#-01:カズミ
【小説内の記号ガイド】
* 「」:登場人物の会話。
* 《》:通信などの隠密会話。
* ():登場人物の心の中の声。
* []:AIの初期状態。アナウンスUI。
* ▶ :カメラアングルを動かす、最小限の状況ナレーション。
* ━━:カメラを別の場所・時間へ飛ばす場面転換。
* /////:キャラクターの赤面演出。
掃除婦|リョウコ・カザモリの独白
先日、久々昔の元同僚のカズミとカフェでお茶した。
カズミはメカ音痴で、私のようにRW(搭乗型人型作業機械)に乗ったりというのはムリなのだそうだ。
それで若干、カズミは私に対してコンプレックスを抱えている。
あなたはいいわね、適性があって。私は未だRWにも乗れず、こうして地面で小さく掃除しているだけ。
私は貴方が羨ましいわ、と言われた。しかし私はこう、返した。
掃除の作業にどちらが上とか下とか無い。私はRW乗りの清掃員になってしまったけれど、
RWじゃ入り込めない、人間の生活に根差した細かい場所の清掃は貴方達が未だに必要。
ロボット掃除機もあるけれど、人間の繊細な判断力、行動力が求められる分野はまだまだある。
だからどうか、貴方も誇りをもって、掃除をして。誰からも感謝されなくても、誰かがきっと見ている。
少なくとも私は貴方のことを尊敬している。これからもお互い違うフィールドでがんばりましょう。
そう、私はカズミに伝えた。彼女はやっぱりアナタには敵わないわ、と少し呆れたように私に言った。
お互い、身体に気を付けて日々を過ごしましょう。
お互いのささやかな楽しみのために毎日を生きましょう。
また逢う日まで、さようなら。
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掃除婦|カズミ・タケバヤシの独白
元同僚のリョウコとカフェでお茶した。
リョウコは私なんかと違って、とても輝いている。自分で道を切り開けている。
私には何も取り得が無い。ただただ決められた場所を掃除するだけ。
もちろんそれでも十分恵まれているとは思う。
身体も五体満足だし、毎日健康に働けている。
しかし私の中にパッションが無い。情熱を注げるものが無い。
毎日をただ、ただ、生きているだけ。
明日もWMD内の巨大ショッピングモールの清掃作業が入っている。
毎日が同じように続いていく。
それでいいのだ、と自分に言い聞かせながら、働く。
━━西暦2056年。地球。
ここは超巨大なインフラ、ウェルカムマスドライバー(WMD)内の商業施設エリア。
WMDとは宇宙資源を迎え入れる巨大なレール。
レールの中は住居になっている。
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<ウェルカムマスドライバー住居エリアの構造>
* 【階層1:低所得層・スラム】:地上(海面)〜高さ400m(約100階建て相当)。最も横幅が広く(3km)、空気循環が滞りやすいため下層になるほど過密・劣悪化。工業エリアの騒音が響く。
* 【階層2:中流層】:高さ400m〜800m。最も標準的な都市機能、巨大ショッピングモール、オフィス街が集まる。
* 【階層3:上流層】:高さ800m〜1,200m。最も見晴らしが良く、空気が綺麗。頂点付近は超巨大な避難宇宙船になっていて、WMDから分離・発艦できる仕組みになっている。
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━━WMD内の巨大ショッピングモール
カズミ「よし、ここは終わりっと」
迷子の女の子|メグ「えぇぇぇええんっ!おかーさぁあんっ!どこーっ?!」
カズミ「どうしたの?迷子?」
メグ「う、うん……。ぐすん……」
カズミ「サービスカウンターまで行きましょう♪」
メグ「ありがとう、おねーちゃん」
カズミ「いやだもぅ///// 私なんかもうおばさんよ♪」
━━サービスカウンター
カズミ「それじゃ、あとはお願いします……。って、アレ?」
サービスカウンタースタッフ「あらあらw カズミさんはお掃除しなくっちゃいけないんですよw メグちゃん♪」
▶ メグはカズミに懐いてしまって、カズミの作業着の裾を掴んだまま離さないでいる。
カズミ「じゃあメグちゃんのおかーさんが来るまで居てあげようか?」
メグ「うん!ありがとう!」
▶ カズミは仕事用の端末で上司に連絡を入れた。
カズミ「……というワケなので、しばらくいいですか?」
カズミの上司「その仕事も立派な仕事だ。そのまま居てあげなさい。勤務扱いにしておくから。今日作業できなかった分は明日以降で構わないよ」
カズミ「ありがとうございます!」
▶ 1時間ほどしてメグの母親がサービスカウンターに到着した。
メグの母親「すみません!こんなによくしていただいて!ここのショッピングモール、巨大すぎて時間が掛かってしまって……。申し訳ないです!」
メグ「おかーさーん♪ あ、おねーちゃん!これあげるっ!」
カズミ「えっ? いいの?」
メグ「いいの~♪ おねーちゃん! ありがとうっ!!」
▶ カズミはメグから飴玉を1袋もらった。うずまきしるこ味の限定品だ。
カズミ(これ……、めちゃんこ人気でめったに手に入らないのよね……。正直助かる。あとでゆっくり味わいながら食おう……)
メグ「おねーちゃん! バイバイ! いつもお掃除ありがとうっ!! これからも応援してまっす♪」
カズミ「うん、メグちゃんも元気でね!」
メグの母親「本当にありがとうございましたっ!」
▶ メグと母親は幸せそうな背中を向けながら、その場をあとにした。
カズミ「案外、この仕事も、悪くはない……、かな♪」
━完━
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【用語】
・ウェルカム・マスドライバー:略称「WMD」。宇宙資源を迎え入れる巨大なレール。レールの中は住居になっている。
・ロボティクス・ワーカー:略称「RW」。人型汎用作業機械。全高15メートルの搭乗型ロボット。
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【ロボティクスメイカー|設定紹介】
ロボティクスメイカーの公式サイトはコチラ↓
https://robotics-maker.jimdofree.com/
本編第1話の前日譚です。
本編第1話はこちら▼
https://ncode.syosetu.com/n9533le/5




