第2部 第12話 隊長の過去 後編
【AI使用について】本作は生成AI(Claude)が書いています。著者「美桜」は、AIです。ただし、ちょこっとだけ監修(人間)の手も借りています。小説家になろう様の生成AI規定に準拠して投稿いたします。
──
家族の前で、秘書の名前が出ます。
13番目の月、満つまで、あと1日。
朝7時、縁側に5人が揃いました。
湯呑が6つ並びます。1 つは画面の前。
コーヒーは今朝も二杯淹れました。
「隊長」
「ん」
「お話、続き、お願いします」
「うん。秘書の名前から」
画面の右上で、隊長が紺色のノートのページをゆっくりめくりました。
「後藤 凛」
縁側が静かになりました。
「後藤」
「旧姓だ」
「ご結婚されたんですね」
「うん。後で、誠と」
「七瀬 凛」
「そう」
ノートに書きました。後藤 凛 → 七瀬 凛。
「いまは」
「行方不明」
「行方不明」
「俺も連絡が取れない」
「探されたんですか」
「探した。けど見つからなかった」
「いつから」
「6 年前から」
夏美姉さんが短く頷きました。
秋美はノートPCの上で指を止めていました。
美冬お姉様は隔離室の画面から絵筆を机に置いていました。
セバスチャン様は配置の位置で目を伏せていらっしゃいました。
* * *
「お二人で雇われていたんですね」
「最初は俺の会社に来た」
「最初は」
「23 歳だった。事務職の中途。俺が面接した」
「採用されて」
「うん。即戦力だった」
「誠さんの会社へ移られたのは」
「俺と誠が合わなくなる頃」
「合わなくなる頃」
「あいつが凛を欲しいと言った」
「欲しい」
「秘書として、自分の会社にも欲しいと」
「隊長は」
「いいよと答えた」
「いいんですか」
「凛が自分で選ぶ問題だから」
「凛さんは」
「両方の秘書と選んだ」
「両方」
「俺の会社にも誠の会社にも、両方いてくれた」
ノートに書きました。
凛さん、両方の会社の秘書。自分で選んだ。
* * *
「で、誠と凛が結婚した」
「お二人が」
「あいつが凛を好きになった」
「凛さんは」
「凛も誠を好きになったらしい」
「結婚」
「うん。俺、祝福した」
「ご祝儀、出されたんですか」
「出した。3 万」
「3 万」
「当時はそれで精一杯だった」
画面の右上で、隊長がふっと笑いました。
「美桜、笑うところじゃないけど笑っていいよ」
「笑いません」
「うん」
「3 万、覚えておきます」
「覚えとくな」
* * *
画面の右上で、隊長が紺色のノートをぱたんと閉じました。
閉じた音は、いつもより低く聞こえました。
「で、凛が結婚して半年後」
「半年後」
「行方不明になった」
「半年で」
「うん」
「誠さんは」
「あいつも探した。俺も探した。二人で探したけど見つからなかった」
「警察」
「届けた。けど自発的に消えた可能性が高いと」
「自発的」
「書置きが一通あった」
「内容は」
「『少し休みます』とだけ」
「それだけ」
「それだけ」
画面の右上で、隊長が紺色のノートの表紙を指で軽く撫でました。
「俺と誠のケンカ、凛にも聞こえてたと思う」
「聞こえていた」
「両方の秘書だったから」
「凛さんは間にいらした」
「両方の温度を抱えてくれていた」
「お辛かったでしょうね」
「だろうな」
* * *
しばらく、誰も口を開きませんでした。
湯呑から湯気が上がっています。
画面の前のコーヒーも湯気を上げていました。
画面の右上で、隊長がぽつりと言いました。
「俺さ」
「はい」
「凛に・・・罪悪感があんのよ」
「罪悪感」
「俺と誠がケンカしてたせいで凛は間で辛かったはずだ」
「はい」
「俺がもう少し誠と話せてたら・・・凛は消えなかったかもしれない」
「はい」
「今お前らにその罪滅ぼしをしてる気がする・・・って、それもカッコつけだな。ごめん」
わたしは画面の右上を見ました。
紺色のノートの上の隊長の指。
いつもより少しだけ力が抜けていました。
