二四話 球場
いよいよ試合当日。
大地たちは試合のために中立国であるミリルまでやって来ていた。
国家間で試合をする場合は不正等の防止のため中立国で試合をすることになっている。その際の移動は転移魔法陣であっという間だった。
「すっげぇ!」
「ふぇええ!」
「……ワクワク」
「うわぁ」
チビーズは球場にやってくるなり驚きの声を漏らす。
球場の規模はだいたい阪神甲子園球場と同じくらい約五万人の収容人数。その球場が観客で埋め尽くされていた。この試合を観るために各国から来ているようだった。球場の売店は人でごった返しているほどだった。
大地としてもこの観客数には驚いていた。
「何でこんなに観客がいるんだ?」
思わずシャルに聞いてしまう。エストリア王国は
「この世界の人はみんな野球が好きだからというのもあるが。観客のだいたいはあとはメルキド帝国の民だろう。勝つ瞬間をこの目で見届けようという考えだ」
「なるほど」
大地は納得する。
――プロ野球でいう優勝決定戦といったところか。
「んで、あれが向こうのエースか?」
大地は相手チームのベンチにいる金髪の女性を指差す。
「ああ。彼女がロザリンドだ。そしてその近くにいるのがメルキド帝国皇帝ジルだ。やつは選手として
は出ないから監督といったところだ」
「ふーん。じゃああの祭りの屋台で売ってるようなお面を被ってる選手は誰だ? 見た感じ男みたいだが?」
「……?」
シャルは大地に言われてお面を被ってる選手を見るが首を傾げる。
「わからん。あんな選手私は見たことがない」
「ってことは隠し玉とか秘密兵器とかそんな感じか」
「そういえばメンバー表で見慣れない名前の選手がいたな」
「なんてやつなんだ?」
大地はこの世界の字が読めないからメンバー表を見ても名前がわからない。
「そ、それは……」
「?」
なぜか急に顔が赤くなるシャルに疑問を浮かべる大地。だがその疑問はすぐにわかった。
「へ、変態紳士」
「は?」
「だから変態紳士という名前なんだ! 何度も言わせるな!」
「す……すまん」
シャルの気迫に押されて謝る大地。
「つーか、そんな名前でもいいのかよ」
「うむ。そこに関しては規定がないからな」
「そうなんだ」
――あれか? プロ野球とかでも名前を変えたりするけどそれの一種なのか?
「だがやつは四番だ。メルキド帝国の四番なのだからただものではないぞ」
「名前の時点でただものじゃないけどな」
「それは言うな」
シャルがため息交じりで言う。
「それよりも今回は勝つぞ。力を貸してくれ大地」
「わかってる」
若干の肩すかしをくらったが、ようやく試合が始まる。
次回からようやく試合です…




