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対人恐怖症な俺の異世界リハビリ生活  作者: 春眠桜
ヴィクトール王国編
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独身生活の終焉

話が全然進まない状況に俺は不安を募らせたんだ。


邪神が狙うであろうミルレードさんをはじめエルフ達が、結界の無いこの場に数名いる状況はよろしくない。


そんな思いで口をだしたんだ。


「うむ、ナイト殿いかがした? 」


ウィリス国王がその場の代表として俺に尋ねてきた。


『はい、お話の内容はよくわからないのですが、結論は急がなくてもだせると思うのです』


「ふむ」


『急がなければならない事が別にありまして。国王様の許可を得て実行したいのですがよろしいでしょうか? 』


俺の中でベルーラ卿の話はどうでもよかった。只々邪神関連について心配だったんだ。


「構わないが、何をするつもりなのだ? 」


俺は邪神について説明を再度行い、ミルレードさん達エルフが狙われる可能性を話した。


そして一刻も早く結界の張ったエルフの森へ送らなければならい旨を伝えた。


「なるほど。して、すぐに出発するのか? その際同行する人員の手配は済んでおるのか? 」


ウィリス国王は当然の疑問を投げかける。ここ王都からエルフ達の森までは相当な距離があるのだ。


『いえ、すぐに送り出す事には変わりないのですがその際の同行者も必要ないのです』


続けて俺が門を現出し、転移させる旨を伝えた。突然室内に現れた門に周囲は騒然とする。


「転移とな……さすが邪神を討伐した英雄だ。うむ、許可を出す故存分にせよ」


国王の許可を得て、俺達は準備にかかった。


現出した門へミルレードさんを触れさせ、エルフの森の中心にある女王の間まで繋がっている事を確認。


いよいよミルレードさん達エルフとの別れだ。


別れに際し、ミルレードさんは俺に向かい一礼すると感謝の言葉を述べた。


「キド・ナイト様、貴方のご厚意が我らエルフを救ってくださった事に対し今までお礼を申し上げられませんでした。改めてお礼申し上げます」


『いやいや、皆さんが無事に森へ帰れるだけで十分です。それに道中楽しかったですよミルレードさん』


俺の言葉に微笑みを浮かべながら、少し名残惜しそうにミルレードさんは返事をした。


「有難うございます。宜しければいつか私たちエルフの森に足を運んで下さい。その時はお礼も兼ねて歓迎致しますわ」


『はい、それではお元気で』


「皆様、有難うございました。それではさようなら」


ミルレード女王含めエルフ達は国王へ一礼すると、静かに門を開きエルフの森へと帰って行った。


エルフ達を送り出した門は静かに消え、残された者達が佇んでいた。


『ウィリス国王様、エルフの皆様を森へ無事帰還させる事が出来ました。許可を下さり有難うございました』


「おぉ、ナイト殿。こちらかもお礼申し上げますぞ。ミルレード女王らエルフの方々を無事森に送れたことを感謝する」


ウィリス国王は俺に感謝を述べると、今度はベルーラ卿へ向けて声を出した。


「ところでベルーラ卿。今ナイト殿が見せた現象について何か言うことがあるか? 」


ウィリス国王の言葉は、俺が転移を見せた事の感想を聞こうとしているのものではない。ベルーラ卿が否定してきた俺の功績についてもう一度否定できるかと暗に聞いているのだ。