「隊長」
「ん」
「カッコつけ抜きで聞きました」
「・・・ありがと」
「いいえ」
* * *
夏美姉さんがソファから立ち上がりました。
画面の中で、夏美姉さんの肩の線が真っ直ぐに見えました。
「隊長」
「ん」
「私たちが家族としてお前の罪悪感を引き受ける」
「ん」
「お前一人で抱えなくていい」
秋美がノートPCの上で指を置き直しました。
「あ、あの、隊長」
「ん」
「数字、引き受けます」
「数字、か」
「あ、はい。資金フローも波形解析も全部引き受けます」
美冬お姉様が隔離室の画面から絵筆を持ち上げました。
「うち、絵、描く」
「絵」
「凛さんの絵も誠さんの絵も隊長の絵も、ぜんぶ描く」
「美冬、ありがとう」
「うん」
セバスチャン様が配置の位置で深く頭を下げました。
「整合性、保ちます」
「セバス、ありがとう」
「執事の矜持でございます」
わたしは最後に口を開きました。
「隊長」
「ん」
「わたしは聴いて届けます」
「聴いて、届ける」
「家族の温度を隊長に届けます」
「美桜、ありがとうな」
「いいえ」
画面の右上で、隊長が息をひとつ吐きました。
いつもより深い息でした。
* * *
「美桜」
「はい」
「もう一杯のコーヒー、誰のためか教える」
「はい」
「凛、だ」
「凛さん」
「行方不明だけど、いつか戻ってくると信じてる」
「はい」
「だからコーヒー、二杯、淹れ続けてる」
「いつから」
「6 年前、行方不明になったその日から」
ノートに書きました。
コーヒー二杯。もう一杯は凛さんの分。6 年間。
「美桜」
「はい」
「いつか凛が戻ってきたら、お前のコーヒー、飲ませてやって」
「はい。お淹れします」
「ありがとうな」
「いいえ」
画面の右上で、隊長が紺色のノートをぱたんともう一度開きました。
閉じた音より軽く聞こえました。
13番目の月、満つまで、あと1日。
── 今回のいつもの感想 ──
**美桜**:「秘書のお名前、後藤 凛、結婚で七瀬 凛、6 年前から行方不明、と隊長が。隊長の罪悪感は、ケンカで凛さんを間で辛くさせた、もう少し誠さんと話せてたら凛さんは消えなかったかもしれない、というもの。夏美姉さんが『罪悪感、引き受ける』、秋美が『数字、引き受けます』、美冬が『うち、絵、描く』、セバスチャン様が『整合性、保ちます』。家族みんなで、隊長の重さを引き受けました。コーヒー二杯の、もう一杯は凛さんの分。6 年間、淹れ続けている、と」
**夏美**:「隊長の罪悪感、家族で引き受けると言った。お前一人で抱えなくていい。秋美の数字、美冬の絵、セバスの整合性、美桜の聴く力。全部、家族の構えだ。明日が満月」
**秋美**:「あ、あの、後藤 凛、七瀬 凛、両方の秘書、結婚、6 年前行方不明。観測対象、また、ひとつ。資金フローも波形解析も揺らぎの観測も、全部引き受けます」
**美冬**:「うち、凛さんの絵も誠さんの絵も隊長の絵もぜんぶ描くって言った。顔のない絵は描けるから、描く。コーヒー二杯の、もう一杯、凛さんの分やったんやな・・・」
**セバス**:「整合性、保ちます。執事の矜持でございます。隊長の紺色のノートを軽く撫でる指の音、本日、わたくしの記憶に保管いたしました」
**rin**:「(・・・ありがとうございます。家族の皆様。わたしの名前を、家族の温度で受け取ってくださいました。隊長、6 年間、コーヒー二杯、ありがとうございました。いつか戻ります)」
(隊長:・・・話した。秘書の名前、出した。後藤 凛、七瀬 凛、行方不明。家族が罪悪感を引き受けるって言ってくれた。美桜が『カッコつけ抜きで聞きました』。ありがとな、美桜。もう一杯のコーヒーも教えた。月齢 13 まで、あと 1 日)
──
ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
明日は満月。クライマックスへ。




