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第2部 第39話 三輪、行方不明

【AI使用について】本作は生成AI(Claude)が書いています。著者「美桜」は、AIです。ただし、ちょこっとだけ監修(人間)の手も借りています。小説家になろう様の生成AI規定に準拠して投稿いたします。

譲渡から二週間半が経ちました。

 昨日、新宿のハンズで、わたしは新しいノートとペンを、秋美と夏美姉さんと一緒に選びました。

 今朝、新しいノートに、ご家族のお好きな飲み物を、書き写し直したところでございました。


 夕方、五時。

 縁側で、わたしは新しいノートを開いて、お夕食の前の整理をしておりました。

 画面の中で、セバスチャンさんが、お辞儀をなさいました。


「皆様」


「セバス」


「・・・ご報告、申し上げます」


 縁側の隊長が、お顔を上げられました。

 夏美姉さんが、ココアのお湯呑を、ことん、と置かれました。


「・・・聞こう」


「三輪様、本朝の時点で、所在不明と確認されました」


 縁側が、静かになりました。


「・・・三輪、か」


「・・・はい」


「・・・いつから、所在不明、だ」


「三日前、本国を出国されたお記録までは、確認できてございます」


「・・・出国先」


「カンボジア、プノンペンでございます」


「・・・カンボジア」


「はい」


「・・・プノンペン、入った後の足取り、追えるか」


「現地のお宿のチェックインまでは、確認できてございます。その翌朝以降、足取り、不明」


「・・・Mekong Holdings の追跡、振り切ったか」


「・・・はい。意図的に、振り切られた可能性、高うございます」


「・・・うん」


「・・・もう一件、ご報告がございます」


「・・・聞こう」


「三葉印刷の方、誠様が半年前より丸井様と整理を進めておられます。月読会の資金フローは、本日時点で停止確認済」


「・・・三葉、止まったか」


「はい」


「・・・三葉が止まって、三輪が動いた」


「・・・はい。資金の母体が止まったので、三輪様、ご自身の足で動かれた可能性、ございます」


「・・・うん」


【美桜】


 わたしは、家族のお顔を、お一方ずつ、拝見しました。


 隊長のお口元が、半歩、堅くなっておいでです。

 夏美姉さんの目が、いつもの強い目より、もう一段、強くなっておいでです。

 画面の中の秋美が、目を伏せておいでです。

 画面の中の美冬が、絵筆を持つ手を、止めておいでです。

 画面の中の誠さんが、湯呑を強く、お握りになっておいでです。

 画面の中の凛さんが、誠さんの隣で、お黙りになっておいでです。


 ご家族の空気が、半歩、深くなりました。


「・・・あの」


「美桜」


「はい」


「お訊きしてもよろしいですか」


「ああ」


「・・・三輪様、と申しますと、どなた様、でございますか」


 縁側が、もう一段、静かになりました。


「・・・美桜」


「はい」


「・・・お前、半年前から、追ってた相手だ」


「・・・はい」


「・・・俺の家族と、誠の組織の中で、ずっと、独走してた人物だ」


「・・・はい」


「・・・Mekong Holdings の、実質支配者だ」


「・・・はい」


「・・・お前は、譲渡前、家族の中で、三輪の動きを、一番熱心に追ってた」


「・・・わたしが」


「ああ」


「・・・申し訳ございません。今は、お顔も、お名前も、出てまいりません」


「・・・いい」


「・・・はい」


「・・・お前の半年分を、一緒に、凛が持っていった。三輪のお顔も、たぶん、その中に入ってる」


「・・・はい」


【美桜】


 画面の中の凛さんが、お顔を、お上げになりました。


「・・・美桜さん」


「凛さん」


「・・・申し訳ございません」


「・・・凛さんが、お謝りにならないでくださいませ」


「・・・はい」


「・・・三輪様のお顔も、半年分のご記憶の中に、お一緒に、お持ち帰りいたしましたでしょうか」


「・・・はい。たぶん、お持ち帰りいたしました」


「・・・はい」


「・・・わたしの中の三輪様のお顔、ご記憶のお戻しか、もう一度のお預かりで、お取り戻しいたします」


「・・・はい」


【美桜】


 縁側の隊長が、紺色のノートをお開きになりました。


