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女神フィリーアの忠告

『なるほどなぁ。アノ心臓が不死の力をもたらす根源ってか。ならまず供給を遮断して馬鹿デカイ図体を壊していくか』


俺は不死の仕組みを心臓が原因と断定。ぶちのめす準備をしはじめる。


表向き破壊神ダグザ・トゥアハの攻撃を回避しながら無意味な攻撃を繰り返す。その裏で刺されても気づかない程限界ギリギリの細さまで錐貝を小さくしタイミングを計った。


『オロカモノメ……イクラキサマガ……コウゲキヲクワエヨウト……ムダダ』


『攻撃が効かなくてもいいのさ。お前も俺を倒せずにいるじゃねーか? どうしたデカブツ。お前の力はそんなもんか? 』


『ウウム……ミノホドシラズメガ』


俺の挑発に怒りを増したのかダグザは攻撃の手数を増やしていく。



そうだ。もっとこっちに集中しろ。


とはいってもコイツの攻撃をまともに食らえば致命打になりかねない。


かわしたダグザの爪は町の建物を次々と寸断していくし、大槌みたいな右腕は大地に大穴を開けていく。


コイツに俊敏さが加わったら本格的に不味かったな。だがこれまでだ!


『準備が整った時点で俺の勝なんだよ』


そう言い放った俺は無駄だと言われ続けた攻撃を十倍ほど早めて繰り出す。


腕・足・胴体・首そして頭。ありとあらゆる部位を死鎌で切り刻んでいった。


『ムダダトイッテ……ナ!? カラダガ……フッカツシナイダ……ト!? 』


切り刻んだダグザの体が細切れになっていく。だが先程までとは違い修復されないまま四散していったのだ。


俺は戦いの中で極小の錐貝を背中から心臓に向けて突き刺していた。心臓部にて切っ先をさらに分散させ繭の様に包み込む。


そしてダグザの心臓が魔力を放出すると同時に吸収させ復活させるのを止めたのだ。



『電池が切れたデカブツに様はないんだよ』



そう言うと俺は吸い込んだ膨大な魔力を死鎌に込める。


破壊神の魔力はすさまじく、死鎌は邪気を大放出させながら膨張していった。


体は四散し目の前にあるのは脈打つ心臓だけ。その心臓目掛けて必殺の一撃をくらわす。


『くたばれこの電池野郎! 』


死鎌によって真っ二つに割かれた心臓は拍動を止めボトリと地面へ落ちていった。


ふぅ。やっと終わったか。それにしても邪神ってヤツは本当にメンドクサイ。


俺は心の中で悪態をつきながらアコへ命令を下した。


『アコよ四散した邪神の全てを喰らえ』


すると周囲から黒い霧の様な物が集まり始め全てアコの口へと吸いこまれる。


死鎌も再度封印を施しアコに飲ませた。


『なぁシェル。これでひと段落ついたか? もう残りカスもないだろ? 』



──はい。邪神達は完全に消え去り鐘の音は止まりました



俺が暴走しないか不安かシェル? なら安心しろ。



──それはどういう事でしょうか



お前は女神様が大事だろ? 女神様になにかあったら悲しむのだろ?



──はい



お前が悲しむ様な事はしないよ俺は。俺達は家族だろ? そういう事だ。


俺の返答を聞いたシェルは同化を解き顔にへばりつく。


『あい! しぇるはかぞく! あい! 』


「そういうことだ。邪神も片付いたしフェルを呼んで少し休むか──」


そう言葉にしたとたんパタリと俺は倒れた。




                  ◇




あれ、俺寝ちまったのか? さすがに邪神二体は体に堪えたのかなぁ。


といいますかこの白い空間は……


あ。もしかして女神様の居る所かここ!? 気づかないうちに死んだのか俺!?


でもいつもと違和感がある。いつもならただ真っ白な空間に俺の意識だけある状態なのだが視線の先に俺の手が見える。アコヤもある。あれ? シェルは?


