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俺の嫁はぷよぷよなあいつでした。  作者: 秋野ムラサキ
3/3

スタートはぷよぷよと共に

妹とベッドでじゃれた後、俺は部屋を出て、リビングに向かった。

言っておくが、何もやらかしてないからな?


リビングのソファで横になり、テレビを見ながらゴロゴロタイム。

ん?学校行かなくていいのかって?

今は春休みなんだよ。

じゃあなんで妹が起こしに来たかって?

あいつ曰く、自堕落な生活で生活リズムを崩さないためらしいが、多分俺に構ってほしいからだな。


さて、いつまでも『俺』、『妹』と呼称するのも無理があるから、ゴロゴロついでに、俺と俺の家族について、簡単に説明しておく。


アニメ主人公っぽくいくぞ。

俺、風間定高(かざま さだたか)

うわ、自分でやっておいてなんだけど合わねぇ~。

いろいろな所に怒られそうだから以後は普通に。

風間家の長男にして、現在高校一年、あと数日で二年生。

風間といっても、変な髪型もしていなければマザコンでもない。

もちろんあだ名は『カザマくん』などではなく、一番奇抜なあだ名は、俺の名前の母音が全て『あ』であることから『ああああ』。

テキトーにつけたゲームのキャラネームかよ。絶対言いにくいだろ。

俺の紹介はまぁこれくらいだ。

もっと無いのかと言われそうだが、平々凡々な俺にはこれが精一杯。

妹辺りに言わせたら、もっと出てきそうだがな。主に悪口が。


次はそんな妹の紹介だ。

風間家の長女にして、愛すべき俺の妹、その名は風間音々子(ねねこ)

現在中学二年生、もうすぐ三年生。

学年順位十位以上を常にキープする秀才にして、女子テニス部の副部長。

おまけに同中学の男子にて秘密裏につけられた美少女ランキングでは、二年連続トップ5入りの顔立ちである。 

同じ親から産まれたのが不思議なくらいの差である。

本当、優秀な妹を持つ猫型ロボットの気分だぜ。

それでも本人は『全部一位を外しているから悔しい』らしい。総合点ならぶっちぎりだろうに、欲張りなやつだ。どれか一つくらいスペックを分けて欲しい。

いや、『美少女スペック』とかもらっても困るが。

そんな完璧超人みたいな妹だが、兄である俺は、妹の唯一残念なところを知っている。


俺の妹は、頭がお子様である。


おい誰だ『それが?』って言ったやつ。

妹は中学二年にして未だ俺をお兄ちゃんと呼んでくる。

嬉しいけど、外で呼ばれると少し、いや結構恥ずかしい。

他にもある。

妹極度のかわいいもの好きで、なにかとぬいぐるみを買うから、部屋がぬいぐるみ牧場のようになっている。

妹はたまにキャラクターパンツをはいている。

ふだんは『私』の一人称が、興奮すると『音々子』になる。

誰だ今、『かわいい』って言ったやつ。


そして俺の妹はブラコンだと思う。

俺の悲しい思い込みとかじゃないからな?


例えばだ、妹は基本的にポニーテールで、ボサボサな俺とは違うサラサラの黒髪をリボンでまとめているのだが、このポニーテールの原因は俺だ。本人は部活中髪が邪魔にならないようにらしいが、妹がポニーテールを始めたのは、俺が何気なくポニーテール好きであることを話した次の日であることを、俺は知っている。

俺が軽く褒めてやると、妹は『別に~』みたいな態度を取るが、そのとき妹のポニーテールがピコピコしている。これは、新しいぬいぐるみをゲットした時と同じ反応だ。


俺の妹は間違いなくブラコンだ。

一応言っておくが、俺がシスコンなわけではない。


だが、妹の話なら何時間でもできるぞ?


もう一度言う、俺はシスコンではない。


そんなことを考えていると、いつの間にかテレビは番組が1つ終了しており、時計の長針は一回転した後だった。


「お兄ちゃん、パソコンが何かピコピコしてるよ~」


「え⁉」


慌てて部屋に戻ると、妹が俺の回転椅子に座って待っていた。

見ると、確かにパソコンの通知アイコンがピコピコしていた。


俺は妹を椅子ごと退けて、アイコンをクリックする。すると表示されたのは、ゲームのお知らせ通知だった。


『ブレイブオブサターン』


「なんだこのゲーム?お前、知ってるか」


「さぁ?でもお兄ちゃん、中学生の頃はたくさんゲームしてたから、その1つじゃない?」


「そうか」


何を隠そう俺は中学時代、ゲーム廃人と言っていいほど、パソコンの向こう側の世界に入り浸っていた。

確かに、『ブレイブオブサターン』というゲーム名は見覚えがある。

だけどなんで今さら。


俺はあまり深く考えずに、ゲームを起動した。思えばこれは、俺が犯した最初の失敗だったかもしれない。


気付くと俺は、自分の部屋の床に、仰向けで倒れていた。

妹は横で同じように、ただしこちらは横を向いて倒れていた。


しかし、妹を状態を確認したのは、もう少し後だったりする。なぜなら、目を覚ました直後に俺が分かったのは、何かに乗っかられたような重みと、俺の顔面を塞ぐようにしてそこにある、ぷよぷよとしたものの感触だけだったのだから。

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