第37話 新しい生活の始まり
遅くなりました!!
スケジュールに空きがないと割を食うのが肉食エルフ……。
で、今回から第二章です。よろしくお願いします!
アニューズで最初にやったことは家探しだった。ここは学園都市でもあるから「数年だけ住む」って部屋を借りる人も多いらしく、前世レベルとは言わないまでも賃貸物件を仲介する業者がいたりするんだよ。
びっくりしちゃった!
契約は3ヶ月毎で、家賃が変わる時には1ヶ月以上前に大家から提示しなければならないとか、かなりシステム的にも整ってる。
やっぱり学者が多かったり、必要に迫られてたりするとその辺の発展はするんだねえ。
「ふわああああ! 凄ーい!」
レンガで整備された大通りは、街の中心部が省庁街・学園街になっていて、その周辺にお店もたくさんある。外側へ行くほど居住区がおおいね。
前の大陸では見かけなかった4階建ての建物とかがたくさんあって、完全に田舎者の顔をしながら私は上を見上げて歩いた。
「元から家を持っていた人間が立替や増築をして、上の部分を貸し出してることが多いんだ。上の階ほど家賃は安い」
口を開けて周囲を見ている私に、ザムザさんが簡単に説明をしてくれた。なるほどなるほど、私は今の体だと全然困らないけど、前世だったら「えー、4階でエレベーター無し? マジデスカ」ってぶーたれるところだ。
「朝食を付けてくれる下宿と、本当に部屋を貸してくれるだけの物件があるわ。……さて、前に来たときは食事付きのところにしたけど、今回はどうしたらいいかしら」
悩むような口振りだけど、フランカさんの視線は完全にエイリンド様へ向いている。エイリンド様が人間と同じ朝食を食べるなら朝食付きのところにするし、そうでないなら……ってことなんだろうね。
「私のことは気にするな」
「いや、無理ですってば。街の外の森に住んで狩りします? そもそもお肉食べないじゃないですか。何食べるつもりなんです? これから冬ですよ? 部屋も要らないってならメイデアの森へ帰れ」
格好良く強がって見せたエイリンド様を瞬殺で論破する。3日に一度くらいのペースで私に「メイデアに帰れ」と言われてるエイリンド様は、ぐっと鼻の上に皺を寄せた。
「……私は肉を食べるつもりはない。だから、自分の食事くらい自分で作る」
「ああ、そういうことね。じゃあ朝食後に厨房を借りられることも条件にして部屋を探しましょう」
フランカさんのまとめ方にエイリンド様が「何か違う」って顔をしてたけど、それは無視。
そして私たちは、1階が丸々共用スペースになっている家の、4階建ての4階にある1部屋を借りることになった。
ザムザさんの説明によると、同じ建物に大家さんが住んでないのは珍しいらしいけど、私的には「ああ、シェアハウスね」って感じでわかりやすい。
ちょっと大きい厨房は「勝手に料理をしろ」ってことだし、住んでいる人同士で「食費安く済ませたいから」ってまとめて食材買ってご飯を作ることもあるそうだ。
部屋は大きいワンルーム。奥にベッドが4つあって、そこは衝立で一応仕切ってあって、手前には荷物置き場や小さなテーブルとかがある。
仲介業者さんの話では、冒険者か学生が借りる事が大半だから、テーブルも荷物置き場も、ないと話にならないらしい。
4階は上がるのが大変かも知れないけど、高い建物だらけのこの街の中で、なんとか空が見える場所だった。
私は平気だけど、エイリンド様が「空が……見える」ってすっごいしみじみしてたから、見えなかったら精神の健康上まずかったかもね。
賃料も問題なかったので、すぐ契約をしてアニューズでの拠点が決まった。
備え付けの家具があるから、買わなきゃいけないのはまず食料というわけで、エイリンド様以外の3人で市場へ向かう。
並んでる野菜は新鮮で、お肉も狩猟肉だけじゃなくて畜産品があるね。というか、豚だけど。
私が目で訴えていたら「少しだけよ」ってお母さんのようなことを言ってフランカさんが豚肉を買ってくれた。あとは、ソーセージが肉屋には何種類か揃ってる。
私はギラギラとした目でそれを見つめていたけど、ザムザさんに「……おい」と声を掛けられて「週に1種類ずつ! 研究しながら食べます!」と宣言した。
だって、やっぱりお肉高い!
ハムやベーコンとかの保存性を持たせたものが一般的だけど、スープの調味料的に使うのかな? ってお値段がする!
これは……いろいろ考えなきゃですわ。
時間魔法を習得する以外にも、お金を稼ぐ方法、もしくはお肉を無料で手に入れる方法を!




