魔法少女達の狂想曲
もうやり直しは、できないのかな
人里についた寂滅達。
叡智「ようやく一息、ってところだね」
寂滅「やっぱり、結構な距離だね。足が疲れちゃった」
???「あ、寂滅さんに叡智さん」
叡智「イール、店の方は順調?」
イール「おかげさまで。今丁度食材集めが終わって戻るところ。二人は?」
寂滅「ちょっと様子見にここまでってところ。時間があったらお店に寄らせてもらおうかな」
イール「いつでも歓迎しますよ。……?」
村人「に、にげろー!!」
寂滅「?」
突然現れた獣達、それは群れと言うよりかは軍勢に近い。次々と店の中の食糧を奪っていく。
叡智「どう思う、この状況」
寂滅「餌を求めて降りてきた、にしてはあまりにも規模が違いすぎる。それに加えて今出てきたこの霧……ちょっと毒を含んでる。死にはしないけど、あまり吸わない方が良さそう。獣と、毒の霧……」
叡智「流れ的に、海の先から来てるみたいだ。あっちには人工的に造られた生命体が住んでるって話だけど。どうする」
寂滅「どうするも何も、やるしかないでしょ。人里のお団子が食べられなくなるのは嫌だしね」
叡智「聞くまでもなかったか」
イール「き、気をつけてー!」
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寂滅「ここが例の場所か……なんともまぁ、立派なお城だこと。……?」
叡智「何してるの寂滅、ぼーっとして」
寂滅「あ、うん」
???「通させると思ってるのか?」
寂滅「誰?」
門の前に、一匹の龍が降りてくる。
ソル「俺の名前はソル、一応ここの門番をやっている」
寂滅「そう。悪いけど、ここの主人に言いたいことがあるの。通させてよ」
ソル「ダメだ」
寂滅「ということは、クロだね。強行突破とさせてもらうよ」
ソル「十も生きていないからと、赤子同然だからと馬鹿にするなよ。俺はこの城における輝ける太陽だ!!」
ソル「………くそ。これほどまでとは、聞いてないぞ」
寂滅「これ以上続けても、意味ないと思うけど?」
ソル「………らしいな。行きたければ行けば良い。命の保障はしないがな」
寂滅「そうさせてもらうよ」
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寂滅「……見た目相応の広さだね、このお城」
???「ようこそ、光幻城へ」
寂滅「!? 急に現れた!?」
叡智「うわっ、いつのまに後ろに」
ライト「普通、訪問する時は事前に知らせを伝えるべきだと思うんだけど? まぁいいか。私は、光幻城の当主代理のライト。今日は演奏を頼んだ覚えはないけど?」
寂滅「そうだね、私たちもその目的でやってきたわけじゃない。ここの主人に直談判しに来たんだよ。人里を襲ったのは、貴方達?」
ライト「へぇ、もうそこまで。そうだねぇ……姉さんは、人間が大嫌いだから。だから部下を使って襲った、それだけ」
寂滅「すぐにやめてほしいんだけど」
ライト「悪いけど、決定権は姉さんにある。そして、招かれていない人には会わせることはできない。それじゃあね……」
寂滅「………! 消えた!?」
二人は目を離していないはずだった。強いて言うのなら瞬きをしただけだった。その一瞬の隙に、ライトは姿を消していた。
叡智「で、どうする?」
寂滅「はは、そんなの進むに決まってるじゃん」
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寂滅「また随分と広い場所に来ちゃったね。見たところ、書斎……?」
叡智「こんなに本があるならエロ本のひとつやふたつあるんじゃない?」
寂滅「あるわけないでしょ」
叡智「あっ、真っピンクの本! 絶対エロ本!!」
???「面倒くさそうな人が来たなぁ………なんで追い返さなかったわけ?」
寂滅「面倒くさそうなのその1、人里を襲うのをやめさせに来た」
叡智「面倒くさそうなのその2、ここの主人にクレームだ」
ライト「ごめんファントム。手伝ってくれたら今日のおやつはいつもの2倍にしてあげるよ」
ファントム「3倍」
ライト「わかったわかった」
ファントム「あんまり動きたくないけど……仕方ないかぁ……」
ファントム「……私の幻影をものともしない、だと? いくらなんでも……あぁ、もう疲れた。眠い……」
叡智「……寝ちゃった」
寂滅「あれ、もう一人の子が居ないけど」
叡智「逃げ足が速いこと」
寂滅「まぁ、邪魔されても困るし、さっさと先に進もう。……どっかに布ないの、流石に寒いでしょ」
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寂滅「ここは……大広間?」
???「よくぞ来てくれたな」
前方から聞こえた声。そちらに意識を向けると、一人の少女が玉座に二人を見下ろすかのようにそこに座っていた。
寂滅「貴方が、ここの当主であの子のお姉さん……そして、人里を襲った事件の黒幕……」
エニグマ「いかにも。私の光幻城の当主、エニグマで。人間達に復讐を誓った人工生命体である」
叡智「どうしてそんなことを?」
エニグマ「人間達に教えるためだ、自分達が弱き立場でいることを。知識、科学、そして群れることでその弱点を克服しているようだが、そのせいで放漫さが現れ、調子にに乗り始めた。だから私は、鉄槌を下すのだ。これ以上、私のような哀れな存在を生み出させるわけにはいかない」
寂滅「なるほどね。でも、悪いけどその野望は打ち砕かさせてもらうよ」
エニグマ「………く、はははは!! こんなに暴れたのは研究所に居た以来だな……なかなか悪くない」
叡智「毒霧が晴れていく……」
エニグマ「人里に居る輩達にも帰還命令を出した。もうじき帰ってくるだろう」
寂滅「ずいぶんと聞き分けが良いじゃん」
エニグマ「まぁな、流石の私でも分が悪いようだし」
寂滅「だったら最初からこんなことしないでほしいね」
エニグマ(……なるほど、そういうことか)
寂滅「?」
エニグマ「いや、なんでもない。ライト、紅茶を人数分淹れてくれ」
ライト「はい」
エニグマ「いや速ぇな。さぁ、遠慮するな。これは私なりの客人に対するもてなしだ」
寂滅「急に馴れ馴れしくなるじゃん」
叡智「毒とかは入ってないっぽいよ、飲んだからわかる。おいしー」
エニグマ「ライト、お前は気がついているか?」
ライト「何を?」
エニグマ「いや、忘れてくれ。……そうだな、お前に少しやってほしいことがある」
ライト「………なるほど」
エニグマ「頼まれてくれるか? 私の可愛いライトよ」
ライト「もちろん」
寂滅「………うーん、なんだろう、手応えというか、馴染んだというか……何か忘れてるような……違和感というか……」
幻「……むぎゅ」
寂滅「幻、どうしたの?」
幻「寒いから、ぬくぬく」
寂滅「寒い? だって今はまだ………寒!?」
叡智「まだ冬じゃないのに、変な話だね」
寂滅「異常気象ってやつ?」
叡智「または、新しい異変ってやつか」
寂滅「逡巡していても仕方がないし、まずは情報を集めよう」
叡智「また人里に行く?」
寂滅「例の件から変化が気になるし、悪くないね」
幻「うぅ、さむいよー。寂滅姉が行ったらぬくぬくできないよー」
叡智「レオパルド、暖めてやってくれ」




