は…?ナンパ?
ルリたちの前に現れたのは…?
ルリ「シャルくん!!」
2人と私の間に割って入ってきたのはシャルくんだった。
「さっきパレードに出ていた方たちですよね?
そんな高レベルパーティーの方たちが、
うちのパーティーリーダーに一体なんの用です?」
シャルくんは私をロゼさんたちから距離を取らせようと、手を後ろに伸ばした。
「俺は前からこの子と知り合いだよ。
サービスが開始されたから挨拶にね」
「僕は今知り合ったばかりだよ」
「本当ですか…?」
「う、うん。」
私の返事を聞いて、シャルくんはハッと何か思い出したような顔をした。
「もしかして…初めてフレンド登録をした魔導師というのは…」
「ご名答。俺だよ」
シャルくんの顔が一瞬、こわばった。
「そんなに警戒しないで?
僕たちは君のパーティーリーダーの
支援の仕方がすばらしいと話していただけだよ。
これから会うことが増えると思うし…」
ユーリさんはシャルくんをなだめようとしたけど、
「これから会うことが増えると思う」という言葉で、さらに表情が固くなった。
「どういうことです…?」
「詳しい話は、今度君のパーティーリーダーに話しておくよ。」
ロゼさんは私を見た。
「……すみません、今からパーティーで出かけるので失礼します」
シャルくんはそういうと私の手を掴んで歩きだした。
「そう。またね」
「じゃあ、また!」
とロゼさんとユーリさんは手を振ってくれた。
私はシャルくんに引かれながら会釈をして、その場を離れた。
少し歩いたのち、シャルくんは手を離し、立ち止まった。
そして私の方を向いて話し出した。
シャル「初めてフレンド登録をしたのは魔導師だと言っていましたが…
あの人だったんですね」
ルリ「うん…。みんなでシュリマの洞穴へ行った後、
ダハニア遺跡へ行く前に、一旦みんなログアウトしたよね?
あのとき、私だけ待ち合わせ時間より早くログインしちゃったから、
オルセリアを探索してたの。
そしたら隣のフィールドに出ちゃって…。引き返そうとしたら、
あの魔導師さんがビッグベアと戦っていたから、支援したんだ。
そしたら、フレンド登録をお願いされて、
支援のお礼にってこの小さな白い貝殻のイヤリングをもらったの」
シャル「え…。そのイヤリング、あの人からもらったものだったんですか…?」
シャルくんは目を見開いて、とても驚いた様子だった。
ルリ「みんなに話してなくてごめんね。
レアアイテムらしくて、効果が良い装備品だから驚かせちゃうと思って。」
シャル「…本当に効果のためだけにつけてるんですか? それとも…」
ルリ「え…?」
シャルくんは一瞬下を向いたけど、また顔を上げて話し始めた。
シャル「いえ、なんでも。話はだいたいわかりました。
ですが…いくら支援をしてもらったお礼とはいえ、
レアアイテムを渡しますか?ましてや、ゲーム初日ですよ?
もしかしたら、支援以外になにか理由があるのかもしれません...」
ルリ「なにかって…?」
シャル「それは…わからない…ですけど」
そう、私もそれがずっと疑問だった。
私はただ、聖職者としてロゼさんを支援しただけ。
だからあのとき、こんなレアアイテムをもらっていいのか躊躇した。
ルリ「そういえば、防具屋の前で会ったけど、シャルくんも買い物してたの?」
シャル「いいえ。すぐ戻ると言っていたのに、
ルリの帰りが遅いから迎えに来たんですよ」
ルリ「そうだったの!? ごめんね、わざわざ」
シャル「いえ。迎えに行って正解でした。
それから、言うのが遅くなってしまいましたが…。
新しい服、素敵ですね。」
ルリ「本当!? かっこいい?」
いつものシャルくんなら、私が喜ぶと笑顔を見せてくれるのに、
今は少し困ったように微笑んだ。
シャル「さっきの魔導師から連絡があったら、教えてもらえますか?」
ルリ「うん!」
私たちはたまり場に急いで向かった。
ルリ「ただいま!遅くなってごめんね!」
レオ「おー、ルリ、おかー!!」
連「おかえり。」
累「なかなか戻ってこないから、心配してたんだぞ。
もしかして、また迷子になってたのか…?」
累さんはそう言うと、パーティーリーダーを私に戻した。
シャル「ナンパされていたので助けに入りました。探しに行ってよかったです」
シャルくんは溜息交じりに言った。
ルリ「えっ!!」
連「は…?」
累「ナンパ?」
レオ「おいおい…バルドってそういう街なのか?」
ルリ「違う違う!! ナンパされてないし、迷子にもなってないってば!!」
シャル「他のパーティーに誘われていたじゃないですか。」
3人はシャルくんの言葉を聞いてさらに驚いた表情を見せた。
レオ「ブラックナイトマーケットだけじゃなく、
バルドの街はルリ1人で歩かせるのは危険だな」
連「護衛が必要」
私が「大丈夫だってばー…」と言うと、
4人が同時に『大丈夫じゃない!!』と言った。
うー…!!確かに、帰りが少し遅くなっちゃったけど
迷子になったわけでも、ナンパに困ってたわけでもないもん…!
