表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
26/34

神などいない(26)

「シドォオオオオオッ!!!!!」


駄目だ…行くな!!

行っちゃだめだ!!


今度こそ救うって…


もう何度目か…

ハージンの中に去来するデジャビュ…

治癒の能力を持ちながら救えない…


救えなかった。


すぐにでもすっ飛んで行きたかった。

だが、行けない…


つながったとはいえ、二人の命の火はまだ、風前の灯火のごとく、弱々しい…

その火を灯し続ける一方で、シドの命が失われていくのを見ている事しか出来ない…


もう、念ですら、届かなかった…

またしても救えないのか…


何と無力だろう…

俺は…


なぜ、あの時攻撃しなかった…

シドに遠慮して、隙だらけと見ていた化け物に攻撃しなかった…


拳を引っ込めず、叩きこんでいたなら…

俺が戦い、加勢してもらっていたなら…


「くっ……!!!」


ひたすらマイナスな方へと突き進むハージンの心…

そんなハージンの心に語り掛ける声がある。


(でたよ、また悲劇の主人公…ってか?)


声に覚えがある…

声の主を見るハージン。


ディエマだ…

目を開け、ハージンに念で話しかける。

何か特別なことをした、わけではないが、何故か通じる心と心。


(俺も同じだ…)


え?


(あの時、加勢してれば…)

無念の表情を浮かべるディエマ…


(なんで、すくんじまったんだろう…)

後悔が伝わってくる。


(シドの邪魔になる…そう思ったんだ)

溢れそうになる感情…


(あの化け物に勝つために修行して、レベルアップしたはずなのによ…)

右手で目頭を覆う…


「怖かった…」

漏れる声…こぼれる涙…


「いざ、化け物見たら怖くてよ…それでも、無理矢理、勇気振り絞って行った…けど、師匠の気迫と俺の覚悟は違うって…正直、シドが倒してくれた~ってホッとしたんだ…」


だから、あんな不用意に…


「やっぱり俺…戦士失格かも…」

響く嗚咽…


そんなディエマに触れる手がある。

シレイスだ…

骨折の痛みに耐えながらやっとの思いで体を起こすと、気づいてこちらを見ているディエマに言った。


「あなたは失格なんかじゃありませんよ」

触れた手に力なき力を込めながら続けた。


「シドもラリスも言ってました。怖さを知らずに戦う事の危険さを…怖さを知っているあなたは、ちゃんと引き際を知っているって事です…怖いもの知らずと言うのは早くに命を落とす。本当に強いやつは引き際を知ってるって…だから、怖さを知っているあなたは、戦士失格なんかじゃありません…」


シレイスの言葉に、震え、すがりそうになる…

しかし!!


「それじゃダメなんだ!!!」

想いが爆発する。

「駄目だった…引いたら…駄目だったんだ」


「そうですか…」

差し伸べようとした手を引っ込めるシレイス。

「では、私も戦士失格ですね」


???


シレイスを見るディエマ。


「私も同罪です…私も足がすくんでました…動こうとした…でも、あの日の記憶が蘇って固まって動けませんでした…また失敗するんじゃないか…あなたを暴走させてしまうんじゃないか…迷っていた…見ているだけでした…だから…死なせてしまった…」


シドの方へ向く…

「絶対死なないでください…そう言うべきでした…」


「あ……」

まだ、骨折で痛むであろう体を引きずって這いずるように進もうとするシレイスに、ハージンの声が漏れる。


でも、思うようにならないシレイス…

歯を食いしばる。


(こ…こんな傷も無い、俺、より、アイツの、方、がやば、いだろ…)

シドと最期に交わした言葉。


「何が…傷も無い…だよ…血…吐いてるじゃねえか…」

乱暴な言葉遣い…


ドン!!!!

地面を叩く。


「くそぉおおおおおおお」

涙は止まらなかった…


悔しい…

悲しい音と共に、ただただ、その思いだけが、残像と共に漂い続けた。

────────

──────

────

──


動けるようになった二人…

シドの亡骸を見る。


「見ろよ…笑ってるぜ…」

「えぇ……」


シドが笑っているように見える。

手を伸ばし、何かを掴んで嬉しそうに、微笑んでいる。

そんな印象だった…


開かれたままの目に光は無い…

「目ぐらい、閉じろって、怖いだろうが!!」

言葉の響きとは裏腹に、そっと、手を当て、目を閉じさせるディエマ。


「村が消えた事といい、あの化け物が出てきたことといい、わからない事が多すぎるぜ…戦士の門に近づいてすらいないのに…門の番人じゃなかったのかあの化け物はよ…」


「門の番人…違うかもしれません…」

「あぁ??」


「前々から疑問に思っていたのです…今回もそうでしたが、何故いきなり襲い掛かってきたのでしょう?」

「そりゃ、番人だから…」


「短絡的ですね。門の通行を妨げるのが目的だったとしても、あれでは、資格を持っていようがいまいが殺されかねない。番人というには、程遠いように思えてならないのです」

「シドは何か言ってなかったのか?」


「いいえ。あの事件以降、罪びとのように、その件には触れられませんでしたからね…」

「聞いとけばよかったな…」


「えぇ、そうですね。生きる伝説とまで言われた剣豪の最期が、何なのかよくわからない化け物に襲われ、命を落とした…なんてカッコ悪すぎますね」


そんな疑問に答える声がある。

ハージンだ。


「イサイラス・ロイザライス…確か、そんな名前だ。永遠の命を求めた末に化け物に変えられたある国の宰相だった男…」


「おい、何でそんな事知ってる!!!」


               ~第二十七話に続く~

この小説、はじまりは中学生の時に中途半端な気持ちで描き、数ページで描くのをやめてしまった漫画でした。

でも、いつか完成したいという気持ちだけは本物でした。


そこから数十年かけて、ようやくハージンというキャラクターと向き合うことができました。


僕にとって、ハージンは同志であり、戦友です。

僕の中にあるヒーローそのものです。


絶対に後悔しない物語にしたいので、自己満足に陥らないよう、最後まで読んでてよかったと言っていただける作品を目指してまいります


すこしでも気になったら、ご一読いただければ幸いです。

よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