第30話
閲兵式の2日くらい前
帝都アアアシティーのアアアシティー中央駅正面玄関には、たくさんの自動車が止まっていた。
そして帝都の陸の玄関であるアアアシティー中央駅から大帝国宮殿に至るまでの道にはたくさんの群衆が異世界視察団の到着を待ちわびていた。
「おいそこ!白線の外に出るな!」
武装警察が怒鳴る。
その時、群衆の一人が叫ぶ。
「あっ!来たぞ!」
「あれじゃないのか!」
大型のバスが15台ほど。その車内には昔の地球の上流階級の装いをしているものもいればまたほかの民族衣装を着ているのもいる。
しかし周りは装甲車で防御されており、あまり見えない。
「うおーすげー」
「こっち向いたぞ!!」
みな写真を撮ったり旗を振ったりしている。
この日、異世界使節団300名は、大帝国宮殿にて謁見ののち、閲兵式参加のため宿泊先に向かったのであった。
閲兵式当日 大帝国宮殿前広場 9時
帝国中央テレビのアナウンサーが読み上げる。
「全国の視聴者の皆さん、こちらは大帝国宮殿前広場です。この広場と至るまでの道には中央軍管区内にあるすべての部隊、陸軍士官学校幹部候補生300名、戦略ミサイル軍、航空隊、皇帝親衛隊員、武装警察隊、そして青年突撃隊の合計2万名が整列しています。」
やがて、大帝国宮殿前広場に面した議会議事堂に三台の高級車が止まり、その中の一台から、皇太子、アアアーラが礼服に着替え、出てくる。
それと同時に軍楽隊が、歓迎曲を演奏する。
閲覧席の人民たちが一斉に「万歳」をこだまさせる。
やがてアアアスキー首相とともにバルコニーに登場し、アアアーラは玉座に腰掛ける。その横には、中央軍管区司令官のアアアツキー大将、そして各省の大臣が並ぶ。
演説壇にアアアスキー首相が出てきて演説が始まった。
「全国の人民の皆さん。これをご覧になっている同盟国の皆さん。帝国軍将兵諸君。そして使節団の皆さま。おはようございます!我々は、ついに意義深いこの日、アアアウス19世陛下即位三十周年の日をむかえることができました!これもひとえに....」
と、30分くらいの演説が終わって、レンジローバーに搭乗した中央軍管区司令官アアアツキーが整列した受閲部隊を軍楽隊の曲とともに回ってゆく。
次にアアアーラが演説壇に上る。
「英雄的帝国軍将兵たちに栄光あれ!!」
ワーと歓声が上がり、拍手の嵐が巻き起こる。
「右向けーっ右!」
「前へー進めっ!」
アアアツキー大将が号令すると、軍楽隊が「帝国軍行進曲」の旋律を奏ではじめ、閲兵行進が始まる。
行進しているのは、紺色の士官礼装に身を包んだ将校団。襟の自動小銃を交差させた印が陸軍士官学校幹部候補生であることを物語る。
「偉大なるアアアウス19世陛下即位30周年の閲兵行進が始まりました。先頭を飾るのは、帝国軍の未来を担う陸軍士官学校幹部候補生300名であります。彼らの表情からは帝都人民と偉大なる祖国を仇なす敵から守り抜くという強い意志が受け取れます。」
帝国中央テレビのアナウンサーが伝える。
エンパイア・セントラル・ホテル34階の一室
「おお!やっと始まったか!」
フリードリヒはテレビの前に座り込んでいた。
「しかしすごいなあ、一番安い部屋でもエアコンやテレビ、冷蔵庫が備わっているとは...」
フリードリヒの家にももちろんこれらは備わっているが、テレビは白黒である。
しかしこちらは画質は悪いがカラー映像である。
彼の国ではカラーテレビはとても高いわりによく壊れるのであまり普及していなかった。
ただ大きい箱であるということに変わりはなかった。
彼はこれからどんな兵器が出てくるのだろうと期待を寄せる。
テレビは、騎兵部隊が過ぎ去ったことを表していた。
やがて、キャタピラーの音があたりに響き始め、機械化部隊の番であることを予感させる。
曲が、次は「戦車兵の歌」に切り替わり、奥から帝国の主力戦車、89式戦車改が縦10両、横6両の横隊で塊となって近づいてくる。
車長が、キャノピーより議事堂のバルコニーのほうを向いてかしら右の姿勢をとる。
カメラワークが戦車を追尾する。
また構図が変わりバルコニーで敬礼しているアアアスキー首相やアアアツキー大将が映る。
「次は我が国の誇り、近衛第七戦車師団の入場です。師団長は、アアアシェフ大将であります。」
男性アナウンサーがそう読み上げる。
「なんだこれは!」
フリードリヒは驚いていた。それも無理はない。
明らかに先進的な装備。砲はオブシウス帝国の主力戦車の2倍はあるだろうし、キャノピーのあたりにはハイテクそうなものがたくさんついていた。
おそらく暗視装置の類であろう。
また、車体もオブシウス帝国のそれをはるかに上回る。
フリードリヒはブラウン管越しに写真を撮りまくった。
「次は近衛第9砲兵師団の入場です。師団長は、アアアノフ少将であります・・・・」
たくさんのZSU-23-4自走式対空砲の群れ、そしてトラックに牽引されたD-30 122mm榴弾砲。
それらにあっけにとられていると、フリードリヒは衝撃を受けるものが視界に入る。
「な、あんだあれ!」
アナウンサーの声も耳に届かない。巨大なロケット弾を搭載したトラックが排気ガスを広場にばらまく。
「我が国の核戦力を担う、戦略ミサイル軍の....」
どうやらあれはミサイルというらしい。
そして、東より15機のMiG-31が飛んできて、曲芸飛行を行った後、帝都上空にフレアーの花を咲かせる。
たくさんの風船が上がり、それで閲兵式は終了となった。
わかったことをとりあえず紙にまとめてみるが、おそらく軍上層部は信じないだろうし、そもそも敵国に無断で渡航した時点で軍法会議ものであることは間違いない。
フリードリヒは悩む。
祖国を壊滅から救うために。