っていうかナンパじゃないし…!!
私は話題を変えようと、さっき買った服の話を振った。
ルリ「そうだ! 見てみて!! 防具新調したよ!かっこいいでしょ!」
累「まぁー…うん。かっこいいんだけどさ」
レオ「なんつーか…」
ん…?なんか反応がいまいち…?
累「ルリの顔に、このエレガントな服だと"着させられてる”感がある」
ショック…かっこいいし防御値も高いから買ったのに…。
まさか、顔に合わないなんて…。
シャル「では、これならどうです?」
シャルくんは手荷物から白いローブとズボンを取り出した。
これも襟が首元まで閉まっていて、
丈はさっき買ったコートと同じくらい。
そしてショートケープがついていた。
ルリ「わぁ! 素敵だね!!」
シャル「さっき、オルセリアでお店を出していた商人から買った
男の聖職者用の『衣装』です。
衣装は防具の上から着用できます。
これなら防具の防御値を得られながら、
見た目を変えることができますよ」
これ、プレイヤーがデザインした衣装なんだよね!
服や装飾品、帽子や靴、いろいろデザインできるみたい。
私もやってみたいけど、センスないんだよねー…。
ますます街で商人さんたちが開いているお店を見るのが楽しくなりそう!!
連「俺もそうしてる。」
連くんは騎士の防具の上から、NPCから買ったパーカーを着て
見た目を変えている。
ルリ「衣装! そっか! 正式サービスが開始したから、
プレイヤーがデザインした衣装を着られるようになったんだ!!」
「そうです」とシャルくんが呟いた。
シャル「ルリに似合いそうだなと思ったので。着てみてください。」
ルリ「いいの…?」
私はシャルくんからローブを受け取り、隣の寝室に行き衣装を着てみた。
そして、視点をTPSに切り替え、ルリを見てみた。
おお、似合ってる気がする…!!
確かにルリの顔だとかっこいい系より、
シンプルで清潔感がある服の方が似合うな…。
石化耐性のピンズはショートケープで隠れるところにつけた。
寝室から出てみんなに見てもらった。
レオ「おおー!いいじゃん!!」
シャル「とても似合ってますよ。」
連「こっちの方がルリっぽい」
累「だな。」
えへへ。
シャル「そのローブを買った店に女性の聖職者の衣装もありましたよ。
そちらも色は白で、丈が長いワンピースでしたよ。
あと腰辺りにリボンがついていました。」
ルリ「そうなんだ!」
きっと清楚系でかわいい衣装なんだろうな。気になる…!
ルリ「ありがとうシャルくん、これいくらだった?買い取っていい?」
シャル「あげますよ」
ルリ「そんな悪いよ!!」
するとシャルくんはフレンドメッセージを送ってきた。
シャル『オレも…。ルリに、オレからあげたものを身に着けていてほしいので』
メッセージを読んでドキッとしてしまった。
ルリ『あ、ありがとう…。今度、何かお礼するね?』
シャルくんは微笑みながら
『楽しみにしてますね』とメッセージを送り返してくれた。
『オレからあげたものを身に着けていてほしいので』
どうしてこんなこと言ったんだろう。
あまりドキドキさせないで…!
また宿屋の時みたいに顔が熱くなっちゃうよー…
累「ルリも戻ってきたし、どっかダンジョン行くか?」
レオ「お!いいね! リリース初日のダンジョン!! どこ行く?」
すると連くんが「行ってみたいところがある」と言った。
ルリ「どこ??」
連「迷いの森」
リリース後、初のダンジョン「迷いの森」へ!
そこでルリの身に起きたこととは…?
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