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アイリスの日常  作者: 紫悠
第一章 新生活と出会い
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第5話 ルームメイト


 初回が肝心、ということで先生に案内してもらいながら女子寮に向かう。

ルームメイト、優しい子だといいな。


「ここが女子寮だよ」

先生が指さす建物はどう見ても廃屋で。思わず絶句する。


「ほ、本当にここなんですか?」

そうだよ、と何でもないことのように言う先生は呼び鈴を鳴らして何かを告げる。


「今からルームメイトの子が来てくれるそうだよ」

じゃあ僕は行くね、と私をひとりおいて先生は帰ってしまった。


「あーっ!サイラス先生」


後ろから急に大きな声が聞こえる。かなり大きく聞こえたけれど、先生には届いていないようで、振り返ることはなかった。


「もうっ、サイラス先生ってばホンマに植物にしか興味ないんやから!」


後ろを振り返ると、ぷんすか、という擬音が聞こえてきそうなくらい可愛く怒る女の子がいた。

「あっ、あの。あなたが」

ルームメイト?そう続けるより先に彼女が言う。

「わぁ!!ごっつかわいい子来たんやけど!!!うちララって言うねん。よろしゅうな!」

なんだか不思議な話し方をするララちゃんは、百聞は一見に如かずや、なんて言って早速、寮の中を案内してくれた。



「えぇっ!」

中は私の家より綺麗で、とてもじゃないけど廃屋の中身だとは思えなかった。

「おぉー。いい反応するやん」

いたずらに成功したようなにっこり笑顔でララちゃんは言う。

「女子寮に侵入するおバカさんが減るように、わざとおんぼろな外見を装ってるねん。まぁ、住んでる身としてはちょっぴり嫌やけどな」

そんなことを言うけど、あんまり気にしてなさそう。


「あっ、寮母さーん!!」


廊下で他の生徒と話していた女性にララちゃんは声をかける。

「このごっつかわいい子が…あれ、うち名前聞いてへんわ」

ごめん!って両手を合わせて謝ってくれるけど、忘れていたのは私も同じだ。

「アイリスって言います。よろしくお願いします」

ララちゃんと寮母さんに向けて、改めて礼をする。

「あらあら、そんなにかしこまらなくていいのよ」

そーそー小突くくらいでちょうどええねん、なんて言うララちゃんは拳骨をされていたけど。笑って痛いやんってツッコんでるから、寮母さんも優しい人なんだなって安心する。


「ほな最後はうちらの部屋やね」

食堂や自習室、談話室なんかも全部案内されて、最後に残るのは私達の部屋だけだった。でもなんだかさっきより足取りが重そうで。

「大丈夫?何か困ったことでもあるの?」

聞けば整理整頓が苦手で、ルームメイトがいない今までは二人分の場所を使っていたらしい。

「3日くらい片付けとったんやけど、まだ終わっとらんくて…」

悪いことをしてしまってしょぼんとする犬のように、ララちゃんは落ち込んでいた。


「大丈夫!二人でやれば、きっとすぐだよ」


どのくらい散らかっているのかは分からなかったけど、なんとなくこの子となら上手くやっていけそうだなって、確信した。


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