だがベルーラ卿はそれがどうしたと言わんばかりに話をはじめる。


「たしかに素晴らしい転移魔法でございました。ですが、転移魔法をつかえる者はこの世界には複数おりましょう。特に驚く点はございません」


そのベルーラ卿の返答に国王ではなく、ソフィアさんが返事を返した。


「おもしろい事を言う。ベルーラ卿、其方は今ナイト殿が見せた転移魔法が他者でも使えると申したか? 」


ソフィアの言葉に即答で答えるベルーラ卿。


「はい。そう答えましたが何か? 」


自信に満ち溢れるその返事はソフィアの顔を笑顔に変えた。


「ほう、それは凄いな。エルフ達が強固な結界を張り、外界から遮断された空間へ転移させられるものがこの世に複数居るとは。是非紹介してもらいたいものだ」


ソフィアの返事を聞いて漸く動揺を見せ始めたベルーラ卿。だが、尚も足掻きをみせるように喋りだす。


「それはあれでしょう、転移する時にエルフらが結界を閉じたのでしょう。なにも驚くことはありません」


その言葉に今度は国王ウィリスが返答する。


「ベルーラ卿、それはいささか思慮が足らぬのではないか? 」


「とおっしゃいますと? 」


「エルフの結界を閉じるには、現在森に居る複数のエルフ達に結界を閉じる命令を出さねばならない。それをいつ、誰がしたのか? 」


「それは……」


「更に、本日我が招集をかけた理由はわかるな? 」


「はい、ソフィア殿下が急遽王都に戻られたからです」


「その通り。これは予測だが、ナイト殿の転移魔法を使い急遽王都まで戻ってきたのであろう。全てが予定になかったのだ。つまり、森のエルフ達へ結界を閉じる手筈など最初から無かったと言う事だ」


「しかし──」


国王ウィリスの言葉にもくってかかるベルーラ卿だが、いい加減うっとおしくなってきたな。


そう思った俺は転移について話をしはじめた。


『転移については俺と同じものを使える人間はこの世に誰一人いないと思いますよ』


俺の言葉に今度はベルーラ卿が激昂し言葉を荒げた。


「なぜそう言い切れる! どこの馬の骨ともしれぬ貴様の言葉など意味は無いわ」


『女神の加護を受けし転移の門をだせるからこそエルフの結界があっても問題はなかったのですよ。ちなみにエルフの皆さんは女神の眷属です』


「な……」


やっと黙ってくれたなベルーラのおっさん。本当に困るんだよねぇ、いつまでも子供みたいに駄々を捏ねる人って。


あ、そうだ。ついでにもう一つ釘でも打っておくか。


『あ、そうそう。俺から皆さんに言っておきたい事があるんです。とっても大事な事なのでよく聞いていてください。後日知りませんでしたって話は一切通用しませんので注意してくださいね』


俺はそう言うと、ありったけの魔力とプレッシャーをベルーラのおっさんを中心にぶつけながら言葉にした。


『俺の家族シェルは当然の事、ここに居るソフィアやその親族友人、グリード・クレイグをはじめとする関係者に害意を及ぼす者は全て俺の敵だ。敵と認識した者へは容赦はしない。邪神と同じように存在すら消し去ってやるから楽しみにしておけ』


言い終わると俺は魔力とプレッシャーを引っ込め、営業スマイルをみせながら国王様へと顔を向けなおした。


国王様、顔がおもいっきり引き攣ってますよ、大丈夫ですか?


「う、うむ。ナイト殿の心遣いありがたく思うぞ。して褒美は何を取らせればよいか? 」


あれ? 余計な事しちゃったかな。急に褒美を取らせるって話になっているのだが。


困って周りを見回すと、複数名泡吹いて倒れてるし、あ、ベルーラのおっさん失禁しながら白目向いてる。やりすぎたかなこれ。


そう思っていると隣に居たソフィアさんが真っ赤な顔をして腕にしがみついてきた。え、なんで?


その様子を見た国王ウィリスは俺に確認するように尋ねてきた。


「ナイト殿は娘ソフィアの考えをどう思っているのだ? あぁ、つまり嫁としてソフィアをもらってくれるのかと言う話なんだが」


それはもちろん決まってますよ。


『娘さんを……ソフィアさんを下さい国王様、いえ、義父様』


「うむ、こちらこそ娘を頼むぞ婿殿」


俺達は晴れて婚約するにいたった。さらば独身生活、既婚者ないとの未来はどっちだ!



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