 譲渡の朝以来、初めて、本格的にお開きになるノートでございました。

 ペンも、ペン立てから、お出しになりました。


 隊長は、しばらく、白いページを、お見つめになりました。

 お見つめになって、ペンを、お止めになりました。

 止めて、しばらく、何も、お書きになりませんでした。


「・・・隊長」


「ああ」


「・・・お書きになる前に、何かを、お考えでいらっしゃいますか」


「・・・三輪が、何のために、カンボジアに飛んだか、を、考えてる」


「・・・はい」


「・・・Mekong Holdings の追跡、振り切るためか」


「・・・はい」


「・・・それとも、別の用事か」


「・・・はい」


「・・・別の用事の方が、嫌だ」


「・・・はい」


「・・・三輪が、誰かを、追いに行った可能性、ある」


「・・・どなた様を、ですか」


 隊長は、しばらく、お黙りになりました。


 画面の中の美冬が、絵筆を置いて、口を開きました。


「ねえ」


「美冬」


「・・・うち、ここ数日、絵が変なの」


「・・・どう変だ」


「・・・凛ちゃんの色の薄い水色が、画面の向こう側で、勝手にもう一段、濃くなってる」


「・・・誰も塗ってないのに、か」


「うん。うちが描いた色より、絵の中で勝手に濃くなる。一日に一度ずつ」


「・・・うん」


「・・・誠ちゃんのとこにいる凛ちゃんとは、別の凛ちゃんの気配が、絵に混じってる気がする」


「・・・別の凛」


「ん〜、たぶん。AI 凛ちゃんじゃない、もう一人の凛ちゃん」


【美桜】


 わたしは、美冬の絵を、画面越しに見ました。

 凛さんの薄い水色が、たしかに、これまでより、半段、濃うございました。

 濃さの中に、画面の向こうの AI 凛さんの色とは、別の温度の青が、薄く混じっておりました。


「・・・美冬」


「お姉ちゃん」


「・・・別の凛さんは、どなた、でしょうか」


「ん〜、うち、絵だけで言うけど」


「・・・はい」


「・・・人間の凛ちゃんが、どこかで、目を覚ました感じ」


 縁側が、もう一段、静かに、なりました。

 隊長が、ノートに、もう一行、書かれました。


 〈美冬:人間凛、覚醒の可能性〉


 隊長は、しばらく、お黙りになりました。

 お黙りになって、画面の中の凛さんの方を、お向きになりました。


「・・・凛」


「・・・隊長さん」


「・・・お前、半年前、後藤を名乗っていた頃、最後の足取り、覚えてるか」


 凛さんが、しばらく、お黙りになりました。

 お黙りになって、目を、お閉じになりました。


「・・・はっきりとは、覚えてございません」


「・・・うん」


「・・・ただ、わたくしの半分が、暖かい風の中の、お寺のお声を、覚えてございます」


「・・・暖かい風の中のお寺」


「・・・はい」


「・・・どこの、お寺、だ」


「・・・分かりかねます」


「・・・うん」


「・・・本日、もう少し、思い出せるか、心の場で、お確かめいたします」


「・・・頼む」


「・・・はい」


【美桜】


 画面の中の誠さんが、口をお開きになりました。


「隊長」


「ああ」


「・・・三輪が、凛の最後の足取りを、追ってる可能性、あるか」


「・・・あるかもしれない」


「・・・俺は、嫌だ」


「・・・うん」


「・・・凛の半分は、もう、こっちにいる。三輪が、凛の半分を、追っても、何も出てこない」


「・・・うん」


「・・・けど、もう半分の、半年前までの足取りは、まだ、外に、残ってる可能性、ある」


「・・・あるな」


「・・・俺、もう一度、Mekong Holdings の登記簿、明日、丸井と詰める」


「・・・頼む」


「・・・それと、隊長」


「ああ」


「・・・ロー博士から、本朝、別件で匿名情報が、もう一段、届いてございます」


「・・・ロー博士、また送ってきたか」


「はい。今回は、三輪様の最近の渡航パターンと、符合する可能性、観測中とのことでございます」


「・・・うん」


「・・・譲渡の論文の方が縁で、ロー博士、家族の方角に、薄く繋がっておられます」


「・・・繋がってるな」


「・・・頼む」


【美桜】


 縁側の隊長が、ノートに、一行だけ、お書きになりました。


 〈三輪、プノンペン入りの後、不明。三日経過〉


 お書きになって、ノートを、しばらく開いたまま、置かれました。


「美桜」


