…俺がいるからいいじゃん
迷いの森でルリの身に起こったこととは…??
ルリ「ここ…?」
累「霧がすげぇな…」
私たちは「商いの都バルド」から北方向にある「迷いの森」に来た。
薄暗い森に、先が見えないほど濃い霧がかかっていた。
迷ったら帰れなそう…。
迷いの森って、迷うと入口に戻されたり、同じ道を何回も通ったり、
入る度にMAPが変わったりとか、ゲームによっていろいろだけど、
このゲームの迷いの森はどんななんだろう…。
シャル「…目印になるのはあの大きな木だけですね」
霧に覆われた森の中に、太い巨木が1本空に向かって伸びていた。
でも霧が濃くて天辺が見えない。
遠くから見ても幹が太いとわかるので
相当高くて大きな木なのだろうと思う。
あそこに向かえばいいのかな?
迷いの森に入る前に、スキルの確認をしておこう。
私はスキルウィンドウを開いた。
シャイン(レベル20)、シールド(レベル5)、ヒール(レベル2)
リセット、リカバリー、キュア、フロート、アクアウォーク、ダブル。
そうそう、こんな感じだった。
ヒールのレベルをMAXにしちゃおう。
スキルポイントを振り、ヒールのレベルを5まで上げた。
これで残りのスキルポイントは6。
それを使って覚えたいのがあるんだよね。
私は残りのスキルポイントを使いスキルを2個覚えた。
シャル「累さん。
ブラックナイトマーケットで買ったブレスレットはありますか?」
累「あぁ。」
累さんはトランクから金色のブレスレットを5個取り出した。
ルリ「なんだっけこのアイテム…」
ブラックナイトマーケットでいろいろ適当に買ったから覚えてない。
シャル「共鳴ブレスレットです」
※共鳴ブレスレット
装着していると、パーティーメンバーに危険が及んだ場合、
1日1回強制的に仲間の元へ移動する。
シャル「入った先がみんな同じとは限らないので、
迷いの森に入る前にこれを装着しましょう。
もし別々になってしまったら、あの大木を目指しましょう。」
みんなは累さんが配ってくれたブレスレットをつけた。
レオ「危険かどうかって、ブレスレットが判断するのか?」
累「HPゲージが赤くなったらとか…?」
敵が出てきたらどうやって戦おう…。
累さんから爆弾もらっておいた方がいいかな…?
シャル「ブレスレットが判断するんだと思います。」
このブレスレットが反応するようなことが起きないといいなぁ…。
連「ルリ、今だけパーティーリーダー俺にして。」
レオ「連がやりたいって言うの珍しいな」
連「俺が行きたかったところだから、リーダーやってみたい」
ルリ「わかった!」
連くんが率先してやりたいって言ってくれるの嬉しい!
私はパーティーウィンドウから連くんを選び、「リーダー変更」と言った。
ルリ「累さん、少し爆弾わけてもらってもいいかな?」
累「あぁ。いいけど投げる時は爆発範囲に気をつけろよ。
近いと自分も食らうからな」
ルリ「わかった!」
私は累さんから爆弾を3個わけてもらった。
ブレスレットもだけど、
何かあった時のために保険はかけておいた方がいいもんね。
そして私は支援スキルをみんなにかけた!
よし準備OK!
パーティーリーダーになったことを確認した連くんは、森の入口に立った。
ーパーティーリーダー「連」を確認しました。
エルフが住まう迷いの森 (ミッションレベル1)
幻惑の霧(推奨レベル35~)
ダンジョンに入りますか?ー
連「入る」
すると急に霧が濃くなり、視界が真っ白になった!?
けど、またすぐ見えるようになった。
よかったー!一瞬だけで。
さすがに真っ白のままじゃ進むの怖すぎる。
だけど霧は晴れてはいないから、道の先は見えないまま。
濃い霧の中、遠くにある巨木の太い幹はうっすらと見えた。
迷うか心配だったけど、目的地が見えているし、
これなら迷いにくいかも!
そしてさっき、とてもとても気になる単語を
アナウンスが言ってた!!
ルリ「エルフ!!エルフがいるの!?」
私は横にいた連くんに、興奮気味に話しかけた。
エルフ!!とがった耳が特徴の長寿の種族だよね!
ファンタジー系の漫画とか、RPGのキャラとかで
美しい姿で描かれていることが多くて好き!!
連「うん。エルフ好き?」
ルリ「うん!!好き好き!」
連「どんなところが?」
ルリ「とがった耳がかわいいし、長寿だから博識だったり、
それに、神秘的な感じがするからかな!」
私がそう言うと連くんは満足そうに微笑み、私の手を取った。
連「じゃあ、進もう」
ルリ「わっ!!」
私の手を引いて連くんは、
迷いもせずどんどん霧の中を進んでいく。
すごい!道がわかるのかな…!
思えば、連くんとたまり場のベランダで話したあの夜以降、
少しずつ距離が近くなったと思う。
山小屋で私の隣で寝ていたり、記念撮影でくっついたり…。
仲良くなれたのは嬉しいけど、
あまり近いと変に意識してしまいそう…。
あれ...??そういえば...
ルリ「連くん、ブレスレット外しちゃったの?」
私の手を引く連くんの手首にブレスレットがなかった。
反対の腕にもない。
さっき累さんが渡してくれた時に、みんな付けてたよね?
連「うん」
ルリ「そうなんだ」
アクセサリー付けるのが好きじゃないとかなのかな?
ふと、3人はブレスレット付けてるかな?と思い、
後ろを振り返った。
誰もついてきてない。
霧が濃くて見えないだけかな?
そうだ!
パーティーメンバーのいる場所がMAPに表示されるようになったんだよね?
MAPを開いてみてみよう!
だけど…
MAPは砂嵐になっていて、何も表示されていなかった。
迷いの森だからMAPが機能していないみたい。
少し待った方がいいよね。
ルリ「連くん!シャルくんも累さんもレオくんもついてきてないみたい。
少し止まろう?」
連「……」
ルリ「連くん??」
すると連くんは立ち止まり…私を見つめた。
連「…俺がいるからいいじゃん…」
ルリ「え…?」
すると急に連くんは横に生えていた木に私を追い詰め、
繋いでいた方の手首を掴んで押さえ込んだ。
そして…
連「ねぇ、俺たちの中で誰が好き?」
と聞いてきた…!?
ルリ「え!?」
心拍数が急に上がった。
ドッドッドと心臓が鳴ってうるさい。
ルリ「どうしたの連くん??」
そんなこと聞くなんて……。
連「…答えて。誰が好き?」
連くんは私に顔を近づけてもう一度聞いてきた。
ルリ「ま、待って!!」
私はもう片方の手で連くんを押し、
距離を取ろうとしたけどその手も掴まれてしまった。
連「そんな格好してるけど、俺はわかってる。隠さなくていい」
連くんの真剣なまなざしから目を逸らせずにいた。
え…。
わかってるって何を...?
私が女で、男装してゲームをしているって気が付いてるってこと…?
ドッドッドと心臓は激しく鳴り続いていた。
声が出ない。出せない。
誰が好きなんて…言えないよ…。わからないよ!!
するとブレスレットがキンッ!!と光った!?
いつもと違う様子の連。
そしてルリのブレスレットが光り出す。




