第1話 天使
雲一つない青空。爛々と輝く太陽。手入れが行き届いた綺麗な庭園。その真ん中で、私はひとり立ち尽くしていた。
…やっぱり、迷子ってことなのかな?こうなるくらいなら意地張らずにエーテルと一緒に来るんだった。後悔しても遅い。とりあえず歩いていれば誰かしら会えるかな?と思って歩き出そうとする、その時だった。
「アイリス!!」
えっ!エーテル?どうしてここに…
「エーテル!入学式はどうしたの?」
「それが…」
エーテルは自分がなぜ庭園にいるのかも分からない様子で、とりあえず私が困っているように見えたから声をかけた、とそう言った。
絶対あの人の仕業だ。
勝手にエーテルを連れてきたことを怒りたい。でも、エーテルがいなきゃ私はずっとこのままになっていたであろうことも事実であり、叱るに叱れない…。
それに、あんまりしたくないって言ってた干渉を、今このタイミングでやってくれたのはたぶん私が入学式楽しみにしてたから。無茶振りしてくるし、鬼なとこあるけど、結構優しいんだな…
「アイリス?」
コテンっとエーテルが首を傾げて心配そうに私を見つめる。かわいい。天使かな?
「ごめんなさい、どうかしたの?」
「…ううん。アイリスなんだかうわの空だから。何か心配なことでもあるのかなって。」
うっ…エーテルにこんな顔させるなんて、私はなんて馬鹿なんだろう。
「ごめんなさいっ!あのね、今まで迷子になんてなったことなかったから、ちょっぴりショックで…」
「そっか」
なるほど、という顔をして頷くエーテルも可愛い…じゃなくて!
「エーテル!道、分かる?このままだと入学式遅れちゃう!」
「〜っ!大丈夫!分かるからアイリス、離れてっ!」
エーテルはとても慌ててて、もしかしたら本当は道を知らないのかもしれない。だってなんか顔赤いし…あ!エーテルは優しいから、きっとウソついちゃったことが苦しいんだ。私が無理に聞いてしまったから、とっさに知ってるって言ってしまったのだろう。
「こ、こっちだから」
カタコト気味なエーテルに申し訳なく思いつつも、完全に私のせいなので入学式の事は諦めようと思った。けど
「講堂だ!!」
すごい。エーテルって本当に天使かもしれない。かわいいし、直感だけで講堂にたどり着くなんて、普通は無理だから。
「うん?」
でも私の興奮を横にエーテルは不思議そうな顔をする。そうだ、エーテルは知ってるんだった。ウソでもなんでもたどり着けるエーテルは十分にすごいんだからもっと胸張ってもいいと思うけど。謙虚なところも天使過ぎる。




