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魔装十二騎士  作者: カサ
14/14

刃のジェミニア

刃のジェミニア。100年以上前の妖魔大戦を終わらせた、十二騎士の一人


「カノン先生が、刃のジェミニア…でも…100年以上前の…人、だよね?」


ユキナが不思議に思うの仕方ない。セルゲイが100歳越えの年齢で、当人が否定はしているが、当時、極光のアクエリアスとして戦っていたなら、納得はいく。だが、カノンの年齢と容姿はあくまでも20代である


「だけど、たださえ強いカノン先生が魔装鎧を纏っているなら」


カノンが刃のジェミニアに変身したことに、怪人は驚きはしていたが、すぐに開き直る


「くく…何を見せると思ったら、私の力は十二騎士の力を既に凌駕している!今更十二騎士が一人や二人増えようが無意味だ!」


セルゲイの纏う、アクエリアスの魔装鎧を完全に破壊した怪人は、自信があり、ジェミニアを見下す

完全に調子に乗っていた


「その魔装鎧も破壊して!貴様も晒し首にし!我々の力は十二騎士より遥かに強いということを証明してくれよう!!」


怪人は無数の鉄塊をジェミニアに向けて放つ、先ほどとは違い、展開速度も比べ物にならない速度で、風の刃で切れる隙を与えない


「さっきから思っていたがその妖魔の力のせいか、随分と性格が好戦的になっているな…まあ、調子に乗るのは勝手だがな」〈マキシマムチャージ〉


ジェミニアは、片手でベルトのバックルのハンドルを開き、魔力をチャージし


「術式展開、ウィンドアクセル」〈シーケンス〉


ベルトのバックルを閉じで、魔法を発動させた瞬間。ジェミニアに向けて放たれた鉄塊が瞬時に破壊された。怪人も、ユキナもグランも何が起きたのかわからなかった。そしてジェミニアは怪人の横に立っていた、完全に間合いに入っていた

それは、銃弾と同じ速度で放たれた鉄塊が、ジェミニアに到達するはずまでの時間、ほんの数秒間の出来事であった

超加速魔法”ウインドアクセル”。膨大な魔法を使う為に、短時間しか使えないものの、ウインドアクセルを発動させたジェミニアは、常人が認識出来ない速度で活動が出来る。ジェミニアから見れば、全ての光景が超スローモーションに映る。放たれた鉄塊も、ただ浮いているように見える程

ジェミニアは放たれた鉄塊を全て壊しながら進み、魔法の効果が切れるタイミングで、怪人の間合いに入ったのだ


「な!?」


怪人は慌てて、腕を鉄の刃に変形させてジェミニアに攻撃するが


「遅い、術式展開。”トルネードスマッシュ”」〈マキシマムチャージ シーケンス〉


右足に魔力と竜巻を帯びた回し蹴りを、カウンターとして怪人の鉄の刃に叩き込み、へし折り、砕く。

続けて魔力の一撃を込めた、杖を怪人に振り当てて、ぶっ飛ばす

怪人は苦悶の悲鳴をあげながら、エントランスの壁をぶち抜き、屋敷の外へ怪人はぶっ飛ばされる

桁違いの魔法を行使する、鉄塊の怪人を、驚異的な魔法の技術でそれをねじ伏せた刃のジェミニアに、ユキナとカノンは、ただただ、その光景を見惚れていた

強さによる憧れ、未知たる力…だが、グランは同時に恐怖も感じない訳でもなかった


(カノン先生は…その気になれば、オレたちを即座に殺せるほどの実力があった…到底勝てない…それに、その力が万が一に、悪用されれば…誰が止めるんだ?)


