まさかの関係
「はぁ、疲れたぁ。じゃあ誠司、ご飯作るから何食べたい?」
「肉が食べたい」
「了解」
家に着くなり、晩御飯の用意をする姉。基本的に親が共働きで帰るのが遅いため姉が料理をするのだが、皿洗いや配膳などは「面倒だからやりたくない」とのことで俺にやらせている。これが普通になっているので今更文句もない。ちなみに「何でもいい」と言うとカップラーメンしか出てこないので、これは我が家では禁句だ。
「お肉ねぇ。冷蔵庫のなかは……あ、今日までのお肉があるからカレーにしちゃうね。お皿用意して」
「はいはい」
冷蔵庫からお肉や野菜を取り出す。自分はとりあえずサラダやカレーの皿を取り出し、邪魔にならないところにおく。カレーなら皿も少ないので適当に用意する。すぐに終わり、リビングでスマホをいじりながら待つ。
すると、チャットアプリからメッセージがくる。なんと中森さんからで、部活について何か連絡かと思い開くと、
『さっきコンビニの前で、女子の先輩を泣かせてたって聞いたんだけど本当?』
「……なぜ知っている」
思わず独り言をつぶやく。聞いたということは、あの場に中森さんの知り合いがいたということか。なんと言い訳するか。
『あれは姉で、カクカクシカジカで俺は被害者だ』
細かい説明は省きつつ、すべて姉が悪いことを説明する。
『へぇ、お姉さんいたんだ。制服、隣の高校って聞いたから、誠司くんってモテるんだなぁと思って好奇心で聞いちゃった。でももう一人いたって聞いたけど?』
『あれは姉の友達。俺がモテるわけないだろう』
『えー本当かなぁ?』
クソ、姉貴のせいで変な噂が立ってしまった。たぶん他の生徒にも、知っている奴は知っているだろう。
「誠司〜、味見してほしいからこっちきて」
元凶からの呼び出しをくらい、一度スマホを置いてキッチンへ向かう。
「ほい、あーん」
姉はスプーンでカレーをすくい取り、それを食べさせてくれる。姉は美人なので他から見たら羨ましいかもしれないが、俺からしたら何も思わない。
「んー、もうちょい辛いほうが好きだけど、味付けはいいんじゃない?」
「じゃあ誠司のカレーだけ大量のハバネロいれるね」
「俺、もうちょいって言わなかったっけ?」
この姉は俺をまた虐める気か?
俺は、また手伝う事があれば呼んでくれと言い残し、再びリビングに戻る。すると中森さんからさらにメッセージがきていた。
『ごめんごめん、実は麻衣先輩って人いたでしょ?あの人、実は同じデッサン教室通ってて仲いいんだ。今日話してて』
……まじか。
まさか麻衣さんと中森さんが知り合いとは。てかあの人、絵描いてたんだ。とりあえず、
『麻衣さんからなんて聞いたの?』
と返信する。麻衣さんが一体俺のことをなんて言って広めているのかが怖い。変なこと言ってないといいが。
『ふふっ、気になる?』
『そりゃまぁ、悪い噂流されたらたまらないから』
なぜか楽しそうな中森さんのチャット。そう言う俺も、なぜか少し楽しいと思ってしまう。
これが女の子とチャットするということか。賢治とチャットするのとはまるで違う。
「誠司〜ご飯」
姉が呼んできたので、一度チャットを切ることにする。
『ごめん、ご飯だからしばらく返せない』
適当に断りを入れる。すると、
『じゃあ、続きは8時くらいに電話しよ?』
なんとまさかの電話のお誘い。いやいや、俺は麻衣さんが何の話をしていたか聞きたいだけで別に通話したいわけでは……いや、別に嫌なわけではないが……。
そう、よくわからない感情と戦っていると、
「誠司〜!早くしなさい!」
と、姉から急かされる。
うるさい姉貴!こっちは今際の際なんだ、助けてくれ!
『わかったけど、遅くまでは無理だからな』
『へぇ、遅くまで話すつもりだったんだぁ』
この野郎……姉貴以外の女性に敵意を持ったのは初めてだ。
『でもわかった、また後でね』
と、とりあえず話は一度切ることができた。危ない危ない、致命傷で済んだな。
とりあえず、これ以上遅れると姉に怒られるのでキッチンへ向かうことにした。
そろそろラブコメぽくなってきました