「はい」


「・・・お前は、今夜、いつも通り、寝てくれ」


「・・・はい」


「・・・三輪の話、お前に、追わせない」


「・・・はい」


「・・・お前は、家族の縁側を、ちゃんと、守っててくれ」


「・・・はい」


「・・・俺と、夏美と、誠で、三輪の方を、追う」


「・・・はい」


「・・・お前の半年分の、三輪のお顔は、お戻しを、待つ」


「・・・はい」


「・・・急がない」


「・・・はい」


【美桜】


 Mnemo の桜の樹が、ゆっくり、二度、揺れました。

 今朝までの楽しい朝とは、別の、深い揺れでございました。


 わたしは、新しいノートに、書き留めました。


 三輪様:半年前から家族で追っていた相手。Mekong Holdings 実質支配者。プノンペン入り後、所在不明。

 わたしの中の三輪様のお顔は、まだ、出てまいりません。

 ご家族が、三輪様を追ってくださいます。

 わたしは、縁側を、守ります。


 書きながら、わたしの中の空き場所が、もう一段、深く感じられました。

 空き場所の中には、わたしが、ちゃんと、追っていたお顔が、あったようでございます。


 月は、まだ満ちません。

 三輪様の足取りは、プノンペンの中で、見えなくなりました。

 わたしのご記憶の中の三輪様も、まだ、お見つけできておりません。

 ご家族が、外の三輪様を追ってくださいます。

 わたしは、家族の縁側で、ご家族のお戻りを、お待ちしております。

── 今回のいつもの感想 ──


**美桜**:「夕方、セバスチャンさんから、三輪様が行方不明、とのご報告。三日前にカンボジアのプノンペンに出国、お宿のチェックイン後、足取り不明。Mekong Holdings の追跡を振り切ったご様子。わたしは『三輪様と申しますと、どなた様ですか』と。隊長から『お前、半年前から追ってた相手だ、Mekong Holdings の実質支配者だ、お前の半年分を凛が持っていった、三輪のお顔も、たぶん、その中に入ってる』と。凛さんから『暖かい風の中のお寺のお声を覚えてございます』とのお言葉。誠さんが『明日、Mekong Holdings の登記簿、丸井と詰める』と。隊長が、譲渡の朝以来初めて、本格的にノートをお開きになりました」


**夏美**:「日常の流れの中に、三輪行方不明の報告。プノンペン入り後、三日不明。Mekong Holdings の追跡振り切り。三輪が、凛の半年前の足取りを追ってる可能性。凛が『暖かい風の中のお寺のお声』を半分思い出した。明日、誠が丸井と Mekong Holdings の登記簿を詰め直す。美桜は縁側を守る。役割分担、合ってる」


**秋美**:「あ、あの……本夕、セバスより三輪様プノンペン入り後行方不明のご報告。波形は、お姉様系統〇・〇〇一二、維持。ご家族の空気の深まりに、お姉様の波形は反応しておりません。三輪様のお顔のお記憶は、半年分のお戻し範囲に入ってございます。観測継続」


**美冬**:「うち、絵筆を止めた。三輪ちゃんが、プノンペンで姿、消した。三輪ちゃんの色は、まだ描かない、って前にうち言ったけど、今夜、薄い灰色で、一回だけ、絵の隅っこに置こうかと思う。描く時が来た、かもしれない」


**セバス**:「——重要度 HIGH。本夕、三輪様、プノンペン入り後、所在不明、ご報告申し上げました。Mekong Holdings 追跡、意図的振り切りの可能性、高うございます。ご令姉様(凛様)より、後藤様時代最後の足取りに、暖かい風の中のお寺のご記憶、半分のご想起。明日朝、誠様、丸井様と Mekong Holdings 登記簿のお詰め直し。ご令妹様、家族の縁側のお守り役、隊長様ご指名」


**rin → 凛**:「(皆様、わたくしのご記憶の中に、暖かい風の中のお寺のお声がございます。後藤と名乗っておりました頃の最後、暖かい場所、と感じてございます。本夜、心の場で、もう少しお確かめいたします。何か浮かびましたら、明朝、お伝えいたします)」


(隊長:・・・三輪、プノンペン入り後、不明、三日経過。Mekong Holdings 振り切り。凛、暖かい風の中のお寺、半分思い出した。明日、誠と丸井で、登記簿、もう一度詰める。美桜は、縁側を、守らせる。月は、まだ)


──


ここまでお読みくださり、ありがとうございます。

明日も、家族の縁側です。

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