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26-4

 結論から言えば、ヤンの圧勝だった。

ヤンは、奥方の援護もあり上司のグラーゼにも頼みこみ、臨時職扱いでヤンの仕事をティムにもさせたのだ。ルークが補佐についたし、そうそう無理な案件も抱えてない。そこそこできる人間なら、無難にこなせる件しか任せなかったが、意気揚々と仕事に手を付けたティムは、すべてがぐだぐだだった。大きいところでは、融資してくれた商会と揉めたり、せこいとこでは試験機織りの反物を持って帰ろうとしたり、恥ずかしいところではグラーゼ家に約束もしてないのに訪ねたり。身内のやらかしまくりに、ヤンはこっ恥ずかしくて、ずっと部屋に隠れてしまいたかったが、報告書(ティム失敗日記)を見つつ、その時を待っていた。ヤンに2度と近付く気など失せるように間違った自尊心を粉々に出きれば良い。


 一方その頃、仕事を預けられたティムは混乱していた。あの兄ですら出来ることが、なぜこんなに手間どるのか、上手くいかないのか。妻からは早くグラーゼ家に行きたいとせっつかれ、試しに行ったものの、それはそれは冷ややか対応だった。貴族の家を身分の下のものが、いきなり訪ねるマナー違反に正しく対応しただけだが、ヤンは良くて自分がダメな理由をティムは理解できなかった。

 補佐のルークが駄目なんだと、新人レベルで叱責し、ルークをカンカンに怒らせた。(ルークは、前に弟のフォローしたけど、ごめんありゃダメだ、と言った。)

補佐もなくなり、完全に手詰まりになったティムが余計なことする前にトドメを刺すことにした。

 グラーゼにティムは呼び出された。部屋に入ってくるティムは明るい表情で、やっと自分の扱いが変わるかもと期待していたようだ。しかしグラーゼの表情は険しく、親しげなそぶりなど欠片もない。

「ティム・シード。呼ばれた理由は分かっておるか?」

「い、え…。」

ピリピリした空気に言葉もつまる。

「ヤンに言われてお前に任せてみたが、どうもヤンは身内の欲目になっているようだな。ティム・シード、明日からここには来なくて良い。そしてこちらの仕事には一切関わらないでもらおう。」

「なっ…。」

「いやいや、ヤンの弟だからと期待したが、まさかこんなもんだとは。」

呆れ返ったグラーゼの声にティムの顔が白くなる。

「もういいぞ。ご苦労だった。ヤンを呼べ。これ以上の遅れはならんからな。」

もう用はないとばかりに手を振る。押し出されるように部屋を出たティムの後ろでヤンを呼んでこいと声がする。

自分が全く評価されないことの衝撃で、どう戻ってきたのか、フラフラと自分の(ヤンの)仕事部屋まで帰ってくると、何やらスッキリしている。そこにはテキパキと案件を片付けるヤンがいた。部下に囲まれ(ティムには一切近寄らなかった)穏やかな態度のまま、一度聞かれたことは、聞き返さず、すぐ指示を出し、部下に仕事を割り振り、細かい段取りを始めようとしたとき、ティムに気付いた(ふりをした)。

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