一段落…そう、思っていたジェミニアは勘づく


「あの野郎…まだ、諦めていないか!!ユキナ!グラン!」


魔力の反応に気付いたジェミニアは、ユキナとグランに向けて、持っていた杖を投げ渡す


「どんな手段を使ってもいい!杖を媒体に錬成魔法でも何でもいい!!お前たち自身とセルゲイを守り切れ!屋敷が崩れる!」


ジェミニアが二人に警告した瞬間、屋敷の屋根をぶち抜いて、大量の鉄塊が降り注ぎ、轟音をたてながら屋敷が倒壊する


「はぁはぁ…これなら…無事ではいまい…」


倒壊した屋敷の上空で、怪人は浮遊していた。大量の鉄塊を放ち、屋敷ごとジェミニアを潰そうとしたのだ

安堵した怪人は、この場から離れようとした…が

数本の風の刃が怪人に刺さる


「ぐぅ!?」


一体何が起きたか。怪人は一瞬、理解は出来なかったが、視認し辛い風の刃と風の剣が放たれてきた

この意味を理解した時、怪人はゾッとした。そしてそれは背後から現れた


「逃がすと思ったか?」


怪人の背後には、ジェミニアが2本の風の剣を持って、空を浮いていた

怪人は心底恐怖を感じた。ここまでやっても倒せない、自分が異形の姿になってもここまで追い詰めてきた。たださえ、妖魔の力で情緒が不安定な状態で、その上に自身の生命の危機を本能的に感じ、正気では無くなっていた


「う…うわぁぁぁぁ!!??」


怪人は自分の身を守るために、身体を鉄に変える、鉄塊をありとあらゆるデタラメに放ちまくる


「く、来るなぁぁぁ!!!」


怪人は完全に実力差を思い知らされ、いくら再生の能力があったとしても、痛覚がある程度鈍らせていても、ジェミニアの攻撃の一撃一撃に恐怖を刻まれていた

ジェミニアは鉄塊を簡単に避けると、怪人に近接し、風の剣で怪人の体を切り裂く

縦横無尽に空を、高速で飛び、怪人が狙らいを定めて鉄塊を放とうが、到底、ジェミニアのスピードに追い付けない、捉えきれないのだ


「なるほど、一応の空戦能力自体はあるのか…だが、動きは素人当然か」


怪人を中央に捉えて、ジェミニアは怪人を高速で通りすがりながら風の剣で切り裂き、さらに風の刃を撃ち出す、典型的な空戦技術で追い詰める

怪人は斬られながらも、身体は再生してはいるが、それも徐々に治りが遅くなっていたことをジェミニアは見逃さない

ジェミニアは怪人に近づいて、風の剣を怪人に刺して、怪人に最後のチャンスを与える


「どうする鉄塊の怪人。お前ではオレのスピードにはついてこれまい。自慢になるが、ウインドアクセルを使わずとも、オレは十二騎士の中で最速を誇る。ここでオレに殺されるか、大人しく倒されるか…選べ」


ジェミニアとしては、この妖魔の力の出所を知りたいから、本当は殺すのは避けたいのが本音であった。しかし、恐怖と狂気に支配されてしまった怪人はもはや正常な判断が出来ず、錯乱して、無数の鉄塊を展開させる


「ちぃ…」


ジェミニアは怪人を蹴り飛ばし、指を鳴らして風の刃を撃ち、鉄塊を切り落とす

このまま攻撃し続ければ、再生能力の効果が無くなって、怪人を殺しきることは出来るとジェミニアは判断している。殺す以外の選択肢しかないか、否、ジェミニアはもう一つ可能性を思いついていた


「再生能力が追い付けないレベルの、一撃を叩きこむ…!一か八かになるが」〈マキシマムチャージ〉


ジェミニアは魔装鎧の魔力を溜める動作、バックルの魔石のサイドハンドルを開いて、回転させて、マキシマムチャージを行う。文字通り、必殺技を放つ為の動作

空戦能力を有する魔装鎧の戦闘技術として、高い魔力出力、機動力とマッハ以上の最高速を活かした突撃による攻撃手段が、単純かつ最大威力を持ち、妖魔大戦時代においても多大な戦果を挙げたその技術、必殺技


