#-01:レイラ
【小説内の記号ガイド】
* 「」:登場人物の会話。
* 《》:通信などの隠密会話。
* ():登場人物の心の中の声。
* []:AIの初期状態。アナウンスUI。
* ▶ :カメラアングルを動かす、最小限の状況ナレーション。
* ━━:カメラを別の場所・時間へ飛ばす場面転換。
* /////:キャラクターの赤面演出。
━━西暦2056年。地球。
超巨大なインフラ、ウェルカムマスドライバー(WMD)工業施設エリア。
WMDとは宇宙資源を迎え入れる巨大なレール。
レールの中は住居になっている。
ここはレイラと呼ばれる女性が営むペルチェ素子の小さな生産工房だ。
娘|マコ「おかーさん、なに作ってるの??」
母|レイラ「ペルチェ素子っていう、つめたくなったりあたたかくなったりするモノを作っているのよ♪」
レイラ「マコがだいすきな、このクッキーみたいなものが、みんなのくらしをゆたかにするのよ♪」
マコ「じゃあ、おかーさんはみんなのひーろーだねっ!」
レイラ「マコのすきなヒーローみたいに、高くジャンプしてキックとかできないけどね♪」
マコ「それでもおかーさん!すごい!!」
▶ 彼女、レイラの納品するペルチェ素子は品質が高く、世界のあらゆるところで使われている。
小さなところでは作業員の着る作業服の冷却材、クーラーボックス、
大きなところではWMDの外壁に埋め込まれている。
ペルチェ素子(Peltier device)とは、直流電流を流すと片面が吸熱(冷却)し、反対の面が発熱(加熱)する性質を持つ半導体素子だ。
WMDの外壁に使われているペルチェ素子は、以下のように埋め込み配置されている。
・壁の外向き=吸熱(冷却)
・壁の内向き=発熱(加熱)
▶ WMD内のソーラー、風力、波力などの各発電施設で発電された電気の一部は、このペルチェ素子に流れ込む。
このWMDの外壁に埋め込まれたペルチェ素子は地球の大気を冷やし、
発生した熱は暖房やお湯を沸かしたりなどへ有効活用される。
▶ 話をレイラの工房の話に戻す。
WMDの外壁用のモノは、自宅とは別棟の大きな工場で従業員を雇ってみんなで作っている。
▶ このようにWMDに訪れれば、
誰しもが各々のスキルや身体的事情に即した仕事が平等に与えられ、
格差が起きにくい社会が形成されている。
実際、レイラのところにも障がい者の雇用を積極的に進めており、
皆が助け合いながら働いている。
▶ レイラのようにモノづくりができない者も、WMDには例えば、
掃除、クリーニングの需要だけでもたくさんある。
多くはロボットによる自動清掃が主流だが、
やはり細かい部分や人間の繊細な判断の元での清掃作業が効率がよい場合が、
まだまだこの世においても存在している。
・ある者は掃除道具を抱えて徒歩で
・運転ができるものは物流の一部を担いつつ、清掃車の運転を
・SQBやRWに乗れる者はWMDの外壁を
※SQB:作業用ポッドの名称。「スクエアボックス」の略。戦闘用に改造された兵器も存在する。
※RW:ロボティクス・ワーカー(RW)。搭乗型汎用人型作業機械。全高15メートル。
▶ 掃除だけでもこのように多種多様な働き方がある。
とにかく皆に仕事があり、皆に冨が発生する仕組みが、
このWMDの建造によって、ようやく成り立っている。
そしてWMDには様々な国籍の者が、昔の世よりも自由に行き交う。
人々は、
お互いを理解し、
誤解が無くなり、
交流が増え、
格差は少なくなり、
冨が生まれ、
誰しもが平等に暮らしていた。
いつまでも、この、
平和で、
平等な世が、
永く、末永く、続きます様に。
誰も取り残さない世が、続きます様に。
それだけを、私は、ただ、ただ、祈る。
ジャーナリスト:ミツコ・サカモト
━完━
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【用語】
・ウェルカム・マスドライバー:略称「WMD」。宇宙資源を迎え入れる巨大なレール。レールの中は住居になっている。
・ロボティクス・ワーカー:略称「RW」。人型汎用作業機械。全高15メートルの搭乗型ロボット。
・スクエアボックス:略称「SQB」。作業用ポッドの名称。「スクエアボックス」の略。戦闘用に改造された兵器も存在する。
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【ロボティクスメイカー|設定紹介】
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本編第1話の前日譚です。
本編第1話はこちら▼
https://ncode.syosetu.com/n9533le/5




