せな、ひばりの袖を離して地獄の真ん中へ
せな、ひばりの袖を離して地獄の真ん中へ
四人はまだ無言のまま固まっていた。
しゅいはなぎとの袖を掴んだまま。
なぎとは動けない。
せなはひばりの袖を掴んだまま。
ひばりはその手を包んだまま。
沈黙が重くて、
息を吸う音すら響きそうで。
(……やば……
この空気……
どうしたらいいの……)
せなは胸が苦しくなって、
ひばりの袖をぎゅっと握りしめた。
ひばりはその震えに気づき、
そっと囁く。
「……無理しなくていいんです」
その優しさが逆に胸を締めつける。
せなは小さく息を吸い――
ひばりの袖をそっと離した。
ひばりは驚いたように目を瞬く。
せなは震える足で一歩前へ。
そして、
しゅいとなぎとの“間”に立った。
二人とも、
一瞬で息を呑む。
せなは両手を伸ばし――
右手でしゅいの手を、
左手でなぎとの手を、
そっと握った。
「……っ」
「……え……」
二人とも、
触れられた瞬間に真っ赤になる。
せなは震えながら、
しゅいの肩にもたれかかった。
「しゅい……」
しゅいは息を止める。
「……せな……?」
せなは涙をこぼしながら言った。
「……私……
どうすればいいんだろう……」
声が震えている。
「しゅいも……
なぎとも……
ひばりも……
みんな……大事で……」
しゅいの手が、
ぎゅっと強く握り返す。
なぎとは目を伏せ、
唇を噛む。
せなは続ける。
「……好きになっちゃったの……
どうしたらいいの……
わかんないよ……」
その瞬間、
せなの膝がふらっと崩れた。
「っ……!」
「せな!!」
「おいっ!」
ひばりもすぐに駆け寄る。
せなはその場にうずくまり、
両手で顔を覆って泣き出した。
「もう……
わかんないよ……
どうしたらいいの……」
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しゅいはせなの肩に手を置き、
必死に声を絞り出す。
「……泣くなよ……
せな……」
なぎとは反対側から、
せなの背中をそっと支える。
「……大丈夫だって……
俺らがいるから……」
ひばりは正面にしゃがみ込み、
せなの手を優しく包む。
「……せなさん。
落ち着くまで……
僕たちがそばにいます」
せなは涙でぐちゃぐちゃの顔で、
3人を見上げた。
「……みんな……
優しすぎるよ……」
しゅいは照れたように目をそらす。
なぎとは悔しそうに眉を寄せる。
ひばりは静かに微笑む。
3人の手が、
せなを囲むように触れていた。