「術式展開…ウインドストライク!!」〈シーケンス〉


サイドハンドルを閉じ、ジェミニアの全身が魔力と風を帯びる。そして怪人に向けて、超高速で突撃、跳び蹴りを叩き込む

怪人は鉄塊を放つが、それを粉砕し、蹴散らしながらジェミニアのウインドストライクは怪人に向かっていき、叩き込まれる


「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


怪人は断末魔を上げながら、数百メートルの空中から、地上へ。倒壊した屋敷の庭の地面に叩き込まれる

屋敷の庭は怪人の落下とウインドストライクの威力で、地面が割れ、怪人が纏う鎧も耐えきれずに爆発を起こす

爆発の煙が晴れると、そこにはボロ雑巾という表現が合う、怪人の変身が解けた、鉄塊使いが倒れていた。白目をむいて、泡を吹いているものの、辛うじて生きている様子であった

ジェミニアも、倒れた鉄塊使いの近くにゆっくりと降りて、状況を確認する


「どうやら、これで終わりのようだな」


流石にこれ以上の抵抗は出来ないと判断したジェミニアは警戒解き、鉄塊使いに近くに落ちていた、黒い物体の存在に気付く


「…この黒いカードが、奴に妖魔の力を与えていたのか」


ジェミニアは黒いカードを拾い上げた瞬間、カードはボロボロに砕け、消失した


「…証拠隠滅の為の術式が刻まれていたのか?調べることは出来ないか…」

「いえ…そのカードは()()()()()カード…妖魔の力を制御することが出来た、魔装具です。カノン様…いえ、ジェミニア様」


ジェミニアが声の主の方向を向くと、ボロボロで、今にも倒れそうなセルゲイが近寄っていた


「セルゲイ・ローレル!?アンタは動くな!余程無茶したんだろう…死んでいてもおかしくない状態なのは、オレでもわかるぐらいだぞ?」


ジェミニアはセルゲイを支え、その場に座らせる


「どうやら無事だったようだな。ユキナとグランは?」

「あちらです」


セルゲイが指を指す方向をジェミニアが見ると、二人とも倒れていたが、無事のようであった


「魔力切れを起こしたのか」

「ええ、グランがあの鉄塊の怪人の真似…参考にして、魔力変換とダメ押しに杖と魔装銃、ユキナの魔力も使って鉄の壁を構築したんです。それで瓦礫から、この身を守れました」

「なるほど…大した奴だ。敵の魔法を瞬時に応用するとはな…」


フルヘルムの兜を被っているので、ジェミニアの表情はわかりづらいが、微笑んでいた


「さて…この後の後始末が面倒だ。いろいろと顔を出さんといかんし…うちの当主様にも動いてもらわないといけないか…そして、セルゲイ・ローレル…アンタにもいろいろ聞かないといけない」

「ええ、私も、ジェミニア様に伝えなければなりません…ここに呼び出した理由と、そして本当の目的を」


ジェミニアは、セルゲイ・ローレルの顔をよく観察し、どこか見覚えのあることに気付く。


「…セルゲイ・ローレル?もしかして、アンタとオレ、100年前に会ったことがあるのか?」

刃のジェミニア スペック (カノン・サイク変身時)

パンチ力 約10トン

キック力 約30トン


主な魔装具

杖、帽子


使用魔法

風の刃

風の剣

ウインドアクセル


必殺技

トルネードスマッシュ

ウインドストライク


最高速度(空戦時)

マッハ5.0

(その気なれば亜光速までいける)

 

その他

カノンの魔力の低さをカバーする為に、元々も魔力の強い魔石を動力している上に、マキシマムチャージ機構を搭載し、さらに底上げしている。魔力の出力だけならアクエリアスの魔装鎧を上回る

音声機能やギミックは製作者の趣味

制作された順番としては、アクエリアスの魔装鎧よりも、ジェミニアの魔装鎧が後に作られた為にスペックに差が出ている


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