入札のお知らせ 2023年1月26日
この小説は、作者が「星空文庫」で執筆している『宗教上の理由』シリーズの世界設定を使ったスピンオフです。読みたい方は、星空文庫にて作品名または作者名「儀間ユミヒロ」で検索をお願いします。
もちろん、この小説単体でも話がわかるようにしておりますので、安心してお読み下さい。
山奥にあるという設定の、架空の小さな村、このはな村。この村にあるコミュニティFMを舞台に、DJのおしゃべりを文字でお送りする、ちょっと変わった形の小説です。
架空のラジオ番組の文字起こしという体裁のため、文法や文中記号の使い方が本来のルールとあえて異なった形になっている点をご了承願います。原則として地の文はメインパーソナリティのおしゃべり、カギカッコ内は他の登場人物のおしゃべりです。
また、この小説は言うまでもなくフィクションです。
おはようございます。このはな村インフォメーションです。この番組では、今年もこのはな村に関するさまざまな情報をお送りしてまいります。
このはなFMでは、村外からこのはな村へお越しになる方への情報発信も兼ねて、この放送のネット配信を行っております。
令和五年度の、フリーWi-Fi設置促進事業における受託者募集のお知らせです。
村では、村民および村への来訪者の利便性を考慮し、フリーWi-Fiの設置促進事業を行っております。募集要項は村役場および分署の掲示板に公開したとおりですが、その内容について、抜粋してお知らせいたします。
この事業はパーソナルコンピューターならびにスマートフォン等の利用を容易なものとすることを目標としております。応募事業者は以下の条件を満たすことが必要です。
一・国内の携帯電話キャリアに依存せず、すべての通信端末で接続が可能であること
一・Wi-Fi接続にあたっては、メールアドレスおよびSNSのパスワード等の個人情報を取得せずに可能とすること
一・接続は自動接続ないしはパスワード方式とし、パスワードは各事業者の判断によること
などとなっております。事業者の決定につきましては入札といたします。
なお、こちらの事業につきましては平成二十七年度より事業者の公募を行っておりますが、いまだに応募事業者が現れません。
ルータの設置は村内対象箇所のほぼすべてに設置済みであり、ほとんどの業務はメンテナンスにとどまることから、コスト負担は少なくなっております。
受託事業者がいないため、これまでこの事業者は村において実施されています。業務のノウハウについてはすべて提供いたしますので、是非ふるって応募ください。
このはな村インフォメーション、担当は莉庵でした。
はい、時々やる当てつけシリーズです。Wi-Fi環境って今やあちらこちらで整ってるように見えて意外とそうでもなかったり。
携帯キャリアによって使えたり使えなかったりというのもまだありますしね。
観光地では地方公共団体がフリーWi-Fiを用意している場合も多いんですが、この使い勝手もピンキリですね。無論、煩雑な登録とか無しで使える方が楽ですが、なぜか手間をかけさせたがる感があります。
こういうことが起きる背景って、Wi-Fiに限ることではないと思うんです。
Wi-Fiを引くにあたって、このはな村ではとにかく簡易にあらゆる場所で使えるよう整備する目標がある設定です。そしてルータ等もほぼ整備されているので、ローコストで運営できるといつ設定にしています。
ローコストであったとしても、入札は結局言い値ですから、利益が十分に出る価格をふっかけていいわけです。
ところが、ひとつの公共入札に多くの企業が群がる条件って、入札価格だけじゃないんです。
そこに付随して、どんだけ多くのお金を動かせるかが大きなポイントだったりします。
このはな村というところは、自分の村でわりと何でもやっちゃう設定ですから、新たに何か売り込む余地ってほとんど無いんです。
それによって経済が回ることもあるのかもしれません。でも決してケチなのではなく、お金の使い所を売り込んでくる会社の言うままにしない、ってことなんです。
それって難しいことですけど、公共の仕事を民間に任せればコストが下がるという説は必ずしも正しくない、実際には民間がうまいことお金を抜いていくこともあるよ、っていうのは覚えといていいのかな、って思います。