同化を解いているので俺の姿は真っ黒ジャージマンだ。


シェルが居ない事を知った俺は白い空間内を懸命に探した。


「おーい! シェル大丈夫か! どこにいるんだ!? 」


心配になった俺は大声で叫ぶ。


しばらくして聞きなれた返事が後方から聞こえた。


『あい! じゃなかった。はい! ここにいますよ』


振り返ると一人の美人が立っていた。


「え? どちらさまですか? もしかして女神様? 」


あまりにも違う容姿に思わず言葉にしてしまった俺。普通に考えればシェルを呼んで返事をしているんだ。本人以外に誰が返事をするというのだ。


『ナーイートーさーまー』


目の前の美人から電撃が迸り俺に直撃する。あ、間違いなくシェルだ。


黒こげになった俺は確信を得た。


「おいシェル。俺はそんなお転婆に育てた覚えはないぞ」


『電撃を喰らうまで気づかなかったナイト様がいけないんです』


しかし違和感があるよなぁ。でもよくみるとチビッ子シェルの面影がある。



耳には巻貝のイヤリング。


服装はホタテ貝を思わす縦線の入った白いワンピース。


それにあのキラキラした目は間違いなくシェルだ。



「よくみると面影が一杯あるな。うん。間違いなくシェルだ」


『さっきからそうですって言ってますよナイト様! 』


「わかったわかった悪かったって。戻ったら大好きなハンバーグを用意してあげるから」


『はんばーぐ!? あい! じゃなかった。食べ物で釣るの止めてください! 』


おおう。随分と大人になったじゃないか。食べ物で釣られなくなるとは一人前だぜシェルよ。


感心してる場合じゃなかった。この状況を説明してもらうのが先だ。


「なぁシェル。なんで俺達ここに来たんだ? もしかして気づかないうちに俺死んじゃったのか? 」


『死んでませんよ。女神様に呼ばれたので門を開けました』


なに。女神様の呼び出しだと? それって説教くらうのか? やだなー。急に憂鬱になってきたよ俺。


そう思っているとシェルが喋りだした。


『ナイト様。女神フィリーア様がお越しです』


──


───


────



──久しぶりですね地球の者よ



久しぶりです女神様。


やはり女神様自体は見えないようだ。只気配はする。と言うか白い空間全体が女神様といった感じだ。



──いつも我が子シェルターがお世話になってますね。感謝します



いえいえこちらこそ助けてもらっています。って我が子!? シェルって女神様の子なの!? と言うよりか女神様夫持ち!?



──今日ここへ呼び出したのは他でもありません。貴方の深層に膨らみ始めた陰りについて忠告する為です



夫持ちの所はスルーされました。 

  


──深層の陰りはいわば邪神の卵。陰りが深まればその者はやがて邪神となります



その言葉を聞いた俺は体が震えだす。背筋が凍った。俺が邪神になるなんて思ってもみなかったからだ。



──不安になることはありません。貴方は心優しき者。渇望の果に邪なる神へ墜ちる事はありません



俺はほっとした。


女神様先に教えてくださいよ。目の前が真っ暗になりましたよ!



──ですが貴方の意思とは無関係に深層の陰りを利用し邪神へと堕とす者が現れるやもしれません



それでも第三者の介入によって邪神に墜ちる可能性が有ると。



──それを防ぐ手立てがあります。今から述べる物を眷属アコヤにて回収し因子を開放するが如く祈りなさい。さすれば深層の陰りは薄れ、やがて消滅しましょう



さすが女神様。救いはあった。



──古より生き残りし古龍の涙


──わが眷属たるエルフの森の巨木。その一葉


──海竜を餌とする巨大蛸の足八本


──愛する者の血の雫一滴


──氷の大地より生まれし氷塊の大鳥。その羽



──以上です



ちょっと待て下さい女神様。一辺に言われても覚えきれません。



──我が子とは常に心が通じております故心配には及びません



それは助かります。その都度シェルに聞けばいいって事か。


女神様の忠告に感謝してた時、大人シェルが申し訳なさそうに口を開いた。


『フィリーア様……あの……古龍の涙なんですけど』



──どうしましたシェルター



『少し前に古龍を食べてしまいました……』



──え



え。


なにいってるのシェル。古龍を食べた? 思わず女神様も「え」って言っちゃってるよ! あ、あれか。


この世界にきて間もない頃俺達に襲い掛かってきたあのドラゴンか! 


やっぱりトカゲをパクりなのって食べたって事だったのか……



──コホン。シェルター心配には及びません。この世界には複数の古龍がいます。安心してお探しなさい



女神様ちょっと動揺して早口になってませんか? カワイイけども。


『あい! じゃなかった。はい! わかりましたフィリーア様! 』



──では良き旅を。いずれまた会いましょう



「ありがとう女神様。いってきます」



心からの感謝を述べて俺は意識を飛ばした。


この先どうなっていくのかワクワクしながら。

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