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異世界の宇宙連邦?剣士  作者: 炉里邪那胃(惰眠狼)
新版・第一章
23/29

1-23.シェーン審議官

今日は早く目覚めた。

昨日、金曜はスパイダーの疲れのせいでゆっくり昼近くまで寝られた。


昨夜は12時過ぎまで話をし、結講夜更ししたんだが。

たった数日で早起きに馴染んだのか、これ以上は寝過ぎな感じだ。

PCやスマホの夜ふかしが無くなったせいだろうな。



食堂ではもうすっきり目覚めていた。

そういや、最初は以前のリズムで朝飯では半分眠ってたな。

昨日やっと、顔を洗うのに水道があるのに気づいた。

水道管や蛇口から、流しまで地球と同じ。

開いた窓から見ると、建物の横に普通屋上にあるようなタンクがあった。

魔法を動力にしたポンプで汲み上げているそうだ。

転生者による「特許」らしい。

もうちょっと頑張って風呂の仕組みも作って欲しいものだが。


ユイとの事だが・・・。

もちろんそういうのは起きなかった。

俺がユイを大事に思い、でも覚悟が出来ていないのはバレてるようだ。

ユイは何も言わず部屋の反対側のベッドで寝た。

悔しいような、ほっとしたような。


今日は狩らずに情報集めする事になってる、土曜で今にも降りそうだし。

めいめい勝手に起きてくる、昨日の俺程寝たりはしないな。

少し遅いし、動かない予定なのでつなぎでサンドイッチを食う。

いつの間にか全員揃った。

ドラゴンのいつもの生活リズムのせいかユイが最後。

昼まで腹が保つのか心配で、ユイの注文と一緒にサンドをおかわりした。




「コウ、言われてた名前だが、ドラゴンバスターとか」

「まだ目が覚めないのか? 転生者バレだし、ドラゴン倒してるし」

ゼファは英語苦手? ・・・ジョークか。

「寝る前浮かんだのを言ってみた、力抜いていこうぜ」

「ああ、まあそうだな」


かく言う俺は忘れて、いや()()()何も考えてない。

みんなの意見をを上手くまとめる算段だ、決して手抜きじゃない。


「ふあー、竜の恩恵とか考えつきましたけど。どうです?」

「恩恵って倒して入るものだろ・・・、ヤリマ」

一応ツッコむ。

「じゃあ、竜の恵みで。これこれ、これいいでしょ!」

「バンティのマネしんぼ!」

単純だが良さげじゃないか。


「『竜の恵み』か。長さ的に『ドラゴンの恵み』とかがいいかな」

「コウ、時間はあるからその方向でゆっくり検討しよう」

「まだ起きたばかりだからな、分かった」

脳内メモしておく。

(うん、よさげだね)




