火の中に、また、女が立っている。
わらいをおさめながら、これぐらいで満足であろう、と坊主は声をかける。
「 はい 」
「五年もかようたのだ。 ―― あの風呂は、あのかたのものだ。 礼を言うといい」
「 ありがとうござりました 」




