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異世界伝説巡り旅  作者: オムレット
第1章 旅の始まり
27/28

25話 旅支度

時間が経つと数話前の内容の一部が分からなくなって読み返すこともしばしば

僕は団長ユーフリートより正式に騎士見習いの肩書きを手に入れ、約束通り彼から剣を受け取った。

この剣はブレイブハートほど装飾は派手ではないがシンプルでありつつもワンポイントが凝ったデザインとなっている。

そして何より程良い重さとフィット感抜群のグリップだ。

使用された形跡はほとんど無く、よほど大事に飾られていたようだ。

ふと浮かんだ疑問がつい口に出てしまった。


「どうしてこんなに良い剣を飾ってたんだろう?」

「うん? ああそれはな、俺たち騎士団は支給される武器を使うわけだが、幹部以上にもなると自分に合う武器を持つことが許される。だが、たまたま譲り受けたこの剣に合う奴がいなくて今に至る」

「それで倉庫で眠ってたわけか」

「まあな。売っちまうにも業物を手放すのは惜しい。そもそも俺は武器を集めるのが趣味だし手放すなんてありえねぇ」

「でも僕は良いのかな? 騎士見習いなんでしょ?」

「あははは、クソ真面目だな。お前は騎士見習いの前に冒険者だろうが! 今までは訓練だったから支給品を使わせてたがこれからは身を守るのに必要な武器がいるだろうがよ」

「そうでした。……あ、そうそう、刀は倉庫に置いたままだからそのまま団長様に預けておきますよ」

「良いのか? 英雄様からの贈り物なんだろ」

「贈り物っていうより今はお荷物だからね。使えないものを持ってても意味ないし、いつか取りに来る時まで預けようと思ってる」

「そうか? まぁそうだな、了解した」


話がひと段落したので団長らの居る執務室を出て僕らは街の方へと向かった。




僕らが街に来たのは旅の準備を早々に済ませるためだ。なぜ準備を急いでいるかというと三日後の朝に国を出るまでの間イベントがあるので店がほとんど閉まってしまう。

ちなみに今後のスケジュールはこうなっている。

明日は前夜祭があり、セリーナはお世話になった街の人たちへ挨拶回りをすることになっている。

その翌日にはセリーナの旅立ちを祝う式典が城内で催される。

そして式典が終わった翌日の朝に出発する。

という感じでセリーナが自由に出来るのが今日しかないわけである。



僕はセリーナにつれられて街のあらゆる場所を巡り歩いた。

この街を一望できる場所を案内してくれたり、多種族が集う【多種間交流会館】という場所(例えるのは難しいが地域会館みたいな所だと思う)を教えてくれたりした。


もちろん旅に必要なものの買い物だってちゃんとしていた。

まあ荷物持ちは僕がすることになってたので途中から歩くのに必死だったけど……。


そんなこんなで必要なものをある程度揃い、ひとしきり街も観られたがあと一ヶ所行っていない場所がある。


そこはやはり【そよかぜ亭】だ。

セリーナが店の扉を開けた。

夕方前だからか店内は程よく客がまばらで、おやっさんが相変わらずガタイの良い客と会話をしていた。


「来たよー‼︎」

「こんにちは、あの、荷物置かせてもらって良いですか?」

「おう、らっしゃい! こっちのカウンターが空いてるからその隣にでも置きな」

「た、助かりますぅ」



おやっさんの案内に従って以前座った厨房近くのカウンターに座る。


「まずは、セリーナちゃんおめでとさん! ついにこの時が来ちまったんだな」

「ありがとう! おやっさん」

「ああ、お前さんたちが旅に出ちまうと寂しくなるなぁ」

「大丈夫! たまには手紙送るからさ」

「そうしてくれや」


そんな会話をしていると厨房からソフィちゃんが出て来た。


「セリーナ! おめでとう」

「ソフィ! ありがとう」

「旅に出るんだよね……頑張ってね」

「うん、さっきもおやっさんに言ったけど手紙出すからね」

「楽しみにしてるよ」


微笑ましい、と素直にそう思った。

そしてなにより残念なのは旅に出てしまうとこの店の料理が食べられなくなるということだ。


「どうした? カルタのにぃちゃん」

「ええっと、ここの料理が食べられなくなるのが残念だなぁっと思いまして」

「そう言ってくれるたぁ嬉しいねぇ」

「そっか、カルタさんにも会えなくなっちゃいますもんね」

「そうだね、じゃあ僕はお土産を一緒に送るよ」

「ホントですか! やったぁ‼︎」


すごく、可愛いです。

じゃなくて喜んでもらえそうで良かった。


「そうだ、せっかく来たんだから食っていくだろ?」

「もちろんです。お昼は繋ぎ程度で少し買食いしただけなんですよ」

「お腹ペコペコ〜」

「んじゃいつものを2つでいいな?」

「「お願いしま〜す」」

「承りましたっと」


僕らの注文を受けたおやっさんは厨房へ戻って行ったがソフィちゃんは今もセリーナとお喋りを楽しんでいるようだった。


10分程経ったところで厨房から出てきたおやっさんが注文の料理を運んできた。

それを僕らがペロリと平らげた姿を見ておやっさんは「よほど腹が減ってたんだな」とでも言いたげな顔で笑われてしまった。


1時間ほど居ただろうか。

僕らがそよかぜ亭にきてから多分それだけ経っただろう。

空も紅く染まりつつあったので城へ帰ることにした。


「じゃあね、おやっさん」

「この国に帰ってきたらまた食べに来ますね」

「おう、また来いよ。別れの言葉は旅に立つ時に言ってやるよ」

「うん」「はい」


再び大量の荷物を持って僕らは城へと帰った。

スランプのような迷宮から脱出しただろう、と思いたい!

こんにちは、オムレットです。


1話進めるのにどんだけかけているんだ!と思いつつ数ヶ月進まなかった前話でしたが、なんとか乗り越えたのでまぁ隔週程度には投稿できると思います。



今回の用語

【多種間交流会館】

我々の世界で言う所の地域会館みたいなものです。読んで字のごとくさまざまな種族の方で交流してもらったり、ヒトには分からない他の種族だからこそ共感できる悩みを相談したりできる場所です。

ちなみに子ども達に人気なのが、さまざまな種族の語り部がその種族特有の武勇伝や昔話が聞けるというところです。



さて、次回はサラッとセリーナの式典をやっちゃいますよ〜

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