とりあえずギルドに来た。

本が読める場所といえばまずはギルドだ。


皆いつもの恰好、慣れもあり外出はいつもこうらしい。

俺だけは鎧なし、昨日作った特製『コウのジャージ』だ。

剣だけ持っているが、変わった格好なんだろうなと改めて思う。



土曜だがラミアさんはいつも通りご出勤らしい。

受付は暇なので、溜まった仕事を片付けたり出来るそうだ。

出勤日数はほぼ決まっているので、()()()()()は交代だそう。

ラミアさんは普通じゃないのか。


「スパイダーの報酬や昇級は書類が通ってからですね。

シェーン審議官がもうまとめて手配してくれましたよ。

調査隊も来週後半には来るので・・・」

「あっ、スパイター出現理由は分かりました。

シェーンさんも知ってる事に関係してて、すぐ分かってもらえるはず」

「じゃあ連絡してみましょう、ちょっと待っててくださいね」


奥へ引っ込み階上からすぐ戻ってきた。

Sランクのシェーンさんは通信の魔道具を個人で持っているらしい。

「こっちに向かってて昼頃には着くそうです」

一昨日も来てたし、行ったり来たり大変だな。



今俺にとって有用な情報は・・・。

可能ならラミアさんなど知識のある人に教えてもらうのが早いはず。

仲間に聞きそびれていることもありそうだが、すぐには思いつかない。

とりあえずは読める本について聞いてみる。


俺自身ランクこそ間もなくC程度だが、実質かなりの評価はある。

高価なギルド蔵書も、一部を除き閲覧可能だそうだ。

もちろんパーティー共々だ。

案内された10畳程度の部屋に、普通の図書室のように本棚が並ぶ。

部屋の6割程度に置かれた本棚はほぼ満杯、机と8人分の椅子もある。



まずは基礎知識、いや常識か。

ここの地理・法律などもちろんだが、もっと知りたいのは。

武器防具の「自動修復」以外の様々な特殊効能、それから強化。

恐らく日本で読める「異世界物」に似てるはず、それを体系的に知りたい。


(撮影機能を使って探そうよ)

エルのイメージによると、ここにある本の背表紙を棚ごと撮影。

その文字をデータ化し検索する。

スマホのような、いやもっと簡単で便利な事がガジェットでできる。

他のみんなには・・・それぞれ目につくものを見てもらうか。

少し読んで中身を確認してもらえれば助かる。


ゼファにだけは撮影検索の事も話しておく。

ユイは・・・それぞれの分野で何か特別知っているか、気がつけば聞こう。

なにせドラゴンだからな。


順にガジェットのライトでフラッシュのように撮影、文字データに変換。

初めて見る種類の本それも数百以上、そう簡単に中身を想像できないが。

手前にある魔法理論とか「初めてのXX」とか、想像がつくのはその程度。

後はそれっぽいのを手当り次第見るしかなさそう。



全体を題名で分類、明らかに初心者向けを選ぶ。

皆は目に付いたら手に取る、意外とそっちの方がいい気もしたり。


まず魔道具や武器防具の関係、子供向けの物も含め十数冊選び出せた。

実際子供向けや伝記・物語の方が色々広範囲にわたり載っているようだ。

地理関係はほぼここには置いておらず、地図なども別にあるそう。



少しずつ分かってきた。

ジャージに付けたのは「物理・魔法の耐性・防御、自動再生、不壊」だった。

だが、きちんと法則を踏まえないと無駄が多いみたいだ。


耐性と防御だが、耐性は主に生き物が持ち、自分自身丈夫になる。

例えば「折れ耐性の(丈夫な)剣」はありだ。


一方、防具へ耐性を付ければ「丈夫な防具」ができる。

だがこの場合、防御自体にはほぼ効果は無い。

刃物を防ぐから効果は大きいと言えなくもないか。

これって結構単純な理屈だが、一つ一つ理解しないとややこしい・・・。

経験を重ねて良い物を工夫していくしかなさそうだ。


「不壊」ってのは論理的に完全には不可能だそう。

だが、名工と呼ばれる者は最終的にそれを目指すという。

究極の属性であり、俺の合成時も魔核の消費が凄かったはずだ。

ジャージの場合、とにかく丈夫で破れないのが欲しかった。

だから合ってるよな、間違いない・・・。



ヤリマとバンティは自分達用の上級魔法を調べている。

俺のものを探すついでだが。

ゼファも自分用を調べているらしい、ジャージの事知ってるからな。

何か頼まれれば作ろう。


ユイには俺の理解に間違いないかチェックしてもらう。

物語だとフィクションもあるからな。

彼女の知識もそれに近い気もするが・・・なにげに凄いのか?

