週刊誌とシュークリームに逃げた恋心
「じゃあ、二人が付き合ったので記念パーティってを……」
みおとがニヤッと笑った瞬間、
「ちょ、ちょっと待って!!
本当にそういうんじゃないから!!」
「そうだって! 誤解すんな!!」
なぎとも慌てて頭を押さえる。
「えぇ〜? あの距離で“仲良しじゃない”は無理あると思うけど〜」
「ほ、ほんとに違うの!!」
「ふーん……」
みおとはわざとらしく考え込んでから、
ぱんっと手を叩いた。
「じゃあさ、なぎとじゃないならせな、誰が好きの?」
「……す、好きな人なんて……い、いない……!」
「本当?」
「ほんと!!」
必死に言い張るせなの横で、
あおばがニヤニヤしながら口を開く。
「せなの好きな人はね、し……」
「言わないで!!」
「え〜? 誤解されるくらいなら、はっきり言ったほうがいいんじゃな〜い?」
「う、うるさい!!」
せなは顔を覆って真っ赤。
(こんな男子全員の前で言えるわけない……!
まだ気持ちの整理もできてないのに……!)
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「せ、せなの好きな人……俺も……知りたい……。い、いや……変な意味……じゃねぇけどさ……」
なぎとがぽつりと呟いた。
その頬はほんのり赤い。
「っ……!?」
せなは心臓が跳ねるのを感じた。
すると――
「俺も知りたい!」
「ぼ、僕も……!」
「俺も!」
「応援するよ!」
「教えろって!」
六方向から押し寄せる声。
せなは完全に追い詰められた。
(む、無理……!
こんな状況で“しゅいが好き”なんて言えるわけ……!)
喉がひゅっと鳴る。
心臓はドラム。
顔はトマト。
そして――
「い、いないって言ってるでしょ!!
……強いて言うなら……」
口が勝手に動いた。
(やばい……!
言うな……!
言うな……!)
「しゅ……しゅ……」
「しゅ……?」
全員が前のめり。
「しゅ……しゅ……
しゅ、しゅ……
しゅ、週刊誌!!
週刊誌読むの!!
だから恋愛とか無理!!」
「週刊誌!?」
みおとが吹き出す。
「今の絶対“人の名前”だったよね?」
あおばがニヤニヤ。
「ち、違う!!
週刊誌!!
週刊誌が好きなの!!」
(週刊誌って何!?
私そんなに読んでない!!)
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「じゃあさ」
みおとがニヤニヤしながら言う。
「週刊誌読むのが好きな人がタイプってこと?」
「ち、違う!!
趣味!!
趣味に集中したいの!!
だからいないの!!」
「趣味!?」
ひばりが困惑。
「趣味って何?」
たゆとが素直に聞く。
「しゅ……しゅ……
しゅ、趣味!!
趣味が……
しゅ、週……
週……
週3で……
寝る!!」
「週3で寝る!?」
みおとが爆笑。
「週7で寝てるだろ普通!!」
しゅいがツッコむ。
せなはもう涙目。
(何言ってんの私……!
しゅいの前で何してんの……!)
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「一回ストップ」
らおがふわっとした声で言う。
「せな、落ち着いて。
本当に好きな人いないの?」
「い、いるわけ……
いない……
いないけど……
しゅ……しゅ……
しゅ、しゅ……
シュークリーム!!」
「シュークリーム!?」
全員が揃って叫ぶ。
「す、好きなの!!
シュークリームが!!
だから恋愛とか無理!!
シュークリームが好きだから!!」
「シュークリームに負けた男たち……」
みおとが天を仰ぐ。
「いや負けたくねぇ……」
しゅいが小声で呟く。
せなはもう顔を覆って震えている。
(死ぬ……
もう無理……
穴があったら入りたい……)
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「……しゅ……」
なぎとがぽつりと呟いた。
「しゅ……って……
シュークリームじゃねぇよな……?」
せなはビクッと跳ねる。
「っ……!!」
なぎとはゆっくり顔を上げ、
耳まで真っ赤にしながら言った。
「……誰なんだよ……
“しゅ”って……」
その声は弱くて、
震えていて、
胸に刺さる。
裏チーム全員
「「「「「「おおおおおお……」」」」」」