もっと基礎知識をつけないとそれも分からんな・・・。





昼飯なのでいったん宿まで戻る。

あそこの飯が一番だからな。

ここの本はそのままで途中で放置、滅多に来る者などいないから。

もったいない話だが。




今日のランチは半熟卵のオムレツだ。

地球でも行列ができそうな味だが、メニュー非公開だし高めなので混雑はしない。


「こんにちは」

爽やかな挨拶に振り向くとシェーンさんだった。

そのまま通りすぎるかと思いきや、

「同席よろしいですか」

と俺の左隣に座った。

まあ呼び出したのは俺達の要件だし。


おれの右隣にはユイ、シェーンさんの向かいにゼファだ。

マントをしたままだが、帽子は中に仕舞い込む。

立ち居振る舞いも爽やかな金髪紳士、30行くか行かないかだろう。


他に空席もあるので、何か話すためかと思ったがそうでもなかった。

話は「今日のメニューは当たりですね」だけ。

緊張はしても嫌な気はしない。


パーティー名変更の話は忘れてしまってた。




全員一緒にギルドへ戻る。

審議官は俺に話があるようで並んで歩く。

食事中は邪魔したくなかったのだろう。

他の4人は後ろを歩いている。


「手続きは終わったといっていいでしょう、今回は。

昇級の件も報奨の件も決定です。

50ゴールド、あの相手にしては少な過ぎですよね。

Dランクなのがネックでして、逆に増やしても良いと思うのですがね」

「いえ、とんでもない! 十分過ぎます。

部位ももらえるそうですし」

恐らく希少な魔物は合成・コピーに使える、願ってもない事だ。


「部位の支給はもう少し後、専門家が調べた後でしょう。

研究用に強制で買い上げる場合もありますので」

そうか、普通は防具などはギルドか職人に作成依頼するんだっけ。

自分で加工なんてできないから持ち帰る者はそうそういないよな。




ギルドに到着、ラミアさんは俺たちが一緒でほっとした様子。

「シェーン審議官、例の話は奥でどうぞ」


以前初めてメンバー達と俺が面会した部屋へ入る。



今まで我慢していたのか、シェーンさんが話しかけたのはユイだ。

「カロルの娘さんでしたね、お久しぶりで・・・」


「パパの例のお仕事はコウがやってくれました、もうご心配なく!

それとユイです、コウがつけてくれたんです」

「それはおめでとうございます。

それよりまさかドラゴンゾンビを、・・・そうですか。

皆さんは全員情報共有されているんですよね」


そうか、この人はユイの正体を知ってる。

父親の討伐を頼んだら断ったそうだからな。

ユイも心なしかぶっきらぼうだが、彼の拒否は至極当然だった。

そろそろ忘れてあげてもいいんじゃないかな・・・。

それにしても名づけを言う度にことごとく祝福されるのは勘弁だ。

俺の踏ん切りが全然つかないのに。


「デーモンスパイダーが出たのはユイの父親のせいだったんです。

理性を持ちつつも、強い相手は放っておけず追い立ててしまったと。

あとユイに名前は付けましたが、それだけで何も決まってませんので」


「なるほど、多少想像はついていましたが。

瘴気地帯まで調査隊を行かせるのも無理ですし・・・。

落としどころをどうするか難しいですね。

ギルドにはあれの討伐は内密だとお見受けしますが」


魔核を持っておきたいし、騒ぎになりそうでバレたくはない。

だが誤魔化す事で、調査の件等色々問題が起こりそうだ。

ユイがいきなりバラしてしまったが、結果としてよかった。

知らないところで多くの人に大迷惑をかけるところだった。



悩んでいる俺にシェーンさんは意外な事を言ってきた。

「コウさんの左腕の魔道具の情報は皆さんご存じなんですよね。

他の色々複雑な事情も、ですね」

メンバーは何も反応できず、俺を見ている。


「ええ、そうです」

迷ったが、答えられる事には本当のことを言うべきだろう。


「前言った通り、私は味方です」

マントを取るシェーンさん。

筋肉質、細マッチョという感じで、オーソドックスな和洋折衷鎧だ。

左の袖を捲り上げる。


筋肉が凄いな。

肘の少し上には・・・


俺と同じガジェットがあった。

※金貨50枚 = 約500~1000万円程度と思われます。


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